研究情報詳細

評価案件ID cho99920181703
評価案件 コリスチン耐性菌の出現状況と特性解析に関する研究
資料日付 2019年3月31日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
事業概要 "本研究では、家畜に使用する硫酸コリスチンに係る薬剤耐性菌に関する食品健康影響評価における不足データを収集することを目的に各種試験を実施した。当初、プラスミド性コリスチン耐性遺伝子はmcr-1及びmcr-2しか報告されていなかったが、研究実施中に他のmcr遺伝子も報告されたことから追加して実験した。その結果、mcr-1とともにmcr-3とmcr-5が家畜由来大腸菌から検出された。また、市販肉を調べたところ鶏肉9検体(8.7%)由来大腸菌からmcr-1、鶏肉1検体(1.0%)由来と豚肉1検体(1.0%)由来Aeromonas spp.からmcr-3が検出された。医療から分離された腸内細菌科細菌を調べたところ、コリスチンに対する耐性率は低く、大腸菌の1株でのみmcr-1が検出された。mcr-1とmcr-5単一保有プラスミドが伝達した接合伝達体では、コリスチン耐性のみが伝達した。mcr-3保有プラスミドが伝達した接合伝達株では、コリスチン耐性以外の耐性も伝達した。mcr-1遺伝子保有細菌は同一のプラスミド上に他の耐性遺伝子を保有するものは認められなかった。また、多剤耐性グラム陰性菌をレシピエントとしても接合伝達体は観察されず、mcr-1は接合伝達されにくいと思われた。さらに、mcr-1またはmcr-3保有プラスミドの獲得が生菌数の低下を伴うマウスへの病原性の低下に関与していることに加え、マウス生体内での菌の増殖性の低下をもたらしていることが示唆された。これらの実験成績と既存の公表データを基に定量的な発生評価を実施したところ、現在日本ではと畜場に出荷される肉豚の約5%でmcr遺伝子保有コリスチン耐性大腸菌が腸管内で優勢であると推定された。以上の研究成果は、今後、既存の硫酸コリスチンに関する食品健康影響評価書を再評価する際に有用な情報を提供するものと思われた。

(注)この報告書は、食品安全委員会の委託研究事業の成果について取りまとめたものです。
   本報告書で述べられている見解及び結論は研究者個人のものであり、食品安全委員会としての見解を示すものではありません。"
事業名 食品健康影響評価技術研究
実施機関 食品安全委員会
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