食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu03220210476
タイトル オーストラリア農薬・動物用医薬品局(APVMA)、自然環境保護団体のWWFオーストラリア作成の有害農薬リストに対する反論コメントを公表(その1)
資料日付 2010年9月20日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  オーストラリア農薬・動物用医薬品局(APVMA)は9月20日、自然環境保護団体のWWFオーストラリアが最近National Toxics Network(NTN:汚染物質廃絶目的の地域密着型NGOネットワーク)に委託し、豪州で登録されている最も有害な農薬リストを作成したことを受け、これに反論するコメントを公表した。その概略は下記のとおり。
1. NTNは、2010年時点において豪州で認可された有効成分120点以上をリストに載せている。「有害」化学物質として選定するために以下の基準が用いられた。
(1) EUで禁止されている物質
 約80点の有効成分がEUで禁止されているとしてリストに掲載された。NTN/WWFは、これらの成分が「ヒトの健康及び環境にリスクをもたらすために」禁止されたと主張している。この主張は2つの点で間違っている。先ず、NTNは、最近のEUレビュー手続きの結果を誤って伝えている。最近終了したEUの植物防疫化学物質に関するレビューを例に取ると、レビューの開始時点で使用されていた有効成分の65%についてはヒトの健康または環境問題の面で正式に評価されていなかった。これらの成分は、評価段階前に製造者により取り下げられた。商業的な配慮がこの取下げの主要な理由であった。製造者は、レビュー過程を通じ問題の化学物質を裏付ける新たな化学的データを生成するために何十億ドルも費やす必要が生じたであろう。多くの場合、これらの化学物質販売からの商業的利益は、そのような投資を支えるには不十分であり、多くの製造者は単に取下げを選択した。約34%が評価を受け、70件(総数の7%)は健康あるいは環境的理由で評価から落ちた。
 NTN/WWFは、評価から取り下げたものと評価から落ちたものを一纏めにし、これら全てがヒトの健康及び環境に対する懸念のために禁止されたと主張している。これは明らかに真実ではない。EUで認可されていないことが有害な化学物質の特定方法であるかのように示唆することには重大な欠陥がある。NTN/WWFの主張にはもっと基本的な面で不備がある。EUで禁止されていると主張する化学物質の多くは、多数のEU諸国において免除規定の下に使用が継続されている。植物防疫化学物質だけをみても、80点の約25%は1ヵ国以上のEU諸国で使用が認められている。より重要なことは、特定された80点の化学物質は、カナダ、米国、ニュージーランド、南アフリカなど規制制度が良く発達した諸国において広範に使用されていることである。また、EUが豪州で認められていない有効成分を認可していることに留意するのは重要である。この理由により、EUでの有効成分認可の欠如を基準とすることは、有害物質定義の有意な根拠とはならない。
(2) WHOが危険と特定している物質
 次にNTNが有害物質の定義で使用している基準は、WHOが重大な危険性をもたらすと定義しているものである。この定義には、若干のメリットがある。例えば豪州国内では、全ての薬品及び毒物については、全国薬品・毒物目録作成委員会(National Drugs and Poisons Scheduling Committee)により目録に掲載される。同委員会が維持している一覧表(schedule)、Schedule 7は「危険な毒物」と表示されている。この一覧表は、低暴露で害を及ぼす高い潜在力を持ち、製造、取扱いまたは使用中に特別な注意が必要な成分に係わっている。この表示法は危険の指示となるが、WHOの危害分類と同様に、化学物質は、人々が有害なレベルで暴露された場合にのみ危険となる。もし規制機関がこれらの物質を含む製品を登録する場合には、暴露を安全なレベルに制限するために十分な管理措置を整備しなければならない。これらの管理措置は重要である。Schedule 7の成分は、許可を受け、安全に取り扱う技能を有する専門的な使用者にのみ入手可能である。その所有、貯蔵及び使用を規制する特別の条件もまた適用される。
 従って、危害分類には危険表示で若干の価値はあるが、その価値は潜在的な危害要因を特定することだけにある。一般的に、表示上の指示が遵守され、使用者が必要な訓練を受けている限り、危険な有効成分を含む製品は安全に使用され得る。興味深いことに、現在、200点近くの有効成分が委員会により危険な毒物として一覧表に掲載されているが、NTN/WWFのリストではそれらの30点以下しか掲載されていない。
(3) 規制機関により潜在的発がん物質及び内分泌撹乱化学物質として指定されている物質
 化学物質がヒトにおいて、がんを促進させる潜在力を有するかもしくは内分泌撹乱化学物質であるかに関しては、双方が化学物質危険性の具体的な例であるために、一緒に論じられる。重要な概念は暴露である。化学物質は、人々が有害なレベルで暴露される場合に効果を発揮する。規制機関はこれらのリスクを真剣に考慮し、大量のデータを評価、一般的に安全な暴露値が明確に設定され得る場合にのみ製品の使用を認可する。よって、化学物質を潜在的に発がん性あるいは内分泌撹乱性物質と分類することは、末端使用者への危険性に対する正しい措置ではない。化学製品の認可された使用は、表示上の指示に従って使用される場合、そのような危険性をもたらす可能性はない。
地域 大洋州
国・地方 豪州
情報源(公的機関) オーストラリア農薬・動物用医薬品局(APVMA)
情報源(報道) オーストラリア農薬・動物用医薬品局(APVMA)
URL http://www.apvma.gov.au/news_media/our_view/2010/2010-09-17_dangerous_pesticides.php