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資料管理ID syu06010480475
タイトル フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)、養鶏における病原菌Enterococcus cecorumの遺伝的多様性の解析に関する研究論文を紹介
資料日付 2023年2月16日
分類1 --未選択--
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概要(記事)  フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は2月16日、養鶏における病原菌Enterococcus cecorumの遺伝的多様性の解析に関する研究論文を紹介した。概要は以下のとおり。
 Enterococcus cecorumはブロイラー、中でも成長のはやい品種で、運動障害及び全身感染症(敗血症)を引き起こす。本病原菌は、15年の間にその罹病率が100倍に増え、ますます問題となっている。
 E. cecorumは、家きんの消化器系に自然に存在する。潜在的な病原性を有する菌株の存在を示す証拠があるにもかかわらず、これらの臨床分離株は依然としてほとんど知られていない。
 フランス国立農業食品環境研究所(INRAE)及びANSESの研究者は、フランスの養鶏場で循環しているE. cecorumの遺伝的多様性の解析に関する最初の研究を実施し、罹患した動物から分離した約100の検体を調査した。疾病の原因となる菌株は臨床変異株と呼ばれ、症状のない動物由来の菌株は非臨床変異株と呼ばれる。その比較ゲノム解析により、全遺伝子を明らかにし、全ての変異株に共通する遺伝子のリストを作成することができた。
 その結果、臨床変異株は、非臨床変異株とは非常に異なる進化を遂げていることがわかった。その進化群には、フランスだけでなく、他の欧州諸国や米国での感染症の原因となった変異株の多くが含まれている。
 養鶏場を監視する目的で、研究者は、症例の94%の変異株の進化的起源を特定することのできる6つの遺伝子を特定した。さらに、抗生物質耐性遺伝子も特定した。
 また、研究者は第二の研究で、200以上の変異株コレクションに対し、抗菌性物質の効果を検証した。その目的は、抗生物質耐性の変異株を特定できるよう、解析方法を開発し、抗生物質濃度の限界値又は疫学的閾値を決定することである。
 これらの閾値は、29の抗菌性物質について決定された。研究により、多くの変異株が家畜生産で使用される抗生物質に対して耐性があることが明らかになった。しかし、これらの耐性は、ヒトの医療で使用される抗生物質には関係がない。
 この補完的な二つの研究は、E. cecorumの進化を明らかにしており、現在本細菌群には感染性の変異株群が存在する。本研究の全結果は、E. cecorumの遺伝的多様性と抗生物質耐性を明らかにするものであり、E. cecorumに関連する疾病のより適切な予防と管理に役立つであろう。
 本研究結果は2月16日に「mSphere」誌及び「Journal of Clinical Microbiology」誌に掲載された。
 当該論文(2件)は以下のURLより閲覧可能。
・Enterococcus cecorumの比較ゲノム解析による家きん由来臨床分離株系統の大陸間の拡大の解明(Comparative genome analysis of Enterococcus cecorum reveals intercontinental spread of a lineage of clinical poultry isolates.)(mSphere (2023
, e0049522
, doi: 10.1128/msphere.00495-22)
https://journals.asm.org/doi/10.1128/msphere.00495-22
・Enterococcus cecorumの薬剤耐性の疫学的カットオフ値の決定(Determination of epidemiological cutoff values for antimicrobial resistance of Enterococcus cecorum.)(J Clin Microbiol. (2023
, e0144522
, doi: 10.1128/jcm.01445-22)
https://journals.asm.org/doi/10.1128/jcm.01445-22
地域 欧州
国・地方 フランス
情報源(公的機関) フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
情報源(報道) フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
URL https://www.anses.fr/fr/content/elevage-avicole-ameliorer-connaissances-pathogene-emergent