食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05550250149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、基準期間2014~2016年及び2016~2018年の農薬残留物への累積食事由来ばく露量の比較に関する声明書を公表
資料日付 2021年2月8日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  欧州食品安全機関(EFSA)は2月8日、基準期間2014~2016年及び2016~2018年の農薬残留物への累積食事由来ばく露量の比較に関する声明書(2020年12月18日採択、28ページ、doi: 10.2903/j.efsa.2021.6394)を公表した。概要は以下のとおり。
 農薬の累積リスク評価に関する試験的な計画の一部として、EFSAは2020年4月、甲状腺へ慢性影響を及ぼす農薬及び神経系へ急性影響を及ぼす農薬の累積摂食リスク判定に関する2件の報告書を公表した。これらの評価は2014年、2015年及び2016年におけるEU加盟国の公式の監視計画に基づき収集された監視データを使用して、10の消費者集団(異なる国、年齢グループからの)に関する遡及的ばく露量評価に基づく。これらの農薬に対する累積ばく露量は様々な程度の確実性をもって、規制上の検討の閾値を上回らないと結論されたが、これらの農薬に対するばく露量は経時的に変化する可能性があり、新たなリスク判定が必要とされるであろう。ばく露量のパターンにおける変化の可能性を特定するために、EFSAで現在利用可能な直近の3年ごとの監視データ(2016年、2017年及び2018年)を使用してEFSAはばく露量の算出を再度行い、これらの結果を以前の基準期間に得られた結果と比較した。
 以前の評価と同様に、インナーループエクセキューション(inner loop execution)とアウターループエクセキューション(outer loop execution)から成る2次元モンテカルロシミュレーションを用いて、慢性及び急性の両方のばく露量の推定値が得られた。母集団内の変動はインナーループエクセキューションを通してモデル化され、ばく露量分布のパーセンタイルとして表現される。アウターループエクセキューションは、これらのパーセンタイル(入力データのサンプリングの不確かさを反映した)を中心とした95%信頼区間を導出するために使用される。
 ばく露量の推定値はばく露量分布の異なるパーセンタイルに関して得られ、各パーセンタイルで総ばく露マージン(MOET:推定ばく露量に対する毒性学的参照値の比)が計算された。ばく露量分布の99.9パーセンタイルが以前の基準期間のリスク判定の出発点として使用されたため、99.9パーセンタイルで得られた推定値のみが比較の対象として検討された。
 慢性ばく露の推定値の比較は、MOETの信頼区間と主な寄与物質が前回(2014年~2016年)と比較して大きく変化していないことを明らかにした。しかし、急性ばく露の推定値の比較は、信頼区間が前回の2014年~2016年の推定値と比較して大幅に広くなり、二峰性を示すことを明らかにした。また主な寄与物質の分析は、2016年~2018年までの存在量データの中で、油糧生産用オリーブ中のオメトエート(omethoate)の寄与が1回測定されたことにより6倍から9倍に増加していることを示した。そのため急性ばく露量計算は、この特定の測定を除外して2回目が実施された。2回目の計算結果は、信頼区間が狭くなり、2014年~2016年のばく露量推定値と比較して、ばく露マージンがやや大きくなる方向に移動していることを示している。
 全体的に、前回の基準期間(2014~2016年)と比較して、甲状腺に慢性影響を及ぼす農薬へのばく露量と神経系に急性影響を及ぼす農薬へのばく露量に大きな変化はなかった。これらの知見は、1年ごとに累積リスク評価を繰り返す必要はなく、EFSAが意図するように3年ごとに累積リスク評価を繰り返すことで、起こりうるばく露量の変化に適切に対応できることを示唆している。
 これらの計算はまた、ばく露量分布の99.9パーセンタイルにおける累積ばく露評価の結果が、特定の標本における単一の測定値に大きく影響されるという以前の知見を確認した。標本抽出の不確実性が高い場合、このような測定は信頼区間が広いことを特徴とする不安定なばく露推定値を作ることになる。加工食品としてそのほとんどが消費される食品(油糧用オリーブやワイン用ぶどう等)は、未加工品のモニタリング標本数が少ないため、標本抽出の不確かさの影響を受けやすい。
 したがって、現在実施されているEUの複数年管理プログラムに従って、油糧用オリーブやワイン等の加工食品のモニタリング標本数が未加工品の標本数よりも多いため、これらの加工食品の存在量データを含めるように確率論的モデルを調整することが推奨される。さらに、農薬残留物に関する年次報告書において、食事由来ばく露量の評価のための確率論的モデリングを実施することが推奨される。これによりEFSAは、特定の有効成分及び食品に関する懸念事項を年単位で特定し、そのような懸念事項が累積リスクに影響を及ぼすと予想される場合には、その場の累積リスク評価を開始することができるようになる。
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) 欧州食品安全機関(EFSA)
URL https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6394