食品安全関係情報詳細
資料管理ID | syu06080420475 |
タイトル | フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)、食品中の変異原性・発がん性を有するマイコトキシンの特定に関する研究結果を紹介 |
資料日付 | 2023年5月31日 |
分類1 | - |
分類2 | - |
概要(記事) | フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は5月31日、食品中の変異原性・発がん性を有するマイコトキシンの特定に関する研究結果を紹介した。概要は以下のとおり。 複数の異なるコンピュータソフトウェアを組合せて使用することで、食品で繁殖するカビが産生する毒素(マイコトキシン)に関する知見の獲得をより迅速にすることができる可能性がある。この革新的なアプローチは、ANSESの研究者が、変異原性及び/又は発がん性を有する可能性があるマイコトキシンを特定するために使用された。 食品、特に植物由来食品中のカビは、マイコトキシンという毒素を産生することがあり、その一部はヒトや動物において遺伝子変異やがんを促進する可能性がある。「カビは、作物の栽培から最終製品まで、食品の製造工程を通じて繁殖し得る」とANSESフジェール研究所の汚染物質毒性学ユニットでプロジェクトマネージャーを務めるDenis Habauzit氏は説明する。穀物、果物、野菜等、多くの食品がマイコトキシンに汚染されている可能性がある。 欧州規則は、市場に投入される食品に含まれる可能性のある主要なマイコトキシンについて、最大基準値を規定し厳しく制限しているが、その他のマイコトキシンについては、データが不足している。「研究作業から、毒性に関する情報がない又はほとんどない、そして規制も監視もされていないマイコトキシンが食品に含まれている可能性があることがわかった」と同ユニット長のValerie Fessard氏は述べる。 1. 最も毒性の強い分子を見つけるためのコンピュータツール 変異原性作用や発がん性作用を有するマイコトキシンを特定するために、同ユニットの研究者は、コンピュータモデリングを拠り所とし、分子の構造に照らして分子が生物に及ぼす影響を予測できる「定量的構造活性相関(Quantitative structure-activity relationship: QSAR)」型のソフトウェアを組合せて使用した。この方法は、合成や精製が難しいマイコトキシンの最初の特性決定を可能にするという利点がある。また、マイコトキシンを検査する必要性、特に動物実験を用いる必要性を回避できる。 研究チームは、潜在的な発がん性や変異原性が知られているマイコトキシンに対してソフトウェアの組合せのテストを行い、最も高性能な組合せを選定した。他の研究チームも利用し易いよう、選定されたソフトウェアは全て無償提供されている製品である。次に研究者は、研究チームが作成したデータベースに収載されている904種類のマイコトキシン及びマイコトキシン代謝物を分析した。その結果、127種類に潜在的な変異原性、548種類に発がん性の可能性があるとされた。 2. 精緻化の前段階としての初期選別 「ソフトウェアはまだ開発中であり、エラーが発生する可能性がある」とDenis Habauzit氏は警告し、「しかし、これにより特定の分子について注意を喚起し、優先的に実験に基づく毒性研究を実施する必要のある分子を特定することができる」と述べる。これらのマイコトキシンのうち95種類は、変異原性であると同時に発がん性であるかもしれない。したがって、少量でもあっても健康に対するリスクがある可能性がある。 同時に、マイコトキシンの潜在的影響を、食品と飼料から実際に検出されたこれらの分子の量との関連で検討し、マイコトキシンが実際にもたらすリスクを判断する必要がある。これらの量は、現在、特にANSESが実施したトータルダイエットスタディ(TDSs)によって、特定のマイコトキシンについてのみ分かっているが、その他の毒素については完成させる必要がある。 本研究は、QSARソフトウェアを用いてマイコトキシンに関して実施された研究としては、過去最大規模のものである。また、優先的に評価すべきマイコトキシンを特定するために、何百種類ものマイコトキシンの中から初期選別をするこれらのコンピュータツールの価値を実証している。気候変動及び抗真菌剤の使用制限が、カビの繁殖と新興マイコトキシンによる食品汚染を助長する可能性があるだけに、これらの予測はより一層重要となる。 本研究結果は、2023年4月に「Environmental Pollution」誌に掲載された。 当該論文は以下のURLから閲覧可能。 Prioritization of mycotoxins based on mutagenicity and carcinogenicity evaluation using combined in silico QSAR methods https://hal-anses.archives-ouvertes.fr/anses-04112525 |
地域 | 欧州 |
国・地方 | フランス |
情報源(公的機関) | フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES) |
情報源(報道) | フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES) |
URL | https://www.anses.fr/fr/content/moisissures-aliments-toxines-mutagenes-cancerigenes |