研究情報詳細

評価案件ID cho99920121006
評価案件 グリシドール脂肪酸エステルおよび3-MCPD脂肪酸エステルの安全性評価に関する研究(研究課題番号1006)
資料日付 2013年3月28日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
事業概要  食用油の精製・脱臭過程で形成されるグリシドール脂肪酸エステル、および酸加水分解植物性蛋白や食用油の精製・脱臭過程で形成される 3-MCPD 脂肪酸エステルは、げっ歯類で発がん性が認められているグリシドールや 3-MCPD に変化する可能性があり、毒性評価が必要と考えられている。これらのエステル化合物のうち食品含有濃度が高いと考えられる物質について、F344 ラットを用いた13週間反復投与毒性試験、in vivo 遺伝毒性試験(小核試験、Pig-Aアッセイおよび F344系gpt delta ラット遺伝子変異解析)および生体内での代謝について検討した。
 グリシドール脂肪酸エステルの 0.03% Tween 80 添加飲料水投与において、グリシドールオレイン酸エステルおよびグリシドールリノール酸エステルは、明らかな遺伝毒性を示さず、13週間反復投与毒性試験において等モル濃度のグリシドールに比較して明らかな毒性は示さなかった。
 3-MCPD 脂肪酸エステルのオリーブオイル懸濁強制経口投与において、 3-MCPD パルミチン酸ジエステル(PD)、3-MCPD パルミチン酸モノエステル (PM) および 3-MCPD オレイン酸ジエステル (OD)は、明らかな遺伝毒性は示さなかったが、13週間反復投与毒性試験において腎臓と精巣上体に対して、等モル濃度の 3-MCPD とほぼ同等の毒性を示し、その NOAEL は雌雄ともそれぞれ、14.8 および 15 mg/kg bw/day と考えられた。
 また、ラットにおいて、上記脂肪酸エステルを上記溶媒を用いて強制経口投与30分後の血清の検討から、経口投与されたグリシドールおよびグリシドールリノール酸エステルは従来の知見と比較して少量ながらグリシドールとして血液中に移行しており、それより多くが 3-MCPD として移行していることが示された。また、その移行量は、グリシドールに比べ、グリシドール脂肪酸エステルではより少量であると考えられた。一方、3-MCPD
, PD
, PM および OD も血液への移行が確認されたが、グリシドールは定量限界以下であり、3-MCPD および PM に比べて PD と OD は少量であった。さらに、グリシドール脂肪酸エステルからグリシドールあるいは 3-MCPD への変化および 3-MCPD 脂肪酸エステルから 3-MCPD への変化は、ラットの胃、十二指腸あるいは盲腸内容物によって触媒されることが示された。
 これらの結果は、グリシドール脂肪酸エステルおよび 3-MCPD 脂肪酸エステルの代謝と毒性プロファイルを明らかにすると共に、毒性評価に資するものであると考える。

(注)この報告書は、食品安全委員会の委託研究事業の成果について取りまとめたものです。
   本報告書で述べられている見解及び結論は研究者個人のものであり、食品安全委員会としての見解を示すものではありません。
事業名 食品健康影響評価技術研究
実施機関 食品安全委員会
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