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資料管理ID syu05700410294
タイトル 世界保健機関(WHO)、人獣共通感染症のインフルエンザに関する概要及び評価報告書(2021/8/9~10/1)を公表(豚インフルエンザウイルス)
資料日付 2021年10月22日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
概要(記事)  世界保健機関(WHO)は10月、人獣共通感染症のインフルエンザに関する概要及び評価報告書(2021/8/9~10/1)を公表した(7ページ)。豚インフルエンザウイルスに関する概要は以下のとおり。
・感染状況
 インフルエンザA(H1)変異型ウイルス(A(H1)v)
 2021年8月8日の前回のリスク評価以降、インフルエンザA(H1N1)vウイルス感染ヒト症例5例が中国から報告された。全て所定のインフルエンザ様疾患(ILI)監視において検出された。これらの症例のばく露歴は不明であった。2021年8月9日~10月9日に中国からWHOへ報告されたA(H1N1)vウイルスによるヒト症例は以下のとおり。
発症年月日、報告した省、性別、年齢、報告時点の病状
1. 2020年12月27日発症、天津市、女性、6歳、軽症
2. 2021年1月27日発症、四川省、女性、65歳、軽症
3. 2021年2月7日発症、甘粛省、男性、13歳、肺炎
4. 2021年2月28日発症、甘粛省、男性、4歳、軽症
5. 2021年3月1日発症、湖南省、男性、1歳、軽症
 前回のリスク評価以降、米国ウィスコンシン州で2人の成人のインフルエンザA(H1N1)vウイルス感染ヒト症例が検出された。1人は入院し、両患者とも回復している。両者とも、発症前に豚の展示のあるフェアに参加していた。当該事例に関連したウイルスのヒトからヒトへの伝播は確認されていない。
 2021年9月3日、呼吸器疾患に関するフランス国立リファレンスセンター(NRC)は、同国ブルターニュ地方の60~69歳の男性のインフルエンザA(H1N2)vウイルスによるヒト感染を全ゲノムシークエンス解析により確認した。患者は、2021年8月14日に急性呼吸器感染症を発症し、8月18日に医療機関を受診、その後集中治療室(ICU)に搬送された。患者には複数の持病があり、免疫抑制治療を受けていた。8月18日に採取された検体は、RT-PCR法によりA型インフルエンザウイルスに陽性で、SARS-CoV-2には陰性であることが分かった。抗ウイルス剤による治療を受け、8月25日に退院した。患者は発症の1週間前にある農場の豚へのばく露歴があったが、ばく露と感染との関連性は確認できない。
 予備的な疫学調査では、当該患者の接触者にインフルエンザ様症状に類する症状を呈した者はいなかった。報告時点で、同じばく露源にばく露された者又は濃厚接触者を特定するための血清学的調査などの更なる調査が継続中であった。当該地域の衛生当局は、更なる調査のため、豚と接触し、急性呼吸器感染症の症状(発熱、咽頭痛、頭痛、咳)を呈する人に注意するよう要請された。
 2021年9月30日、WHOはオーストリアのインフルエンザA(H1N2)vウイルスによるヒト感染症例1例の通知を受けた。当該症例は、オーバーエスターライヒ州の29歳の免疫障害を有する男性である。患者は2021年8月31日にインフルエンザ様疾患のため医療機関を受診した。9月1日、RT-PCR法により、採取された検体がA型インフルエンザウイルス陽性で、その他の呼吸器病原体は陰性であることが確認された。患者は予防のため9月1日から3日まで入院し、抗ウイルス剤を用いた治療を受けた。9月12日時点で、A型インフルエンザ陰性となり、回復した。患者は、患者が居住し働いていた農場で豚へのばく露歴があった。
 疫学的調査により、患者の接触者でA型インフルエンザウイルスに陽性であった者はいなかったことが分かった。当該農場の豚から採取された複数の検体は、当該ヒト症例から検出されたウイルスと類似するインフルエンザA(H1N2)ウイルスに検査陽性であった。当該ヒト症例由来ウイルスはWHOコラボセンターで更なる特性評価が行われている。
 前回のリスク評価以降、米国においてさらに2例のインフルエンザA(H1N2)vウイルス感染ヒト症例が検出された(アイオワ州及びオハイオ州)。両患者(小児)は入院せず回復した。アイオワ州の事例では、ヒトからヒトへの伝播は確認されていない。オハイオ州の事例では、患者もその家族も豚との接触を報告していない。したがって、限定的なヒトからヒトへの伝播が起こった可能性があると結論付けられた。
 インフルエンザA(H3)変異型ウイルス(A(H3)v)
 前回のリスク評価以降、米国アイオワ州でインフルエンザA(H3N2)vウイルス感染ヒト症例1例が検出された。当該患者(小児)は入院しておらず回復しており、ヒトからヒトへの伝播は確認されていない。
・リスク評価
(1)豚インフルエンザウイルス感染の更なるヒト症例が発生する可能性
 豚インフルエンザウイルスは世界中の多くの地域の豚の間で流行している。地理的な位置により、これらのウイルスの遺伝的特性は異なる。ほとんどのヒト症例は散発的なもので、感染した動物或いは汚染された環境との接触を通じた豚インフルエンザウイルスへのばく露が原因である。ヒトでの感染はほとんどの場合、軽度の臨床疾患となる傾向がある。これらのウイルスは豚集団で検出され続けているため、更なるヒトの症例が予想される。
(2)豚インフルエンザウイルスがヒトからヒトへ伝播する可能性
 現在のエビデンスでは、これらのウイルスはヒトの間での持続的な伝播能力を獲得していないことが示唆されているため、その可能性は低い。
地域 その他
国・地方 その他
情報源(公的機関) 世界保健機関(WHO)
情報源(報道) 世界保健機関(WHO)
URL https://cdn.who.int/media/docs/default-source/influenza/human-animal-interface-risk-assessments/influenza_summary_ira_ha_interface_oct_2021.pdf