食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05730790149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、新食品としての、及び、鉄源としての水酸化鉄アジペート・タルタラートの安全性に関する科学的意見書を公表
資料日付 2021年12月10日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  欧州食品安全機関(EFSA)は12月10日、規則(EU) 2015/2283に準拠する新食品として、及び、指令2002/46/ECの文脈における鉄源としての水酸化鉄アジペート・タルタラート(iron hydroxide adipate tartrate)の安全性に関する科学的意見書を公表した(10月27日採択、PDF版31ページ、DOI:https://doi.org/10.2903/j.efsa.2021.6935)。概要は以下のとおり。
 規則(EU) 2015/2283に従い、欧州委員会はEFSAの栄養、新食品及び食物アレルゲンに関するパネル(NDAパネル)に対し、新食品としての水酸化鉄アジペート・タルタラートの安全性に関する科学的意見を表明するよう要請した。さらに、水酸化鉄アジペート・タルタラートは新たな鉄源でもあるため、食品サプリメントに関する指令2002/46/ECの文脈において、本源からの鉄の生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)に関しても対処する必要がある。
 当該新食品は、1日あたり最大36 mgの鉄分摂取量に相当する、1日あたり最大100 mgの用量において、食品サプリメントに使用することが意図されている。申請者が提案する対象集団は、3歳超の一般集団である。
 本申請の対象となる当該新食品は、典型的には直径が5 nm未満である、ほぼ球形の形態を有する一次粒子を含む人工ナノ材料である。当該新食品である、鉄オキソ水酸化物アジペート・タルタラート(水酸化鉄アジペート・タルタラート)は、人工的に製造されたフェリチン・コア類似体である。これは、酒石酸で修飾されたナノ分散Fe(III)オキソ水酸化物であり、アジピン酸緩衝液内で形成され、フェリチン・コアと同様の機能特性及び一次粒子サイズを有する。
 体内動態試験(ADME試験)及び生物学的利用能に関して提供された研究から、鉄は腸上皮細胞に吸収されると、他の形態である鉄と同一の調節メカニズム及び吸収メカニズムに従うことが示されている。
 毒物学的評価の文脈において提供された追加研究から、試験された用量の当該新食品の摂取は、組織及び器官における鉄の生体内蓄積には至らないことが示されている。NDAパネルは、当該新食品には、ニッケルに口腔ばく露されニッケル感受性が高い10歳までの若年者に対し、湿疹の悪化或いは斑点状丘疹の発症であるフレア・アップ反応のリスクを高め得るニッケルが含有されていることに留意する。90日間の毒性試験では、血液学、臨床生化学、臓器重量と関連する所見が観察され、NDAパネルは、当該研究で適用された中用量である、1日あたり231 mg/kg体重(bw)を無毒性量(NOAEL)として定義した。
 NDAパネルは、当該新食品は、鉄を生物学的に利用可能とする源であり、提案された使用条件下で安全である源であると考える。
(訳注)
一次粒子: 結晶等の粉体生成時に、当該粉体を構成する粒子の内、分子間の結合がそのまま残存している粒子を指す。一次粒子が二次的に凝集したものを二次粒子と呼び、さらに凝集し成長して高次の粒子が形成される。
フェリチン: 生体内で鉄貯蔵の機能を有するタンパク質。形状は外径12 nm、内径8 nmの中空の球状であり、生体内で鉄が過剰になると空洞内に直径6 nm程度の金属コア形成し、鉄(III)イオンをフェリハイドライトとして貯蔵する。
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) 欧州食品安全機関(EFSA)
URL https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6935