食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05610520149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、遺伝子組換えダイズMON 87769×MON 89788を含有する、それから構成される、及び、それから製造される食品及び飼料の認可を求めた申請(EFSA-GMO-NL-2010-85)に関するEFSAの科学的意見書を補足する声明を公表
資料日付 2021年5月12日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  欧州食品安全機関(EFSA)は5月12日、遺伝子組換えダイズMON 87769×MON 89788を含有する、それから構成される、及びそれから製造される食品及び飼料の認可を求めた申請(EFSA-GMO-NL-2010-85)に関するEFSAの科学的意見書を補足する声明を公表した(2021年4月14日採択、PDF版18ページ、DOI:https://doi.org/10.2903/j.efsa.2021.6589)。概要は以下のとおり。
 2015年9月、遺伝子組換え生物に関するパネル(GMOパネル)は、規則(EC) No 1829/2003に基づき、食品及び飼料用途、輸入、及び加工を目的とするダイズMON87769×MON89788の市場投入を求める申請EFSA-GMO-NL-2010-85に関する科学的意見書を採択した。
 2イベントから成るスタックダイズMON 87769×MON 89788は、ダイズ系統MON 87769とMON 89788の従来交配育種により作出される。シングルイベントMON 89788は、植物にグリホサート耐性を付与するCP4タンパク質、5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸シンターゼ(EPSPS)を発現する。単一イベントMON 87769は、Neurospora crassa由来のΔ15デサチュラーゼタンパク質(NcΔ15D)、及びPrimula juliae由来のΔ6デサチュラーゼタンパク質(PjΔ6D)を発現し、その結果、対応するコンパレーター(訳注)と比較して脂肪酸プロファイルが変化しており、その特徴として、新たな脂肪酸(ステアリドン酸(SDA、C18:4ω-3)及びγ-リノレン酸(GLA、C18:3ω-6))の出現、及びリノレン酸(LA、C18:2、ω-6)の減少が挙げられる。申請者が適切な栄養学的評価を提供しなかったため、2015年時点においてGMOパネルは、MON87769×MON89788ダイズ由来の精製漂白脱臭油(RBD GM油)がヒトの健康及び栄養摂取に及ぼす影響に関する評価を完了できなかった。
 2019年5月、欧州委員会はEFSAに対し、遺伝子組換えダイズMON87769×MON89788由来RBD油に対するヒトの栄養評価に関し、申請者から受領した付加情報を評価する任務を課した。RBD GM油の摂取と関連づけられる潜在的な栄養学上の懸念を評価するために、多様な代替摂取シナリオが提供されたが、本評価は主として、RBD GM油の添加が意図されている一連の対象食品を用いた代替シナリオに基づく。 RBD GM油に含有される数種の脂肪酸の摂取推定値、その内でもGLA、SDA、及びLAの摂取推定値は、RBD GM油含有食品と代替される可能性のある食品に対応する食品の消費量に基づく。
 申請者は、当初検討された2008-2012年の「英国の国民及び食生活及び栄養調査」における成人集団(19-64歳)及び幼児集団(1-4.5歳)に由来する摂取データと併せて、EFSAの包括的欧州食品摂取データベースの要約統計量を利用するよう要請された。LA摂取量が総エネルギー摂取量(E%)の1%(1%E)を超過すれば欠乏とはならないが、EFSAはLAの目安量(adequate intake)を4E%と提案している。LAの評価では、これらの値が考慮された。GLA及びSDAの評価は、これらの脂肪酸に対する許容上限摂取量が設定されていないため、ヒト介入試験から導出された悪影響を及ぼさない最大用量(maximum dose without adverse effects、SDAでは4.2グラム/日、GLAでは2.8グラム/日)を参照値として使用して実施された。ヒトではSDAはEPA(eicosapentaenoic acidエイコサペンタエン酸)に急速に変換される点を考慮し、EPAとDHA(docosahexaenoic acid ドコサヘキサエン酸)の合計摂取量に対する5g/日の安全用量も検討に加えられた。
1. SDAについて
SDA摂取推定値が悪影響を及ぼさない最大用量を超過する可能性を示す食事調査が少数ながら存在するが、毒性学的ハザードが特定されておらず推定値が過度に控えめである(conservative)点、及び、ヒトではSDAは急速に代謝される点から、上述のSDA摂取推定値は安全性上の懸念を提起しない。
2. GLA について
GLAは、LA代謝における最初の中間体である。全ての摂取推定値は、悪影響を及ぼさない最大用量を下回り、安全性上の懸念を提起しない。
3. LAについて
従来ダイズ品種由来の油と比較してRBD GM油では含有LA量が低下している点に関しては、検討された全てのケースにおいて摂取量が1E%を超過するため、栄養上の懸念は提起されない。さらに、LAの含有量低下は、RBD GM油がGLAを含有することにより、少なくとも部分的に補償される。
 これらの全情報を考慮し、GMOパネルは、ダイズMON87769×MON89788及びその派生製品、中でも、RBD油の摂取は、ヒトにおいて栄養上の懸念を提起しないと結論する。
 RBD GM油が、食品サプリメントや乳幼児用食品等、本評価において検討されていない食料品に広く利用される場合、現在の栄養評価を再検討する必要が想定される。市販前リスク評価において考慮された予測摂取量及び使用条件の適用状況を確認するために、市場後の監視計画が推奨される。
 (訳注)
コンパレーター: EFSAの評価書におけるcomparator(s)とは、評価対象となるGMOイベントと可能な限り近い遺伝的背景を有し、GMO栽培条件と同等の条件にて栽培され、以下のEFSAのガイドラインの規定を満たす特定の栽培品種(群)を指す。
Guidance on selection of comparators for the risk assessment of genetically modified plants and derived food and feed
DOI: https://doi.org/10.2903/j.efsa.2011.2149
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) 欧州食品安全機関(EFSA)
URL https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6589