食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06460710149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、食品偽装-新興リスクに関する外部委託機関による科学的報告書を公表
資料日付 2025年2月28日
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分類2 -
概要(記事)  欧州食品安全機関(EFSA)は2月28日、食品偽装-新興リスクに関する外部委託機関(PwC EU Services (PwC))による科学的報告書(食品安全の新興リスクに関するドライバー(driver)としての食品偽装事案を特定する計算モデルの開発)(2025年2月25日承認、115ページ、doi: 10.2903/sp.efsa.2025.EN-9301)を公表した。概要は以下のとおり。
 EFSAに期待される戦略的目標の成果の1つは、知識、専門知識、方法論、データの観点から、リスク分析能力を高め、将来にわたって妥当性を維持することである。したがって、EFSAにとって、食品サプライチェーン内の新興リスクの特定を容易にする先進技術の導入を検討し、評価することは極めて重要である。EFSAは、食品と飼料の安全性における新興リスクのドライバーとしての食品偽装事案の特定と分析のための枠組みを開発し、確立し、試験することを継続的に目指している。
 この文脈において、本報告書に記載されている「FFRAUD-ER:食品安全の新興リスクのドライバーとしての食品偽装事案を特定するための計算モデルの開発」プロジェクトは、食品安全の新興リスクに繋がる可能性がある食品偽装事案を検出するために特別に設計された計算モデルを開発することを目的とした。本モデルは、新興リスクの特定に向けて先見性と環境スキャニングを強化するというEFSAの戦略的重点と一致している。本プロジェクトは、食品安全リスクの重要なドライバーとしての食品偽装に集中することにより、EFSA及び他の新興リスク特定ネットワークが、グローバルな食品サプライチェーンの完全性に対する潜在的脅威を積極的に管理することを目的としている。
 本プロジェクトの主な目的は、食品偽装によって引き起こされる食品安全の新興リスクの特定における計算モデルの実用的な適用可能性と能力を評価し、最先端の自然言語処理技術及びディープラーニング技術の統合を通じてリスク特定方法論を強化することである。
 本プロジェクトは、食品偽装と食品安全へのその影響を理解する上で重要なデータソースを特定し、優先順位を付けることを目的とした広範な机上調査段階から開始された。データソースとしては、食品偽装データベース、食品安全データベース、学術的リソース、ソーシャル・メディア・プラットフォーム等が検討された。多基準意思決定分析(Multi-Criteria Decision Analysis MCDA)アプローチが採用され、その結果、以下の4つの主要ソースが選択された。①JRC Reports、②Food Fraud Risk Information Database、③Rapid Alert System for Food and Feed(RASFF)、④the HorizonScan database。選択基準は、アクセスのしやすさ、妥当性、データの完全性、質、及び意図される分析に対する全体的な有用性に重点を置いて定義された。
 データソースの選択に続き、厳密なデータラベリングプロセスが実施された。これには、最も関連性が高く正確なデータのみが利用されるように、包括的な品質チェック及びデータの前処理が含まれる。データは食品ハザードの8つのカテゴリー(①不純物混入、②偽造、③希釈、④文書不備、⑤不当表示、⑥代替品、⑦グレーマーケット(grey market)、⑧汚染)に分類可能となるよう、クレンジングと削減を実施し、これにより、さらに効率的なラベリング・プロセスが容易になった。この重要な作業は、外部の食品専門家によって実施され、その後、EFSA、共同研究センター(JRC)、保健・食の安全総局(DG SANTE)の代表者によって検証され、正確性と一貫性が確保された。データセット全体の統一性を維持するために、全てのステークホルダーによって共通の表示ガイドラインが設定され、合意された。
 計算モデルの開発は、本プロジェクトの重要な段階であった。最適の機械学習アプローチを決定するために、広範な調査が行われ、プロジェクトチームは、自然言語処理(NLP)作業が複雑であることから、ディープラーニングを選択した。6種類の最先端のNLPモデル(BERT、XLNet、GPT-3、ELECTRA、T5、ELMo)が特定され評価された。これらのモデルをラベル付きデータセットで学習させ、試験を行ったところ、パフォーマンスが最も優れていたのはXLNetであり、F1-スコア・95%、ROC/AUCスコア・98%という感動的な達成度であった。これらの指標は、EFSAのリスク評価基準と整合性をとるために、EFSAと協調して選定された。
 最初のモデル開発に続いて、反復改良が実施された。新たなデータがXLNetモデルに導入され、EFSAやステークホルダーとの議論を通じて改善すべき領域が特定された。モデルに再学習させ、頑健な結果を維持しつつパフォーマンスを向上させるために、再ラベリングと合成データ生成技術を取り込ませた。機密データの取り扱いに関して奨励事項が策定され、2つのシナリオが提案された。EFSAが管理するウェブアプリケーションにモデルを統合する集中型ソリューション、及び各組織が独立して出力を分析し、その結果をEFSAに報告する分散型ソリューションである。
 新たに入手した食品偽装事案のデータを用いて、計算モデルの食品安全の新興リスクを特定する能力を実証した。このモデルは、EFSAと新興リスク特定ネットワークの環境スキャニングを支援するために、ロジスティック回帰法、加重値配賦法(weight allocation method)、季節分解法(seasonal decomposition method)とともに導入された。これらのアプリケーションの演習に使用されたデータには、JRC Geel Unit F.4による食品偽装マンスリーレポートと、警戒協力ネットワーク(CAN)内で共有されている国際的偽装容疑を含む欧州委員会からの報告書が含まれる。これらの方法はかなりの可能性を示したが、その最終的な有効性は、(時間的に)より広範なデータカバレッジ、データ品質およびデータ構造の強化によって得られる。
 開発された計算モデルは、新たな食品偽装事案が食品安全リスクをもたらすかどうかを識別することが可能な頑強なツールであると結論された。さらに、他の統計又は分析技術とともに計算モデルを適用することで、本プロジェクトは、食品安全事案の迅速な評価と潜在的な新興リスクの検出においてEFSAを支援する計算モデルの能力を実証した。
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) 欧州食品安全機関(EFSA)
URL https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-9301