食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05400010305
タイトル 欧州連合(EU)、特定の食品中又は表面における塩素酸塩に関する最大残留基準値(MRL)の改正を公表
資料日付 2020年6月8日
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分類2 -
概要(記事)  欧州連合(EU)は6月8日、特定の食品中又は表面における塩素酸塩(chlorate)に関する最大残留基準値(MRL)に関して欧州議会及び理事会規則(EC) No 396/2005付属書III(訳注:暫定的なMRLの設定を規定)を改正する欧州委員会規則(EU) 2020/749を官報(PDF版14ページ)で公表した。
 欧州理事会指令91/414/EEC付属書Iに塩素酸塩を収載しないとしたことを受けて、欧州委員会決定2008/865/ECの規定に従って、塩素酸塩を含有する植物保護製剤に関する全ての認可は取り消された。塩素酸塩に関する特定のMRLは設定されておらず、規則(EC) No 396/2005付属書IV(※訳注)に収載されていないため、現在0.01mg/kgのデフォルトのMRLが同規則付属書Iに収載されている全ての食品及び飼料に適用される。
 以前の植物保護製剤中の使用を別にして、塩素酸塩は食品及び飲用水の処理における塩素系殺菌剤の使用の結果生じる副産物として産生される物質でもある。これらの使用は食品中に塩素酸塩の残留物が検出される現在の状況に繋がる。
 欧州食品安全機関(EFSA)は食品及び飲用水中の塩素酸塩の残留物の存在を調査するために、2014年から2018年の間にモニタリングデータを収集した。これらのデータは、塩素酸塩の残留物が往々にして0.01mg/kgのデフォルトのMRLを超過するレベルで存在すること、塩素酸塩の供給源及び食品によりそのレベルが異なることを示した。これらの知見から、仮に正しい方法が使用されたとしても、塩素酸塩の残留物が0.01mg/kgのMRLを遵守するレベルを達成することは可能ではないことがわかる。
 EFSAは食品中の塩素酸塩の存在に関連して、公衆衛生のリスクに関する科学的意見書を採択した。EFSAはその意見書において、3μg/kg体重/日の耐容一日摂取量(TDI)及び36μg/kg体重の急性参照用量(ARfD)を設定した。EFSAは2014年に収集されたデータに基づき、塩素酸塩への急性の食事性ばく露量はARfDを上回らないと結論付けた。欧州諸国における塩素酸塩への食事性ばく露量の平均値は、軽度から中程度のヨウ素欠乏症の乳児及び年少の小児のような人口集団の下位集団においてTDIを上回った。
 いくつかの関連する部門における連携した活動を通じて塩素酸塩のレベルを引き下げ、ばく露量を低減するために、飲用水への活動、衛生、及び食品・飼料に関する暫定的なMRLの設定を含む同時に実施すべき一連の活動から成る多くの学問領域にわたる行動計画が2017年EU加盟国により合意された。
 本規則は食品中の暫定的なMRLを設定する。この目的のため、2014年~2018年にEU加盟国及び事業者により大量の存在量データが収集された。これらのデータは存在量のレベルが減少する全般的な傾向を示し、製造管理が既に一定程度改善していることを示唆する。残留物が農薬の使用に由来するのではなく、食品加工及び飲用水処理における塩素系溶剤の使用の結果生じる塩素酸塩の特定のケースにおいて、十分な衛生管理を確実に実施すると同時に、MRLは適正な製造管理に従って「合理的に達成可能な範囲でできる限り低い(ALARA原則)」レベルで設定しなければならない。
 ALARA原則に従った塩素酸塩の暫定的なMRLは、食品加工において規則に基づき処理した飲用水を使用することを考慮し、95パーセンタイルの存在量データに基づく。衛生、飲用水の領域における進展の可能性、塩素酸塩のレベルを低減するために食品事業者により実現される更なる進歩、又は更に早期のレビューが実施できるような新たな情報およびデータが入手可能になる場合を考慮して、暫定的なMRLは本規則の公布後遅くとも5年以内にレビューするものとする。
 欧州委員会は、特定の食品中の塩素酸塩の残留物に関する適切な定量限界(LOD)に関してEUのリファレンスラボラトリーに意見を求めた。
以上の経過及び観点から、欧州委員会規則(EU)2020/749を採択する。
第1条 本規則付属書の規定に基づき、欧州議会及び理事会規則(EC) No 396/2005付属書IIIを改正する。
付属書 塩素酸塩に関する欄を同規則付属書IIIのA編に追加する。
農薬残留物及びMRL(mg/kg)
(抜粋)
かんきつ類 0.05、ナッツ類 0.1、ナシ状果 0.05
(※訳注)欧州議会及び理事会規則(EC) No 396/2005附属書IV:農薬の使用による残留が自然発生的なものと区別できないレベルであり、消費者への潜在的なリスクなどの点からMRLの設定は不要と判定された有効成分を収載
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州連合(EU)
情報源(報道) -
URL https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32020R0749&from=EN