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資料管理ID syu03080660325
タイトル 米国衛生研究所(NIH)、マウスのスクレイピー感染実験で脳がスポンジ状にならずアルツハイマー病に似た脳アミロイド血管障害を起こすプリオン病を発見、アルツハイマー病の治療にヒント
資料日付 2010年3月4日
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分類2 -
概要(記事)  米国衛生研究所(NIH)の研究者らは、マウスのスクレイピー感染実験で脳がスポンジ状にならず、アルツハイマー病に似た脳アミロイド血管障害を起こす新形態のプリオン病を観察した。この研究の結果は、最近報告のあったヒトのゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(GSS)2症例の研究結果に類似している。
 正常プリオンたん白は、グリコホスホイノシトール(GPI)アンカーを用いて脳や他の器官内の宿主細胞に付着する。マウスのGPIアンカーを遺伝子除去して、プリオンたん白が細胞に付着することなく、細胞外の液体内を自由に拡散できるようにした。このマウスを感染性スクレイピーに暴露させ、最長500日間発症の有無を観察した。プリオン病に一般的に見られる体重減少、毛づくろい動作の欠失、歩行障害、不活発などの徴候が見られたが、脳組織を検査したところ、神経細胞の内部や周辺にスポンジ状の孔穴が認められなかった。その代わり、脳内血管の外側にプリオンたん白プラークが多量に蓄積しており、脳内動脈・静脈・毛細血管を損傷する脳アミロイド血管障害として知られている病変が見られた。また脳からの通常の排液経路が閉塞しているようであった。
 本研究は、プリオン病が脳血管を損傷するプラークを生じるグループと、プラークを生じることなく神経細胞にスポンジ状の損傷を与えるグループとに分かれ得ることを示唆している。どちらのグループに発展するかは、プリオンたん白アンカーの有無が決め手となるようである。
 今回のマウスモデルと、やはり通常のプリオンたん白細胞アンカーが欠損したヒトGSSの2症例は、プリオン病においてスポンジ状の損傷を引き起こすことなくプラーク性の血管損傷が生じ得ることを初めて示している。この新形態のプリオン病の阻害物質が見つかれば、同種疾患であるアルツハイマー病に適用できるとみている。
 なお論文(全文)は以下のURLから入手可能。
http://www.plospathogens.org/article/info:doi%2F10.1371%2Fjournal.ppat.1000800
地域 北米
国・地方 米国
情報源(公的機関) 米国衛生研究所(NIH)
情報源(報道) 米国衛生研究所(NIH)
URL http://www.nih.gov/news/health/mar2010/niaid-04.htm