食品安全関係情報詳細
資料管理ID | syu06270490305 |
タイトル | 欧州連合(EU)、食品中のT-2トキシン及びHT-2トキシンの最大レベルに関して、欧州委員会規則(EU) 2023/915を改正 (前半1/2) |
資料日付 | 2024年4月10日 |
分類1 | - |
分類2 | - |
概要(記事) | 欧州連合(EU)は4月10日、食品中のT-2トキシン及びHT-2トキシンの最大基準値に関して、欧州委員会規則(EU) 2023/915を改正する欧州委員会規則(EU) 2024/1038を官報(PDF5ページ)において公表した。 (1) 欧州委員会規則(EU) 2023/915(※訳注1)は、食品中の特定の汚染物質に対する最大基準値を定める。 (2) T-2トキシン及びHT-2トキシンは様々なフザリウム属菌により産生されるマイコトキシンである。T-2トキシンは急速に代謝されて多くの生成物に変化し、HT-2トキシンは主な代謝物である。 (3) 欧州食品安全機関(EFSA)は2011年、食品及び飼料中のT-2トキシン及びHT-2トキシンの存在に関連した動物衛生及び公衆衛生に関するリスクについて科学的意見書(※訳注2)を採択した。EFSAは、T-2トキシン及びHT-2トキシンの合計に対して0.1 μg/kg体重のグループ耐容一日摂取量(TDI)を設定した。利用可能な発生データに基づくT-2トキシン及びHT-2トキシンの合計へのヒトの推定食事性慢性ばく露は、全年齢グループの集団に対してグループTDIを下回ったため、喫緊の健康懸念ではなかった。 (4) 2011年の科学的意見書の結論を考慮して、穀物及び穀物製品中のT-2トキシン及びHT-2トキシンに関してより多くのデータを収集し、年毎の発生の変動への理解を深め、T-2トキシン及びHT-2トキシンの存在に及ぼす食品加工(加熱調理等)と農学的要因の影響に関してより多くの情報を入手するために、欧州委員会勧告2013/165/EU(※訳注3)は採択された。 (5) EFSAは2017年、T-2トキシン及びHT-2トキシン及びそれらの修飾型(modified forms)に対するグループの健康影響に基づく指標値(health based guidance value(HBGV))を設定する適切性に関する科学的意見書(※訳注4)を採択した。T-2トキシン及びHT-2トキシンの合計及びそれらの修飾型に対して、0.3 μg/kg体重のグループ急性参照用量(ARfD)が設定された。さらに、T-2トキシン及びHT-2トキシンの合計及びそれらの修飾型に対して、従来の0.1 μg/kg体重のグループTDIを改め、0.02 μg/kg体重のグループTDIが設定された。 (6) 2017年にはまた、EFSAは、T-2トキシン及びHT-2トキシンに対するヒト及び動物の食事性ばく露に関する科学的意見書(※訳注5)を公表した。その意見書における急性の推定食事性ばく露は、EFSAが設定したグループARfDを超過しなかった。しかしながら、特定の慢性食事性ばく露シナリオは、乳児、幼児及び他の小児においてグループTDIを超過し、高いばく露においては青年においても超過し、健康懸念の可能性を示した。 (7) 高いレベルの公衆衛生保護を確実にするために、直近の発生データを考慮して、食品中のT-2トキシン及びHT-2トキシンの存在に関する最大基準値を設定することが適切である。しかしながら、T-2トキシン及びHT-2トキシンの修飾型の存在に関する発生データは非常に限られており、それらの物質のルーチン分析法は利用できないため、現時点では、T-2トキシン及びHT-2トキシンの合計に対してのみ最大基準値が設定される。 (8) 穀物中のT-2トキシン及びHT-2トキシンの存在を最小限にするための農業生産工程管理の実施を確実にするために、未加工の穀物に関する最大基準値を設定することが重要である。未加工のえん麦は、製粉前又は最終消費者向けに上市される穀物製品中に使用される前に、殻付き(with the husk)の状態で上市されるため、殻は食用ではないにしても、未加工のえん麦粒中のT-2トキシン及びHT-2トキシンに対する最大基準値は、殻が付いた状態の未加工のえん麦粒に適用する必要がある。 (9) T-2トキシン及びHT-2トキシンの発生レベルはえん麦において最も高いため、えん麦中のT-2トキシン及びHT-2トキシンの存在をさらに低減するためにさらなる努力を行い、えん麦粒及びえん麦粒製品中のT-2トキシン及びHT-2トキシンに対する最大基準値を将来において低減する目的で、欧州委員会はその努力の進捗や新たな発生データに関して情報提供されることが重要である。 (10) したがって、欧州委員会規則(EU) 2023/915を上記に鑑み改正する必要がある。 (11) 本規則が対象にする特定の食品は保存可能期間が長いことを考慮して、本規則の施行日前に法律に則って上市された食品に対して移行期間を認めることが適切である。 (12) 経済事業者が、本規則によって導入される新たな規定に備えることを可能とするために、新たな最大基準値が適用されるまでに合理的な時間を認めることが適切である。 (13) 本規則に規定される措置は、欧州委員会の「植物、動物、食品及び飼料に関する常任委員会(PAFF)」の意見に一致している。 以上から欧州委員会は本規則を採択する。 第1条 欧州委員会規則(EU) 2023/915を以下のとおり改正する。 (1) 第8条において、以下のパラグラフ5を追加する。 5. 加盟国及び関係者は2028年1月1日までに、欧州委員会に対して、えん麦及びえん麦製品中のT-2トキシン及びHT-2トキシンによる汚染を低減するための予防措置の適用に関連して実施した調査と進捗の結果を報告するものとする。 加盟国及び関係者は、EFSAに対して、えん麦及びえん麦製品中のT-2トキシン及びHT-2トキシンに関する発生データを定期的に報告するものとする。 (2) 本規則附属書に従って附属書Iを改正する。 附属書 規則(EU) 2023/915附属書Iセクション1(マイコトキシン(mycotoxins))において、以下の1.9(T-2トキシン及びHT-2トキシン)の事項を追加する。 附属書Iセクション1(マイコトキシン)(抜粋) (コード: 対象食品カテゴリー: T-2及びHT-2の合計に対する最大基準値(μg/kg)の順に記載) 1.9.1: 1.9.1.1、1.9.1.2、1.9.1.3及び1.9.1.4を除く未加工の穀物: 50 1.9.1.1: 未加工の大麦麦芽: 200 1.9.1.2: 大麦麦芽以外の未加工の大麦: 150 1.9.1.3: 未加工のトウモロコシ及び未加工のデュラム小麦: 100 1.9.1.4: 殻を食用としない未加工のえん麦: 1,250 (後半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06270491305) |
地域 | 欧州 |
国・地方 | EU |
情報源(公的機関) | 欧州連合(EU) |
情報源(報道) | 欧州連合(EU) |
URL | https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=OJ:L_202401038 |