研究情報詳細

評価案件ID cho99920161505
評価案件 食品に対する乳児期のアレルギー性反応獲得メカニズムと発症リスク評価(研究課題番号1505)
資料日付 2017年3月31日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
事業概要  本研究では、IgEの抗原親和性測定法、母乳、血液、環境中のアレルゲン定量法、乳児食物アレルギーの発症機序の解析研究が実施された。研究には、微量検体で定量解析が可能なdensely carboxylated protein(DCP)アレイが用いられた。
 IgEのアレルゲン親和性解析では、抗原の競合的結合阻害によるIC50値で親和性を表す方法が選択された。他の抗原親和性解析方法として、蛋白質の立体構造修飾試薬を用いる方法が知られているが、IgE抗体以外に抗原の立体構造にも影響するため、適切な方法ではないと判定した。母乳や環境中のアレルゲン濃度測定は、DCPアレイを用いたELISA法が確立された。しかし、血清中のアレルゲンは、IgGとの複合体形成が強固でアレルゲンの解離が困難なため定量測定が困難であった。食物アレルギーの発症機序解析では、2013 -2014年に生まれた乳児84名がプロジェクトに参加した。これらの乳児を対象に、卵白(EW)や牛乳(CM)抗原に対する抗体産生を出生時から生後6か月まで、イムノグロブリンクラススイッチの視点で解析した。その結果、出生後から大量のCM抗原を摂取する人工栄養児では、生後2か月の早期にCM特異的IgG1とIgAの高濃度増加と、生後4か月のIgEとIgG2の増加を特徴とするクラススイッチ成熟過程(Type 1)が観察された。Type1では、低いIgE/IgG1比とIgG2産生を伴う低親和性IgE産生をバイオマーカーとして、経口免疫寛容に進むと示唆された。一方、母乳に微量に含まれるEWの感作を受ける母乳栄養児の場合、多くはゆっくりとしたクラススイッチ成熟でType 1が進むが、IgG1増加が不十分な時に一部の乳児で湿疹による経皮感作を受けると、IgG2産生を伴わない高度IgE産生のクラススイッチ成熟過程(Type 2)が観察され、高いIgE/IgG1比と高抗原親和性IgEバイオマーカーとした食物アレルギーへのハイリスク者と推定された。

(注)この報告書は、食品安全委員会の委託研究事業の成果について取りまとめたものです。
   本報告書で述べられている見解及び結論は研究者個人のものであり、食品安全委員会としての見解を示すものではありません。
事業名 食品健康影響評価技術研究
実施機関 食品安全委員会
添付資料ファイル