食品安全関係情報詳細
資料管理ID | syu01930420110 |
タイトル | カナダ保健省(Health Canada)、米国食品医薬品庁(FDA)のクローン動物リスク評価案に対し提出した意見を公表 |
資料日付 | 2007年5月18日 |
分類1 | - |
分類2 | - |
概要(記事) | カナダ保健省(Health Canada)は5月18日、米国食品医薬品庁(FDA)のクローン動物リスク評価案(Animal Cloning: A Draft Risk Assessment)に対して、カナダ食品検査庁(CFIA)動物製品局長とカナダ保健省食品局長の連名で提出した意見(5月3日付け)を公表した。当該意見の概要は以下のとおり。 1.緒言 当該評価案について我々は技術的な評価を行い、意見を以下に述べる。これらの意見はクローン動物に関するカナダ政府の立場を規定するものではない。 2.全般的所見 FDAが当該リスク案の評価範囲を科学に基づいた分野にとどめ、食品安全や栄養成分組成、クローン動物とその産子の動物衛生問題といった面に焦点を絞ったことはリスク評価として適正であり、FDAの措置に感謝する。しかし、クローン動物を農業分野に適用することは議論の分かれるところであり、クローン技術を取り巻く倫理的論議がカナダ、米国及び国際社会に生じている。よってカナダ政府はクローン動物に関する政策決定の過程において環境への影響やヒトの健康への間接的影響、倫理的配慮、動物衛生上の配慮及び社会経済的配慮などといった考慮すべき諸課題が存在することを認識している。このため、本意見書は食品及び飼料の安全性並びに動物衛生に関連した科学的問題に対する考察のみに限定する。 [訳注:以下、クローン動物、その産子及び由来製品や副産物に関するカナダの関係法令や監督官庁に関する記述。詳細は省略] 3.専門的考察 体細胞核移植(SCNT)クローンに関連した食品摂取リスクを特定するため、FDAの動物用医薬品センター(CVM)はCritical Biological Systems Approach (CBSA)と組成分析の2種類の研究方法を開発した。CBSAは動物衛生データを評価する。組成分析は健康なクローン動物及びその産子由来の製品を従来の非クローン動物由来の製品と比較研究する。 CVMは動物の健康状態について食品及び飼料安全の重要な指標になりうるとしている。(例:健全な動物から健全な食品や飼料が生産される)。たとえば、著しく異常な動物はヒト用食品の供給源にはならない。カナダ政府はこの一般的な仮説の価値を認めるが、それだけではなくCVMも言及しているように、クローン動物の成功例は外見上健康であるが、微細な危害要因又は意図しない変化のリスクをあらかじめ除外するものではない。 当該文書に記述されているように、FDAのCVMのリスク評価案は限られた数の種(牛、豚、山羊等)にのみ適用されており、当該文書のいずれの結論も他の種にあてはめて推論すべきではない。当該リスク評価案はこれらの種のクローニングに関連した食品/飼料安全及び動物衛生の問題の多くを検討しているが、さらに多くの情報によって当該リスク評価案を向上させる余地が幾つかの分野にある。以下はその例だが、これらに限定されるものではない。 (1)「正常」という表現の定義及びクローン動物が正常か否かの問題の扱い方。健全な比較対照として使用できる様々な家畜の乳及び食肉に関する正式な基準データが存在していない。 (2)SCNTクローニングの結果を評価するためのベースライン比較対照。その理由は、胚分割や割球核移植の結果としての動物衛生、食品安全及び動物の組成成分に関係した情報が査読済み当該論文の中では直ちに明らかになっていないことである。また、摂食の安全性を示す記録としても、ベースライン比較対照としても限定的な情報しか提示していない。 (3)動物衛生及び食品/飼料安全の観点からのクローン家畜の寿命に関する研究。また、多世代研究による情報も限定的である。 (4)SCNTクローン動物の一部は外見上健康で繁殖可能な状態に成熟する一方で、より微妙かつ検知が容易ではない影響に関するデータが限定的である。その例として、刷り込み遺伝子の過剰発現、クローン胚における組織培養条件の影響、細胞周期の交替反復及び染色体異常を導く紡錘体機構、遺伝子発現におけるエピジェネティック制御の変化、内在性レトロウイルスの過剰発現が挙げられる。 (5)可能であれば、潜在的な毒性、アレルギー誘発性及び微生物学的影響に関する情報がさらに提供されるべきである。 (6)可能であれば、飼料安全の問題に関して飼料供給行程におけるレンダリング及びその他の手段による廃棄に関する情報がさらに求められる。 4.結論 カナダ政府は食品・飼料安全及び動物衛生に関するクローン動物の研究を継続する上で、当該リスク評価案や他の新しい情報を参考情報として使用する。クローン動物に関するカナダ政府の現在の研究方法は上記のように個別案件ごとに継続する。 |
地域 | 北米 |
国・地方 | カナダ |
情報源(公的機関) | カナダ保健省(Health Canada) |
情報源(報道) | カナダ保健省(Health Canada) |
URL | http://www.hc-sc.gc.ca/fn-an/gmf-agm/anim_clon_lett_e.html |