研究情報詳細

評価案件ID cho99920121107
評価案件 胎児移行性における種差を反映したヒト胎児毒性リスク評価手法の開発(研究課題番号1107)
資料日付 2013年3月29日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
事業概要  化学物質暴露による胎児毒性の評価にはラットが汎用されている。しかし、ラット・ヒト間の胎盤関門透過性には種差が存在するため、ラットデータを用いたヒト胎児毒性予測の精度は低い。本研究では、胎盤透過性における種差を明らかにすることでヒト胎盤透過性予測手法を構築することを目的とした。まず、動脈内単回投与および血管灌流を用いた胎盤透過性評価手法を構築し、化学物質の胎盤透過性を評価した。その結果、化学物質の胎盤透過性は脂溶性の増加に伴って上昇する傾向が示された。ただし、いくつかの水溶性化学物質の胎盤透過性はトランスポーター介在性の胎盤透過機構の存在により非常に高く、一方、MDR1やBCRPなどABC排出トランスポーターの基質となる脂溶性化学物質の胎児移行性は非常に低かった。ABC排出トランスポーターがビスフェノールAなど基質の胎盤透過性に及ぼす影響は、ヒトと比較してラットにおいて大きい傾向が示され、これは胎児毒性の種差に影響する可能性がある。メチル水銀システイン抱合体とロイシンは共に胎盤関門刷子縁膜に発現するLATトランスポーターの基質であるにもかかわらず、メチル水銀システイン抱合体の胎盤透過性はロイシンと比較して非常に低いことが示された。これは胎盤関門基底膜における透過機構の違いを反映している可能性がある。ベタインの胎児から母体方向の胎盤透過性は母体から胎児方向の透過性と比較して大きく、これは胎盤関門基底膜に発現するSNAT2を介した胎児からの取り込み機構によって説明できる。さらに、胎盤刷子縁膜(母体側細胞膜)および基底膜(胎児側細胞膜)ベシクルを胎盤絨毛組織から精製し、各細胞膜におけるトランスポーターの発現量を定量した。ヒト胎盤関門にはGLUT1, ENT1, MCT1, ASCT2, TauT, OATP2B1, OAT4, MDR1, MRP1, MRP4, BCRPといったトランスポーターが発現し、その中でもASCT2, OATP2B1, OAT4, およびMRP1は主に基底膜に発現し、MDR1およびBCRPは主に刷子縁膜に発現していることが示された。以上の研究から、機能および分子レベルにおける胎盤透過性の評価技術手法を構築することができた。これら評価技術は化学物質の胎盤透過性における種差を理解する上で重要な役割を果たすことができる。

(注)この報告書は、食品安全委員会の委託研究事業の成果について取りまとめたものです。
   本報告書で述べられている見解及び結論は研究者個人のものであり、食品安全委員会としての見解を示すものではありません。
事業名 食品健康影響評価技術研究
実施機関 食品安全委員会
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