食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu03140550149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、新型H1N1インフルエンザウイルスのヒトへの食品媒介感染の潜在的な原因食品としての豚肉、豚肉製品及び七面鳥肉の科学的評価についてEFSAに提出された科学的報告書を公表
資料日付 2010年6月9日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  欧州食品安全機関(EFSA)は6月9日、新型H1N1インフルエンザウイルスのヒトへの食品媒介感染の潜在的な原因食品としての豚肉、豚肉製品及び七面鳥肉の科学的評価についてベルギーのGhent大学からEFSAに提出された科学的報告書(2010年5月11日、公表容認)を公表した。概要は以下のとおり。
1. 本報告書は、ヒトに持続的感染とパンデミックを引き起こした新型 (パンデミック) 2009 H1N1インフルエンザウイルスの遺伝子構成及び豚由来推定について記述する。豚は実験感染でヒト分離株に容易に感染し、飼養場では感染したヒトが豚にウイルスを時折伝播している。しかし、豚からヒトへの伝播はこれまで報告されていない。七面鳥は生殖器経由による実験感染では感染したが、呼吸器経路では感染しなかった。また、飼育場における雌の繁殖用七面鳥のnH1N1感染の集団発生例が少数ある。食品生産動物としての豚及び七面鳥の感染によって、当該動物種由来の食品又は食用製品がヒトに対する食品媒介感染リスクを持つ可能性に関する疑問の声が上がっている。
2. この可能性について、豚及び七面鳥のnH1N1感染症の明確な病原性の特徴、並びに、一般的なA型インフルエンザウイルスの生物学的特性及び物理化学的特性に基づいて分析を行った。食品生産動物に感染したウイルスがヒトに食品媒介感染を引き起こすための様々な必要条件について論議し、nH1N1インフルエンザウイルスに適用した。
3. これまでに、ヒトが豚の感染源になったヒトから動物への逆の人獣共通感染症が数ヶ国において報告されているが、豚または七面鳥からヒトへの人獣共通感染症の伝播例は報告されていない。しかし、このことは食品が人獣共通感染症のヒトへの感染源になる可能性を排除するものではない。豚のnH1N1感染は呼吸器官のみに生じ、ウイルス血症も他の臓器への伝播も起きていないことが繰り返し示された。nH1N1ウイルスは筋肉に到達しないため、食肉にコロニーを形成しない。と畜または加工時における呼吸器分泌物による豚肉又は豚肉製品の低力価ウイルス汚染の可能性は排除できない。
4. 摂取されたnH1N1ウイルスは、胃腸管に到達すると同時に様々な障害を乗り越えなければならない。哺乳類インフルエンザウイルスは、酸性pH及び胆汁酸(いずれもウイルスに不活性作用を及ぼす可能性がある。)に感受性がある。ヒトの胃腸管が豚インフルエンザウイルスの侵入部位あるいは標的臓器であるという科学的証拠はない。この前提をnH1N1ウイルスに外挿することができる。nH1N1ウイルスが汚染食品とともに摂取された場合、特に当該ウイルスが低力価で存在する場合、或いは当該食品が生食される場合、当該ウイルスは腸に到達する前に不活化される可能性が高い。
5. たとえば感染豚の呼吸器分泌液とともに嚥下された高力価ウイルスは腸内では増殖しない。さらに、食品媒介感染を引き起こすことが知られている典型的なヒトのエンテロ(腸内)ウイルスとは対照的に、インフルエンザウイルスの感染性は、物理的及び化学的物質に対して十分に保たれない(poorly resistant)。インフルエンザウイルスは熱に感受性が高く、高温度における不活化曲線が類似しているため、頻繁に研究された鳥インフルエンザウイルスから得た閾値を、nH1N1を含む全インフルエンザウイルスに適用することができる。たとえウイルスが食肉や副産物の内部に付着していても、70℃に加熱すること及び中高温の調理法によって高力価ウイルスは数秒間で不活化される。七面鳥の潜在的なnH1N1感染症の病因についてはあまり解明されていないが、同様の経験則が適用されるとみられる。
6. 食品加工中にインフルエンザウイルスに汚染された可能性のある器具の消毒に使用される消毒剤のほとんどは当該ウイルスを容易に殺滅し、一般的なlipid solventもウイルス粒子のリポ蛋白質の外層膜で同様の働きを示す。
7. これらのすべての要因を論議し、その評価に基づき、nH1N1インフルエンザウイルスに汚染された可能性のある豚肉、豚肉製品又は七面鳥肉は、食品媒介性疾患の脅威ではないと結論づけられた。

国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部 食品安全情報(微生物)No.13/2010(2010.06.16)P12~13
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2010/foodinfo201013m.pdf
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) 欧州食品安全機関(EFSA)
URL http://www.efsa.europa.eu/en/scdocs/doc/55e.pdf