食品安全関係情報詳細
資料管理ID | syu03111390208 |
タイトル | オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)、オーストリア政府による遺伝子組換えトウモロコシMON810とNK603のマウス長期給餌繁殖試験における生物学的影響に関する研究報告結果の撤回を受け、ファクトシート更新版を公表 |
資料日付 | 2010年4月19日 |
分類1 | - |
分類2 | - |
概要(記事) | オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)は、遺伝子組換えトウモロコシMON810×NK603のマウス長期給餌繁殖試験における生物学的影響についての研究報告結果をオーストリア政府が撤回したとの情報を受け、報告書に示されたデータや統計分析を精査の上トウモロコシMON810とNK603に対して以前行った安全性評価が影響を受けるのかを検証し、従来の立場に変更がないとするファクトシート更新版を公表した。 EUのフードチェーン・動物衛生常任委員会(SCFCAH)に2009年提出された報告書において、オーストリア政府は、「遺伝子組換えトウモロコシMON810×NK603のマウス長期給餌繁殖試験における生物学的影響(Biological effects of transgenic maize NK603xMON810 fed in long term reproduction studies in mice)」と題する研究を、研究者達が満足できる統計分析データを提示できなかったとして、公式に取り下げたことを明らかにした。 FSANZは、同報告書で提示されたデータ及び統計分析について、その結果が当該GMトウモロコシ種に関し従来行った安全性評価に影響を及ぼすがどうかを判断するために精査した。 FSANZ評価の概略 GMトウモロコシを含む餌を給餌されたマウスにおける生殖影響に関するオーストリア報告の結論は、研究で得られた結論によって裏付けられていない。実験計画における重要な欠陥がみられるだけでなく、方法論においても詳細及び透明性を欠いている。データの精査により、以下のように結果の解釈でも大きな欠陥が、また統計的評価においても明らかな間違いが示されている。 1. マウスにおける様々な繁殖措置に関する報告で提示された集計結果の査定により、著者達を誤った結論に導いた幾つかの系統的誤差が明らかになった。生殖研究からのデータ解釈では、受胎能及び繁殖力という二つの違った概念を考慮する必要がある。マウスにおける受胎能は概して、分娩された仔の数と妊娠したマウス数との関係によって決定される。オーストリア研究の著者達は、受胎能計算においてつがいとなったマウス総数(妊娠したマウスと非妊娠のマウス)を使用した。 2. 計算誤差により、RACB研究におけるマウスの第3番目並びに4番目の同腹仔のサイズについてGM食餌群及び非GMコントロール食餌群の間で統計的に有意差が存在すると著者達が誤った報告をすることに繋がった。著者達は、この結果を食餌関連の影響と解釈しているが、結果の科学的精査ではこのような見方を裏付けていない。計算誤差と同様に、第3番目並びに4番目の同腹仔における明らかな統計的差異は、非GMコントロール食餌群における異常な同腹仔サイズに基づいているようにみえる。さらに、GM食餌群における仔の損失が第1番目、3番目及び4番目の同腹仔において、実際には非GMコントロール食餌群よりも低くなっていることに留意する価値があるが、この点に関し著者達は報告していなかった。 3. 通常の毒性評価では、処置関連の影響検査をするために単に統計的な分析に依存するわけではない。統計的分析を用いて多くの個々の生物学的測定法を比較する場合、処置に関連のない若干の有意差がみられるのを認識することが重要である。オーストリアの研究では、このことは、食餌の摂取、体重、同腹仔サイズ、仔の重量及び相対的な精巣、肝臓並びに腎臓の重量に関しMGSにおける2つの非GMコントロール食餌群間での統計的な有意差によって実証された。独立した非GMコントロール食餌群間の差異は、明らかに正常な生物学的変動に起因している。2つの非GMコントロール食餌群間の統計的差異はGM及び非GMコントロール食餌群間の差異を上回っていたことが注目される。 4. 同研究では、選別された動物から採取された小腸サンプルの遺伝子発現を調査するためにDNAマイクロアレイ分析が用いられた。著者達は、非GMコントロール食餌及びGM食餌群間で遺伝子発現に僅かな違いを確認したと主張している。しかしながら、2つの非GMコントロール食餌サンプルを比較した際により多くの遺伝子が発現したことが判明したが、著者達はこの結果の生物学的意義について論評出来なかった。食餌成分による遺伝子発現の変動の分析に際してこのような手法を使用するのは、妥当な科学的アプローチとはいえないことに留意する必要がある。 FSANZの結論 Veliminovel他は総合的な研究を実施したにもかかわらず、得られた結果では、従来型のトウモロコシ餌を給餌されたマウスと比較した場合、GMトウモロコシを含む餌を給餌されたマウスの生殖能力或いは寿命について生物学的に有意な差異は何も示されなかった。その上、DNAマイクロアレイ分析は、様々な食餌群における遺伝子発現に関し、有意義な情報を提示しなかった。入手可能な証拠に基づき、FSANZは、GMトウモロコシNK603系統及びMON810系統に関する従来の安全性評価の結論を追認するものである。 国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部 食品安全情報 (化学物質) No. 9/2010 (2010.04.21) P. 14 http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2010/foodinfo201009c.pdf |
地域 | 大洋州 |
国・地方 | 豪州 |
情報源(公的機関) | 豪州・NZ食品安全庁(FSANZ) |
情報源(報道) | 豪州・NZ食品基準機関(FSANZ) |
URL | http://www.foodstandards.gov.au/scienceandeducation/factsheets/factsheets2010/updateaustriangovern4778.cfm |