食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu02420020334
タイトル アイルランド食品安全庁(FSAI)、トランス脂肪酸の含有量に関する調査結果を公表
資料日付 2008年5月6日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  アイルランド食品安全庁(FSAI)は、2007年に外部機関に委託して実施した調理済み包装食品のトランス脂肪酸の含有量に関する調査の結果報告書を公表した。その概要は以下の通り。
1. 総脂肪含有量及びトランス脂肪酸(TFA)を含む脂肪酸組成を検討するためにアイルランド市場で販売されている包装食品の100サンプルが採取された。これらのサンプルには、製造工程の結果或いは食材から工業的TFAを含む食品、また天然由来のTFAを含むとみられる食品の代表的なものを含めた。しかしながら、本調査では動物由来製品中に自然に存在するTFAについては重きを置かなかった。
2. 調査の対象となった100食品のうち、33品 (すなわち33%)では、水素添加油(hydrogenated oil、HO)を食品成分として表示していたが、67品(67%)は表示していなかった。しかし、HOを食品成分と表示していなかったこれら67品の37%(全100品中の25品)は動物由来であった。水素添加油は、トランス脂肪酸源となる可能性がある。HOを含む乾燥グレービーソースやスープでは全体としてTFAの濃度が最も高かった。しかし、HOを食品成分と表示していた食品の64%ではTFAのレベルが2%以下(総脂肪における比率)であった。従って、食品にHOをその成分として表示が行われていたとしても、必ずしも当該食品中にTFAが含まれていることにはつながらないようにみえる。全体として、調査の対象となった食品の80%では、総脂肪中に占めるTFAは2%以下であった。
3. 公衆衛生上問題なのは、調査した食品中で飽和脂肪酸のレベルが高かったことである。全品目の34%において飽和脂肪酸が総脂肪中50%以上と高いレベルにあった。HOを成分と表示した食品の51%では、飽和脂肪酸が総脂肪中に占める比率は50%以上であった。
4. 現在のところ、広範囲な食品を対象に天然由来のTFAと工業的TFAを区別出来る分析方法はない。その理由としては、反すう動物脂肪並びに水素添加油を含む食品にみられるTFA組成が同様で、様々な水素添加脂肪の間でTFA異性体比率に重複が存在するためである。
 当調査では、TFA組成から天然由来TFAと工業的TFAを区別することはできないことが示された。しかしながら、予想されたとおり、反すう動物由来のサンプルでは、一貫してはいなかったが、TFAに占めるバクセン酸(C18:1、11-trans)とエライジン酸(C18:1、9-trans)の比率は概してより高い傾向があった。
5. 表示ラベルに関しては、サンプルの97%は栄養情報の表示条件を満たしていた。9%の食品は、TFAの有無について明示し、TFAを栄養表示に記載していた。最も一般的な強調表示は、「実質的にトランス脂肪酸フリー」であった。しかしながら、2007年7月に欧州で発効した健康強調規則により、このような強調方法はもはや認められていない。1製品については、その製品に記載されているTFA申告量を超過していた。他の表示問題については、原材料表示における油及び脂肪成分の記載方法は、製品間で著しく違っていた。これについては、消費者が製品を購入する際には十分な情報を得た上で選択をしなければならないので、懸念事項となる。表示方法は、一貫性があり、理解し易いものでなければならない。
6. 要約すると、アイルランド市場で入手可能な100品目を対象とした本調査では、全体としてトランス脂肪酸のレベルが低いことが示された。しかしながら、多くの食品における飽和脂肪酸のレベルは高く、トランス脂肪酸の健康に対する影響を巡る市民の懸念は議論の的である。食品中のトランス脂肪酸含有量を削減し、出来るだけ低く維持する必要があることには疑いがない。産業界にはこの状況を変える創造的な解決法が求められている。そのためには、短期的であってもトランス脂肪酸を飽和脂肪で代えるべきではない。何故ならば、それは、食の健康改善の持続的解決策ではないからだ。
 当該報告書の全文(PDF 36ページ)は下記のURLから入手可能。
http://www.fsai.ie/surveillance/food_safety/other/trans_fatty_survey_retail07.pdf
地域 欧州
国・地方 アイルランド
情報源(公的機関) アイルランド食品安全庁
情報源(報道) Food Safety Authority of Ireland
URL http://www.fsai.ie/news/press/pr_08/pr20080506.asp