食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu02170280188
タイトル フランス食品衛生安全庁(AFSSA)、野生イノシシの肉の中から吸虫Alaria alataのメソセルカリア(mesocercaria) が検出されたことに関する意見書を公表
資料日付 2007年9月14日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  フランス食品衛生安全庁(AFSSA)は、食品総局から下記の諮問を受け、野生イノシシの肉の中から吸虫Alaria alataのメソセルカリア(mesocercaria) が検出されたことに関する意見書を公表した。(諮問受付番号Afssa-Saisine n° 2007-SA-0008)
- フランスにおけるAlaria alataのリスク評価
- 吸虫Alaria alataの生存力(不活化)
- 枝肉の中に侵入したTrichinella(旋毛虫)又はAlariaの分析及び管理方法
1.背景:肉処理場でイノシシの旋毛虫検査を行っていたところ、二生綱吸虫Alaria alataの幼虫が発見された。
2.Alaria alataの潜在的獣疫リスク:Alaria alataは二生綱に属する吸虫で、第1中間宿主(淡水貝類、陸巻貝)、第2中間宿主(甲殻類、魚類、両生類、昆虫やアリ)を経て、終宿主(ヘビ、鳥、哺乳類動物等)に寄生する。第1及び第2中間宿主内で変態し、終宿主で成虫になる。中間宿主でも単為生殖で増殖する。宿主間の移行は経口摂取による。終宿主では、腸管で脱?し、寄生部位(皮下、筋肉、肝臓、腎臓、肺、脳、眼の筋肉や脂肪組織)へと移行する。
3.フランスにおける獣疫データ:2003~2006年旋毛虫検査でイノシシやイノブタの肉から数件発見されている。2006末~2007年初にオーブ県家畜保健局が行なった調査では、野生のキツネや猟犬の便中から寄生虫の卵が発見されている。キツネのAlaria alata寄生虫罹患率はリール市郊外で4%(2003)、アルデンヌ県で26%(2001~2003)との報告がある。
4.フランスにおけるAlaria alataのリスク:イノシシの数少ないデータから正確な評価は出来ないが、現在利用できるデータからAlaria alataが拡散する可能性は「無視できる程度~低」。ヒトの暴露レベルは「ゼロ~無視できる程度」。よって、Alaria alataがヒトに感染するリスクは「ゼロ~中程度」。
5.Alaria alataの不活化:様々な研究報告があるが、概ね-10~-20℃(肉の中心温度)の冷凍で7~20日間、概ね70~100℃(肉の中心温度)の加熱で30~5分間で不活化できる。
6.旋毛虫やAlaria alataに汚染された枝肉の管理と検査手順:旋毛虫は筋肉に寄生するので、筋肉を消化して寄生虫を検出する。Alaria alataのメソセルカリアは様々な器官の筋肉結合組織や脂肪組織に寄生するため、筋肉の消化による検出だけでは不十分であり、筋肉間結合組織や脂肪組織の顕微鏡検査が必要である。
7.結論と勧告:フランスでは吸虫Alaria alataは遍在しているが、今までヒトに感染の症例はなく、米国においてもわずかな症例しかない。従って、フランスにおいては、イノシシ肉を摂食することによるAlaria alataのヒトへの感染リスクは「ゼロか無視できる程度」である。
 感染予防のため、加熱による不活化には74℃(肉の中心温度)で5分以上、冷凍では-20~-22℃(肉の中心温度)で10日間以上とする。また、Alaria alataの検出には病巣組織(筋肉間結合組織や脂肪組織)を顕微鏡で検査することを勧告する。
地域 欧州
国・地方 フランス
情報源(公的機関) フランス食品衛生安全庁(AFSSA)
情報源(報道) フランス食品衛生安全庁(AFSSA)
URL http://www.afssa.fr/Documents/SANT2007sa0008.pdf