食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu03191010330
タイトル 英国健康保護局(HPA)、感染症情報(Health Protection Report)第4巻32号を公表
資料日付 2010年8月13日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  英国健康保護局(HPA)は8月13日、感染症情報(Health Protection Report)第4巻32号を公表した。今号の主要掲載項目は以下のとおり。
1. イングランドにおける最近のサバ科魚類による食中毒(scombrotoxic fish poisoning)事件
 6月末から7月末にかけてイングランド及びウェールズでサバ科魚類食中毒(Scombrotoxic fish poisoning: SFP)のアウトブレイクが2件また症例が2件報告された。6月末以前には、4月に1件、5月に2件、6月初頭に1件発生し、6人の患者が出た。SFP症例は、暖かい気候の際に適切に貯蔵・取扱い・調理されていない魚の摂取により発生し易い。
 最近のアウトブレイク/症例4件は南部イングランドの3地域で発生した。これら4件の全ては食品施設(レストラン)が関係しており、そのうち3件はマグロの摂取、もう1件はサバの摂取によるものであった。10人の患者が出た。レストランの2店における残品について検査したところ、1店のマグロから高濃度(>4500 ppm)のヒスタミンが検出された。このことは、レストランにおけるマグロ開封後に不適切な取扱い及び不十分な冷凍貯蔵を示している。他の事例では、生のマグロの真空パックに高濃度のヒスタミン(185ppm)が検出された。漁獲後、貯蔵、輸送のいずれかの段階で、或いはレストランでの不適切な温度調整を示唆している。
2. クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)に関する半期更新情報 (2010年7月13日付け)
(1) 外科手術による潜在的医原性暴露 (potential iatrogenic exposure)によるCJD症例 (2000年から2010年6月30日)
 全期間における症例の総件数は417件となっている。2010年の上半期(2010年1月1日~6月30日)においては、6件の手術による感染症例が報告された。これら初発患者のCJDの分類ごとの感染例は以下のとおり。
i. 弧発型CJDからの感染の可能性: 191例 (46%) 2例(2010年上半期)
ii. 変異型CJD(vCJD)からの感染の可能性: 56例 (13%) 0例(2010年上半期)
iii. 家族性CJDからの感染の可能性: 27例 (6%) 1例(2010年上半期)
iv. vCJDリスクのある血液成分の受領者: 20例 (5%) 0例(2010年上半期)
v. vCJDリスクのある血漿製品の受領者: 63例 (15%) 1例(2010年上半期)
vi. その他: 60例 (15%) 2例(2010年上半期)
(2) リスクのある患者が発生した手術による感染症例
 2000年から2010年6月30日までの期間、24件の手術による感染症例が発生し、委員会は156人の患者がCJDのリスクが増大したものとみなされる旨の助言を行った。
(3) 全国匿名扁桃データベース(National Anonymous Tonsil Archive: NATA)に関する半期報告(2010年6月末)
 NATAは、毎週250セットの扁桃サンプルを受領している。2010年6月末までに計87
,721セットのサンプルをイングランド及びスコットランドの病院から受領した。さらに3
,000セットのサンプルが国立神経・神経外科学病院神経研究所の医療研究評議会プリオン班から受領した。データベースにおける扁桃サンプルの合計は90
,721セットとなった。
3. 2010年第27~31週にイングランド及びウェールズの複数個所で発症例(General Outbreak)として報告された食中毒
(1) 感染症センター(Centre for Infections)に全国で31人の発症が報告された。Salmonella Typhimurium DT8が検出された。原因食品は、アヒル肉及びアヒルの卵であった。
(2) イングランド東部のレストランで5人が発症した。サバ毒素が検出された。原因食品はマグロ。
(3) サセックス・サレーのレストランで30人が発症した。病原物質また原因食品ともに不明。
(4) ロンドン南東部のレストランで4人が発症した。病原物質また原因食品ともに不明。
(5) ノフォーク、サフォーク・ケンブリジシャーのレストランで17人が発症した。病原物質また原因食品ともに不明。
4. イングランド及びウェールズにおいて2010年第27~31週の期間に報告された一般腸内細菌感染症
 最近別にみるとカンピロバクターによる症例が最多で6
,327件、2番目がサルモネラ属菌によるもので471件、3番目がジアルジア属によるもので294件、次いでロタウイルスが241件、クリプトスポリジウム症が203件、腸管出血性大腸菌O157が151件、ノロウイルスが104件、またソンネ赤痢菌が63件と続いていた。
 2010年第1~31週の累計では、カンピロバクター、ロタウイルス及びノロウイルスが2009年同期に比べて以下のとおり増加した。(カッコ内は2009件同期件数)
カンピロバクター: 35
,259件 (32
,768件)
ロタウイルス: 14
,708件 (14
,415件)
ノロウイルス: 9
,806件 (5
,282件)
 他方、腸管出血性大腸菌O157、サルモネラ属菌、ソンネ赤痢菌、クリプトスポリジウム症及びジアルジア属のいずれも前年同期と比較して下記のとおり減少した。
腸管出血性大腸菌O157: 408件 (452件)
サルモネラ属菌: 3
,555件 (4
,208件)
ソンネ赤痢菌: 478件 (647件)
クリプトスポリジウム症: 1
,567件 (1
,683件)
ジアルジア属: 1
,874件 (1
,883件)
5. 2010年6月にHPAにおいて記録されたイングランド及びウェールズでのサルモネラ感染症
 症例の総計(暫定数値)は685件で、その血清型はS. Enteritidis PT4が33件、S. Enteritidis (他のPTs)が170件、S. Typhimuriumが195件、S. Virchowが23件、その他が264件であった。
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国健康保護局(HPA)
情報源(報道) 英国健康保護局(HPA)
URL http://www.hpa.org.uk/hpr/archives/2010/hpr3210.pdf