研究情報詳細

評価案件ID cho99920141401
評価案件 香料化合物のリスク評価手法に関する調査研究(研究課題番号1401)
資料日付 2015年3月31日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
事業概要  本研究では、国際汎用香料化合物54 品目の安全性評価が完了した後に新規指定に向けたリスク評価を必要とする新たな香料化合物のリスク評価手法の指針案を検討・作成することを目的とした。
 食品添加物として香料化合物(合成香料)を新規指定する際に行うリスク評価は、食品安全委員会において、平成15 年に公表された「国際的に汎用されている香料の安全性評価の方法について」(以下、平成15 年評価法)に沿って行われている。この手法の特徴は、反復投与毒性試験データに基づきNOAEL(無毒性量)を求め、推定摂取量と比較して適切な安全マージンが存在するかを判断する。一方、JECFA(FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議)及びEFSA(欧州食品安全機関)の評価手法の特徴は、香料化合物の構造及び推定代謝経路などから3つの構造クラスに区分し、構造クラスごとに設定されたCramer クラス閾値(許容ばく露閾値)と評価対象香料化合物の推定摂取量とを比較するTTC(Threshold of Toxicological Concern)手法を採用していることである。
 国際汎用香料化合物が発出されてから10 年が経ち、国際的に汎用されている新たな香料化合物が生まれており、我が国でそれらを新規指定に向けた安全性評価が期待されている。そこで、海外のリスク評価手法の見直し・整備状況を踏まえて、我が国の評価手法も見直すことが必要であると考えて本研究を実施した。
 本研究では、以下のことを実施した。
1. 海外の香料化合物評価手法文書の収集及び業界へのヒアリング
2. 我が国と海外の香料化合物評価手法の比較
  遺伝毒性評価、一般毒性、病理学的評価、摂取量推定法
3. 構造類似化合物のグループ評価に関する検討
4. ヒトの代謝産物予測ソフトウェアの利用に関する検討
5. 香料化合物評価手法の新指針案の作成と検証
 今回、以下の基本方針基づく香料化合物評価手法の新指針案を作成した。
  (1). 基本は、EFSA の既存香料化合物の評価手法にならう。最初に遺伝毒性評価を行い、次にTTC 手法に基づく一般毒性評価を行う流れとする。
  (2). 遺伝毒性評価では、EFSA が採用している類縁化合物グループ(FGE)に基づき、類縁化合物の遺伝毒性試験結果を参照した評価を認める。
  (3). 医薬品の ICH M7 ガイドラインの手法を参考にして、遺伝毒性試験データがないまたは不十分な場合に、構造アラートの確認にQSAR システムの利用を推奨する。
  (4). 一般毒性評価では、基本的にJECFA の判断樹による評価を採用するが、国際汎用香料化合物の評価と同様に、Cramer の構造クラス分類のStep 33 を採用しないことと、ステップB5(摂取量は1.5μg/day よりも大きいか?)を採用しないことを踏襲する。
  (5). 代謝産物の予測では、実験動物による実験データに基づく評価が基本であるが、ヒトの代謝物予測ソフトも利用しながら専門家判断をすることがふさわしい。
  (6). 摂取量推定法は、MSDI 法を基本とし、我が国の食生活パターンを反映させたSPET 法(日本版SPET 法)を併用することがふさわしい。
 本研究の成果が、食品安全委員会における新たな香料化合物のリスク評価手法の制定に役立つことを期待する。

(注)この報告書は、食品安全委員会の委託研究事業の成果について取りまとめたものです。
   本報告書で述べられている見解及び結論は研究者個人のものであり、食品安全委員会としての見解を示すものではありません。
事業名 食品健康影響評価技術研究
実施機関 食品安全委員会
添付資料ファイル