食品安全関係情報詳細
資料管理ID | syu02120190188 |
タイトル | フランス食品衛生安全庁(AFSSA)、ブドウ球菌エンテロトキシン食中毒に関する意見書を公表 |
資料日付 | 2007年7月5日 |
分類1 | - |
分類2 | - |
概要(記事) | フランス食品衛生安全庁(AFSSA)は食品総局(DGAl)の諮問を受け、ブドウ球菌エンテロトキシン(Staphylococcal Enterotoxin:SE)による食中毒に関する意見書を公表した。 1.背景 「チリ・コン・カルネ」の缶詰からブドウ球菌エンテロトキシンA型(SEA)が検出され、EC食品飼料緊急警報システムから伝染病宣言が出たことを受けてこの諮問がなされた。主に食中毒原因菌とされるコアグラーゼ陽性ブドウ球菌(CPS)に関し以下についての科学情報や科学文献調査を行なった。 - 用量-反応関係 (relation dose-reponse)に関する知見があるか、及び感受性またはSEの型の違いによる発病性に違いがあるか - 菌株の由来とエンテロトキシンの型に相関関係があるか 2.考察 多数のブドウ球菌があるが、唯一食中毒の原因菌はCPSであり、本意見書では主にCPSを取り扱うものとする。菌の型にもよるが、概ね増殖温度は6~48.5℃、SE生産は10~48℃、酸への感受性は高く増殖下限はpH4、水活性は好気で0.83及び嫌気で0.90。SE生成速度は増殖局面によって変化するが最適増殖温度帯は37℃であった。SEの熱耐性は高く、例えばSEを5μg/ml含むビーフブイヨンを121.1℃で27分間煮沸して不活化することが出来たという報告もある。また、SEの熱変性は可逆的一時的であるとの報告もあり、熱耐性が高いことから加熱による不活化は困難で、イオン照射や低温(冷凍)に対する耐性も高い。ブドウ球菌は常在菌で、環境中や皮膚表面、腸に存在する。 「チリ・コン・カルネ」の生産は、肉の調理(半加工製品サプライヤー)と、材料を混合し缶詰にする缶詰加工(缶詰メーカー)の二つに分けられる。肉のサプライヤーでは肉を加熱加工した後10時間かけて63℃から10℃に冷却する。缶詰メーカーでは肉及び他の素材を混合し味付けして缶詰にするが、それぞれの工程の加工温度は20~40℃で最高でも45℃と低い。「チリ・コン・カルネ」の製造工程のどの過程でも汚染・増殖の可能性がある。殊に缶詰加工は汚染が発生した場合は増殖環境にあるので、適正衛生管理規範を作成して汚染リスクを排除する必要がある。また、サプライヤーにも衛生管理の周知徹底を図らなければならない。 (1)公衆衛生警報 汚染発生の場合の汚染源特定や対処を迅速確実にするため、生産工程の中に汚染機会・増殖機会の高い加工点での温度経過記録、顕微鏡による細菌検査を行なう。ブドウ球菌汚染が疑われた場合はDGAl/SDHA/No.8003に基づいたブドウ球菌エンテロトキシン検査を行い、次いで「生肉」キット及びエライザ法キットで検査する。 (2)量-影響 関係(relation dose-effet) 個体によって様々で明確なデータはないが、概ね10~20μgを摂取すると発症するという報告がある。健康な被験者にSEA、SEB、SECを投与したら全員が3.5μgで催吐したという実験報告もある。年齢や性差はあるが平均値としてはSEAで94ngである。 (3)用量-反応 関係(relation dose-reponse) 消費者の健康被害に関する量-罹患性の関連を取り上げた研究文献はない。 (4)菌株の由来とエンテロトキシンの型との相関関係 CPSはA型のみならず他の型のSEをも生成する。従って、現在の知見ではSEのA型生成とヒト由来菌株の正確な相関関係を確立することは不可能である。食品ではSEの型A~Eを検出することが適当である。しかし、SEのG~I型生成遺伝子は、世界で分離された黄色ブドウ球菌の大半で検出されている。 3.結論 上記が諮問に対する答申である。一般に、ECの「食品衛生パッケージ」とHACCP原則を採用した衛生管理規則と運用を定めた適正業務規範ガイド作成し、サプライヤーを含め作業員に周知徹底し、実施することを推奨する。 |
地域 | 欧州 |
国・地方 | フランス |
情報源(公的機関) | フランス食品衛生安全庁(AFSSA) |
情報源(報道) | フランス食品衛生安全庁(AFSSA) |
URL | http://www.afssa.fr/Documents/MIC2007sa0138.pdf |