食品安全関係情報詳細
資料管理ID | syu04330010305 |
タイトル | 欧州連合(EU)、食品中の無機ヒ素の基準値を設定 |
資料日付 | 2015年6月26日 |
分類1 | - |
分類2 | - |
概要(記事) | 欧州連合(EU)は6月26日、食品中の無機ヒ素(inorganic arsenic)について基準値を設定する委員会規則(EU) 2015/1006を官報で公表した。概要は以下のとおり。 1. 委員会規則(EC) No 1881/2006は、食品中の特定の汚染物質について基準値を設定している。 2. 欧州食品安全機関(EFSA)の「フードチェーンにおける汚染物質に関する科学パネル」(CONTAMパネル)は2009年10月12日、食品中のヒ素に関する意見書(EFSA Journal 2009; 7(10):1351)を採択した(訳注:同意見書はその後2回改訂された)。この意見書においてCONTAMパネルは、無機ヒ素が皮膚がんに加え、肺がん及び膀胱がんを引き起こし、また、国際連合食糧農業機関(FAO)/世界保健機関(WHO)合同食品添加物専門家会議(JECFA)が検証したばく露量より低いばく露量において様々な有害影響が報告されていることがデータにより示されたため、JECFAが設定した暫定耐容週間摂取量(PTWI)の15μg/kg体重/週は、もはや妥当ではないと結論づけた。 3. CONTAMパネルは、肺がん、皮膚がん、膀胱がん及び皮膚病変についてのベンチマーク用量信頼下限値(BMDL01)(※1)として0.3~8μg/kg体重/日の範囲を特定した。この科学的意見書は、(1)欧州における平均的摂取者及び高摂取者の無機ヒ素に対する食事経由の推定ばく露量は、特定されたBMDL01値の範囲内であり、(2)このためばく露マージンはほとんど或いはまったくなく、一部の消費者に対するリスクを排除することができない、と結論づけた。 4. この科学的意見書は、食事経由の無機ヒ素へのばく露が最も高い集団として、特定の民族集団及び3歳未満児など欧州における米の高摂取者を特定した。3歳未満児の無機ヒ素への食事経由ばく露量(米を主成分とする食品由来を含む)は、成人のばく露量の約2~3倍と一般的に推定される。 5. 米及び米を主成分とする製品について無機ヒ素の分析結果は信頼できるものであるため、米及び米を主成分とする製品に対し、無機ヒ素の基準値を設定することが望ましい。ヒ素含有量の観点から区別した基準値を提案することが望ましい。 6. パーボイルド精米(※2)に対する特定の基準値の必要性に関する科学的知見は、ごく最近のものである。したがって、EU加盟国は、この産品に対する特定の基準値の必要性を確認し、また、その基準値を再評価するため、この産品の無機ヒ素含有量に関する追加データを2018年1月1日の前日まで収集することが望ましい。 7. ライスワッフル、ライスウエハース、ライスクラッカー及びライスケーキは、無機ヒ素を高濃度で含有している可能性があり、これらの産品は、乳児及び幼児の無機ヒ素への食事経由ばく露量に対する重要な寄与因子になり得ることを存在量データが立証している。このため、これらの産品に対する特定の基準値を把握することが望ましい。 8. 米は、乳児及び幼児用の多種多様な食品における重要な原材料である。したがって、このような乳児及び幼児用食品の原材料として使用される場合において、この産品(訳注:乳児及び幼児用食品の製造用の米)に対する特定の基準値を設定することが望ましい。 以上の経緯及び観点から、委員会規則(EU) 2015/1006の附属書に基づき規則(EC) No 1881/2006の附属書を一部改正し、無機ヒ素(3価のヒ素と5価のヒ素の総量)の基準値を以下4項目の食品分類に設定することになった。 (1)パーボイルド加工をしていない精米(白米):0.20mg/kg湿重量 (2)パーボイルド米及び玄米:0.25mg/kg湿重量 (3)ライスワッフル、ライスウエハース、ライスクラッカー及びライスケーキ:0.30mg/kg湿重量 (4)乳児及び幼児用食品の製造用の米:0.10mg/kg湿重量 委員会規則(EU) 2015/1006は、官報掲載の20日後に発効し、同規則により設定された無機ヒ素の基準値は、2016年1月1日から適用される。 (訳注) ※1:疫学研究のデータから算出した、ヒトのばく露群において影響を示す症例数を対照群と比較して1%増加させるベンチ―マーク用量の95%信頼区間の下限値。 ※2:籾殻のついたままの米を一度煮沸した後に乾燥・脱穀したもの。 |
地域 | 欧州 |
国・地方 | EU |
情報源(公的機関) | 欧州連合(EU) |
情報源(報道) | 欧州連合(EU) |
URL | http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32015R1006&from=EN |