研究情報詳細

評価案件ID cho99920181604
評価案件 有機ヒ素化合物による発がんメカニズムの解明
資料日付 2018年3月31日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
事業概要 これまでの研究で、食品中に含まれる無機ヒ素および有機ヒ素の生体内代謝物であるジメチルアルシン酸(DMAV)が、無機ヒ素による発がん性に関与していることが明らかとなっている。しかしながら、DMAVによる発がん機構の詳細については未だ不明のままである。本研究は、DMAVによる発がん機構の詳細について明らかにすることを目的とした。DMAV投与F344ラットより得られた初期の膀胱粘膜増殖性病変および膀胱がんについて、mRNAおよびmicroRNAの発現変化について比較検討を行った結果、miR199aの異常な発現によるAhrシグナルおよびWnt/beta-cateninシグナルの活性化が、DMAVによる膀胱がんの発生に関与することが明らかとなった。また、DMAVの経胎盤ばく露によるCD1マウスにおける発がん性について検索を行った結果、雄性仔マウスの成熟後肺および肝臓において腫瘍が誘発されること、その肺発がん過程においてヒストンメチル化異常が関与することが示された。さらに、がん抑制遺伝子Ink4a/Arf欠損マウスを用いたヒ素発がん性試験を行った結果、Ink4a/Arfは無機および有機ヒ素いずれにおいても、その発がん性に関与しないことを明らかにした。また、ヒジキおよびノリ粉末に含まれるヒ素糖は、人工消化液および腸内細菌のいずれにおいても糖骨格構造は分解されないこと、またグリセロールアルセノシュガーはin vitroにおいてその毒性は無機ヒ素より低いことが明らかとなった。以上より、DMAV誘発がんにおいてエピジェネティックな異常の関与がその発がん機構において重要な役割を果たすことが明らかとなった。
事業名 食品健康影響評価技術研究
実施機関 食品安全委員会
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