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資料管理ID syu06440120175
タイトル スペイン科学技術最高評議会(CSIC)、カカオ作物におけるカドミニウムを低減させる国際研究チームによるバイオプロセスの開発を公表
資料日付 2025年1月20日
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概要(記事)  スペイン科学技術最高評議会(CSIC)は1月20日、カカオ作物におけるカドミウムを低減させる国際研究チームによるバイオプロセスの開発を公表した。概要は以下のとおり。
 アルゼンチン、エクアドル、スペインの研究者らが率いる学際的なチームが、重要となるCSICサイディン実験場(Estacion Experimental del Zaidin:EEZ-CSIC)の参加を得て、カカオ作物におけるカドミウムの生物濃縮を低減できる革新的なバイオプロセスを開発した。この問題は、カカオ農業及び公衆衛生に対する恒常的な脅威となっている。
 この新たなバイオプロセスは、トマト、ホウレンソウ、穀物、オリーブなど、カドミウム汚染の影響を受ける他の作物にも適用可能であり、世界の農業にプラスの影響を拡大し得る。農産物の品質が輸出市場及び消費者の安心にとって極めて重要であるスペインにとっても、この意義は極めて大きなものである。
 これは、Fontagro(ラテンアメリカ、カリブ海諸国、スペインにおける農業の革新、競争力、食糧安全保障を促進する地域協力メカニズム、※補足)の第19回年次技術フォローアップ・ワークショップにおいて、この開発におけるEEZ-CSICの重要な役割が強調されたうえで、アルゼンチン国立工科大学サン・ラファエル校生物環境研究所(Del Laboratorio Bioambiental de laUniversidad Tecnica Nacional de la Facultad Regional San Rafael(Argentina))のAdalgisa Scotti博士によって発表された。
#「農業生産におけるカドミウムに対する世界的な挑戦」
 土壌中に存在する重金属であるカドミウムは、世界的な環境及び公衆衛生の問題となっている。ラテンアメリカでは特にカカオ生産に影響を及ぼしており、農業従事者らは、欧州連合(EU)によって課されている厳しい規制値(カカオ豆中のカドミウム0.8 mg/kg)に対し、国際市場における競争力維持に向け、革新的で持続可能な解決策を模索せざるを得なくなっている。
 しかし、カドミウムの課題はより広範囲に及んでいる。欧州においては、小麦、大麦、米、特定の野菜などの作物も、土壌中のカドミウム汚染にさらされている。スペインでは、アルメリア(Almeria)やウエルバ(Huelva)など、鉱業や産業活動の影響を受けている地域が、このバイオプロセスから大きな恩恵を受ける可能性がある、と研究者らは言う。EEZ-CSICのチームは、この技術を現地の状況に適応させ、様々な農業シナリオでの成功を確保するために取り組んできた。
#「カドミウム低減に向けた持続可能なバイオテクノロジーによるアプローチ」
 この研究プロジェクトでは、植物の根圏においてカドミウムの溶解度を低下させる、土壌真菌類の共生集団(consorcio de hongos nativos)を開発した。このバイオテクノロジーによるアプローチは、作物によるカドミウムの取り込みを最小限に抑えるだけでなく、土壌の健全性及び農業生産性の向上における持続可能性を促進する。
 カカオ作物における試験では、カカオ豆に蓄積されたカドミウム濃度の有意な低減が示され、国際的な規制に適合した。このバイオプロセスの意義は、ラテンアメリカの国境を越えており、この結果は、トマト、柑橘類、オリーブなど、スペインの農業にとって重要な作物にも同様に効果があることを示唆している。
 このプロジェクトの責任者の一人であるEEZ-CSICの研究者Inmaculada Garcia氏は次のように強調する。「この技術は、重金属汚染の影響を受ける地域における持続可能で長期的な解決策であり、鉱業地域の劣化した土壌の回復に大きく貢献する可能性がある。」
(以下、略)
※補足:Fontagroによる公表は以下のURLから閲覧可能。
https://www.fontagro.org/new/proyectos/bioproceso-cd/es
地域 欧州
国・地方 スペイン
情報源(公的機関) その他
情報源(報道) スペイン科学技術最高評議会(CSIC)
URL https://www.csic.es/es/actualidad-del-csic/un-equipo-internacional-desarrolla-un-bioproceso-que-reduce-el-cadmio-en-los-cultivos-de-cacao