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資料管理ID syu05661070160
タイトル 英国食品基準庁(FSA)、遺伝子組換え(GM)及び新食品の規制への取組みに関する国際比較についての報告書を公表(2/2)
資料日付 2021年8月9日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
概要(記事)  第二部では、GMOの規制及び認可に関して、非EU加盟国とEUとの間で比較を行っている。アルゼンチン、豪州、ブラジル、カナダ及び米国に関しては、GMOに対する規制アプローチにおける重要な違いが最も顕著に示されていると言えた。
 これら6か国の市場は、GMO及びGMO由来製品の規制方法において大きく異なる。その一つは、EU及び豪州は製品作出に使われた過程に重点を置いているのに対し、アルゼンチン、カナダ及び米国は、従来の技術により近い方法で作出された製品と実質的に等しい製品はGMOとして規制されない場合があることである。カナダ及び米国には、GMOのレビューの実施に特化した法律はなく、GM製品は対応する従来製品と同じ法律条項に基づき規制されている。
 製品を生み出すために使用された過程よりも最終製品を重要視する国は、アルゼンチン、カナダ、米国及びブラジル(部分適用)である。このような考え方は、新しい技術への柔軟なアプローチを可能とする。豪州の制度は、GMOを作出する又は作出しない技術のリストに関して規制当局による定期的レビューが行われることが前提である。2018年の欧州司法裁判所の決定の結果、EUにおける規制の仕組みでは、新たな突然変異誘発技術によって得られた全ての生物は、自然に発生しない方法で突然変異誘発の技術及び手法による遺伝物質の改変が行われる限り、自動的にGMOと判断されることが確実となった。
 GM食品の表示は、当該報告の範囲において評価が行われた各国間の違いが、消費者にとって最も明白となる領域である。アルゼンチン及びカナダでは、食品中のGM含有量の表示に関する要件は課されていない。そのような表示を義務付けている国は、豪州、ブラジル及びEUであるが、規則は大幅に異なる。米国におけるGM食品は、従来の食品と実質的に同等であると、既に広く判断されているものの、「生物工学を用いて作出された(bioengineerd)食品」という表示の義務化が、最近導入された。
 報告書の最終章では、「新食品」又はGMO由来食品に関する規制の制定及び運用において、国際貿易協定が果たす役割について考察する。考察された世界規模で関連する条約は、関税と貿易に関する一般協定(GATT)、衛生植物検疫措置の適用に関する世界貿易機関(WTO)協定(SPS協定)、貿易の技術的障壁に関するWTO協定(TBT協定)、生物多様性条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書である。2区域以上の管轄区域間の自由貿易協定では、世界規模の協定の原則が遵守され、署名国間の自由貿易が促進される。
 世界的協定のレビューでは、「新食品」あるいはGMO由来食品のいずれにも言及されていないことが明かとなった。特定の規定が存在しない場合、貿易障壁と見なされることなく食品安全が保証されるパラメータを設定可能なSPS協定が、深く関連してくる。当該協定の下では、措置が科学に基づく、必要である、かつ、非差別的であることが実証可能である場合に限り、各国は、ヒトの健康、動物衛生、植物防疫を貿易よりも優先させる措置を講じる権利を有する。SPS協定はまた、コーデックス委員会等の組織により、通常明確化されている国際的な科学コンセンサスを適用して、SPS措置の調和を促進している。コーデックス委員会は、自身が策定した遺伝子組換え生物由来食品のリスク及び安全性の評価に関するガイダンス文書において、カルタヘナ議定書に定められたGMOの定義を適用していることが強調される。
 21世紀の変わり目において、GM作物を規制するEUのアプローチは、WTOで仲裁された論争の対象であった。WTO委員会は最終意見において、EUが1999年6月から2003年8月の期間に、GM製品に対して不当と判断される事実上のモラトリアムを実施したと見なし、当時の承認プロセス及び規制コミトロジーの双方が透明性・適時性を欠き、かつ、予防原則の適用を不適切と判定するに足る科学的知識が利用可能であったと結論した。WTOでの論争の対象ではないが、新食品を構成する物品に関するEUの定義が、南米諸国等との間で議論の対象となった。当該問題は、現行の新食品規制において「第三国由来の伝統食品」の概念を適用することにより、ある程度対処されている。
 EUがカナダ及び日本と締結した貿易協定、ならびに、メルコスールとの協定草案がレビューされた。いずれの協定も、条約のSPS条項内において「新食品」にも、GMO由来食品にも具体的に言及していない。通常、署名者は、適時性かつ透明性のある規制プロセスを保証し、規制上の変更を実施する意図の事前通知を保証する。しかしながら、EU-カナダ間の協定では、「バイオテクノロジー市場アクセス問題に関する対話」として、GMO問題に関するディスカッション・フォーラムに言及している。
 EUとの協定とは対照的に、カナダ、米国、メキシコ間の三国間貿易協定(CUSMA)には、2つの関連するチャプターが存在する。一方はSPS協定と関連し、他方は農業と関連する。後者は「農業バイオテクノロジー」について具体的に言及し、「農業バイオテクノロジー」を従来育種技術と差別化し、適切な規制制度の文脈において、透明性・適時性のあるプロセスを確保するという署名者の契約が再強調されている。
 GM栽培品種専用の関税コードが存在しないため、貿易協定がGM作物の貿易量に及ぼす影響の試算は、大幅に妨げられた。
 報告書「GM及び新食品の食品安全規制に関する国際比較」(2021年4月20日)(215ページ)は以下のURLから入手可能。
https://www.food.gov.uk/sites/default/files/media/document/comparing-international-approaches-to-food-safety-regulation-of-gm-and-novel-foods_0.pdf
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国食品基準庁(FSA)
情報源(報道) -
URL https://www.food.gov.uk/news-alerts/news/report-into-international-approaches-to-the-regulation-of-gm-and-novel-foods-published