食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05680170149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、殺虫剤及び殺菌剤として植物保護において使用されるblack soap(E470a)の基本物質としての認可申請に関する欧州連合(EU)加盟国とEFSAとの協議の結果をテクニカルレポートで公表
資料日付 2021年8月30日
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概要(記事)  欧州食品安全機関(EFSA)は8月30日、耕地作物、野菜類、ベリー類の果実等への殺虫剤として、及び野菜類等への殺菌剤として植物保護において使用されるblack soap(E470a)の基本物質としての認可申請に関する欧州連合(EU)加盟国とEFSAとの協議の結果をテクニカルレポート(2021年8月11日承認、57ページ、doi:10.2903/sp.efsa.2021.EN6828)で公表した。概要は以下のとおり。
 Black soapは欧州委員会がInstitut Technique de l’Agriculture Biologique社から基本物質としての認可申請を受理した有効成分である。
 2013年3月、欧州委員会はEFSAに対して申請の評価に関する科学的支援を行うよう要請した。2021年6月、EFSAは更に欧州委員会から、当該有効成分の基本物質としての認可申請に関する協議を行い、受理した意見に関して申請者と協議し、提起された特定の項目に関する科学的意見を提出するよう要請された。
 基本物質「Black soap E470a」は、8~18個の炭素原子を含む脂肪酸のカリウム塩類で、炭素鎖に二重結合が存在する可能性がある。脂肪酸のカリウム塩類は、主に洗浄剤や化粧品に使用される「Black soap」として、また食品添加物(E470a)として市場で入手可能である。提供された情報では、基本物質「Black soap E470a」が、食品添加物であるE470aに対して設定された規格に適合していることを示すことはできなかった。申請書(2021年6月更新)に記載されているリンクはどれも申請者が提案する規格を明確に満たすBlack soapを入手できるウェブサイトに繋がらないため、グリセロールを含まず、石けん製品に含まれる一般的な添加物(染料、保存料、香料等)を含まないE470aの規格を満たすblack soap製品が市場で入手可能なこと、及び植物保護製剤として市販されていないことが示される必要がある。
 使用される調製品は500g/Lの「Black soap E470a」を含有する可溶性濃縮物である。当該製品は、殺虫剤として耕地作物等に、及び殺菌剤として野菜等に大量のスプレーによる施用を意図している。
 ヒトの健康及び動物の衛生に関して、「Black soap E470a」(脂肪酸のカリウム塩類)に関連する主なハザードは炭素鎖の長さによる刺激性/腐食性特性である。今回の申請において評価された物質に関する調整され、通知された分類は欧州化学品庁(ECHA)のウェブサイト(CAS 8046-74-0;Soaps、カリウム)には報告されていない。動物において、非常に高い投与量でいくつかの繁殖及び変異原性の影響が観察されている(米国環境保護局(EPA))が、これらの知見の信頼性は提供された情報に基づき判断できなかった。利用できる文献検索において、神経毒性、免疫毒性及び内分泌かく乱特性を示すものはない。更に、EFSAの「食品添加物及び食品に添加される栄養源に関する科学パネル」(ANSパネル)は許容一日摂取量(ADI)は必要ではなく、食品添加物の脂肪酸のナトリウム塩類、カリウム塩類、カルシウム塩類及びマグネシウム塩類(E470a及びE470b)は報告された用途及びレベルでは安全性の懸念はないと結論付けた(ANSパネル2018)。ANSパネルは欧州委員会規則(EU) No 231/2012の規定に従ってEUの規格が定義された脂肪酸塩類を評価したことが留意されている。
 もし申請者が食品添加物E470aの規格を満たす製品が市場で入手可能であることを示していれば、毒性学的参照値及びばく露量レベルは必要なかったであろう。しかしながら、このエビデンスが提供されなかったこと、及びblack soapは洗浄剤又は化粧製品として市場にあることから、添加物、保存料及び不純物の存在が排除できなかった。したがって、植物保護のための有効成分として意図される用途(スプレーによる大量の施用)に関連してヒトの健康及び動物の衛生に関する潜在的な懸念を排除するために、これらの物質の毒性学的プロファイルに関する更なる指標が提供されるべきであった。更に、植物保護を目的とする使用を介したblack soapへのばく露量に関する情報提供が限られており、これらのデータと他の(規制された)使用の結果生じるばく露量との詳細な比較が欠落している。これらのデータがないことから、農薬施用者、農場労働者、通行人及び居住者に関する非食事経由リスク評価を結論付けることはできない。
 「Black soap E470a」(脂肪酸のカリウム塩類)は、食用作物(野菜、ベリー類及び小果、梨状果、核果、オリーブの木)への植物保護製剤としての使用が申請されている。入手可能な情報に基づき、当該化合物が食品グレードの品質であること、つまり当該物質の技術的規格が食品添加物「E470a」(脂肪酸のナトリウム塩類、カリウム塩類及びカルシウム塩類)の規格に適合することを示すことができない。したがって、「BlackSoap E470a」の毒性学的な懸念は低いと結論付けることはできず、結論付けることができれば毒性学的参照値は必要なかったはずである。更に、作業文書SANCO/10363/2012 rev.10 (欧州委員会 2014)に従い、他の全てのばく露経路と意図する用途に従った基本物質としての当該化合物の使用も考慮し、食品添加物としての「Black Soap E470a」へのばく露量の比較が提出されるべきであった。
 現在のところ、食事や飲用水を通じた定量的な消費者リスク評価は確定できない。「Black soap E470a」の技術的規格が、食品添加物であるE470aに設定された規格に適合していることが示されず、潜在的な毒性懸念が提起される場合には、消費者リスク評価を確定するために、完全な残留物データパッケージが提供される必要がある。
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) 欧州食品安全機関(EFSA)
URL https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-6828