食品安全関係情報詳細
資料管理ID | syu06470501535 |
タイトル | 英国毒性委員会(COT)「母体の食事におけるシトリニンの潜在的リスクに関する第一次声明案」を公表 (後半2/2) |
資料日付 | 2025年3月12日 |
分類1 | - |
分類2 | - |
概要(記事) | (前半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06470500535) 「TOX/2025/16 附属書A」 《背景》 シトリニン(CIT)は、Aspergillus属・Penicillium属・Monascus属に属する数種の真菌類により産生されるマイコトキシンであり、一般に収穫後の保存条件下にて生成される。主として穀粒に発生するが、豆類・果実類・果物及び野菜のジュース類・ハーブ類・スパイス類等の植物由来の他の製品類、ならびに、腐敗した乳製品類にも発生することがある。 実験データから、高度に汚染された飼料原材料を経口摂取した動物の食用組織や卵にCITが残留する可能性が示されている。2014年のトータルダイエットスタディ(TDS)では、食用動物由来製品からはCITは検出されなかったことから、本評価では飼料から動物由来製品へのCITのキャリーオーバーに関し、これ以降検討しない。 さらに、CITは紅麹(red yeast rice(RYR)あるいはred mould rice(RMR))等のMonascus属真菌を用いた発酵製品に含有される望ましくない汚染物質である。RYRはアジア料理にて食品着色料や風味増強剤として利用され、血漿中トリグリセリド値・コレステロール値を低下させる効果を謳うサプリメントにも使用されている。2019年、「食用製品における特定の汚染物質に対する最大基準値を規定する欧州委員会規則(EC) No 1881/2006」において、RYR製剤中に含有されるCITの最大基準値(ML)は2,000 μg/kgから100 μg/kgに引き下げられた(欧州委員会規則(EU) 2019/1901による改正)。大半のRYRサプリメントの包装には以下の何れかの記載がある。 a) 小児及び/又は妊婦・授乳婦には適さない b) 上記の集団は摂取前に総合医(GP)に相談することが推奨される 包装に警告が明記されていることから、本評価においてRYRサプリメントはこれ以降検討されない。 《2012年のEFSAの科学的意見書の結論》 EFSAは、遺伝毒性に関して利用可能なデータ、及び、現在のデータベースの限界・不確実性を踏まえ、健康影響に基づく指標値(HBGV)の導出は適切ではないと結論している。 遺伝毒性又は発がん性を有する可能性がある化合物に対し、EFSAはMOE(margin of exposure)アプローチの適用を推奨している。しかしながら、CITに対しては、ヒトの食事性ばく露データが不足していることから、EFSAはMOEアプローチが適切とは判断しなかった。代替として、EFSAはCITのリスクの特性を評価し、ヒトにおいて腎毒性の懸念を提起しない用量を0.2 μg/kg体重/日と決定した。腎毒性の懸念を提起しない用量とは、HBGVよりも安全性が低く、当該用量未満では腎毒性作用への懸念が明らかには認められない用量である。当該用量は、他のエンドポイントに対しては、具体的には対処しない。 懸念を提起しない用量は、ラットを用いた研究より決定された20 μg/kg体重/日の無毒性量(NOAEL)に基づいている。当該研究では、CITは異なる濃度(1、2、10、20、200 mg/kg)のCITを含有する発酵RMRの形態にて投与され、試験された最高用量(20 μg CIT/kg体重/日に相当)では、どの用量群においても毒性学的に有意な変化は観察されていない。EFSAは、種間間・個体間の変動に対するデフォルトの不確実係数(UF)100を適用した。 EFSAは、腎毒性の懸念を提起しない用量では、遺伝毒性及び発がん性の懸念を排除できないと結論している。 《結論》 COTは、健康影響に基づく指標値(HBGV)は設定不可能であり、消費者に対するCITのリスクの特性評価に対して腎毒性の懸念を提起しない用量(0.2 μg/kg体重/日)を適用することが適切であるという、EFSAの見解に同意する。入手可能な生殖・発達に関する研究にて投与された用量は、腎毒性の懸念を提起しない用量よりも高かったことから、当該用量は、母体及び生殖・発達への影響に対して十分な保護効果を有すると判断する。しかしながら、データベースには限界があり、遺伝毒性及び発がん性のリスクは排除されない。 推定ばく露量は、腎毒性及び生殖・発達への影響に対する毒性学的懸念を提起しない。くわえて、CITは如何なる食品群からも検出限界を超過して検出されなかったことから、CITへのばく露量は低く、英国の消費者に対して懸念とはならない点がさらに証拠立てられる。 《COTに検討を要請する質問》 I. COTは、本声明の内容及び構成について何か意見があるか。 II. COTは他に意見があるか? (注) 本文書はディスカッションを目的とする。COTの見解を示すものではなく、引用されるべきではない。 本声明案の全文は以下より入手可能。 https://cot.food.gov.uk/sites/default/files/2025-03/TOX-2025-16%20Citrinin%20in%20the%20Maternal%20Diet_First%20Draft%20Statement%20%20SO%20Acc%20V.pdf |
地域 | 欧州 |
国・地方 | 英国 |
情報源(公的機関) | 英国毒性委員会(COT) |
情報源(報道) | 英国毒性委員会(COT) |
URL | https://cot.food.gov.uk/COT%20Meeting%3A%2025th%20March%202025 |