研究情報詳細

評価案件ID cho99920100901
評価案件 内分泌かく乱作用が疑われる化合物の実験動物を用いた低用量影響評価法の開発(研究課題番号0901)
資料日付 2011年3月31日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
事業概要 事業概要 "[主任研究者]所属:財団法人 残留農薬研究所/氏名:青山 博昭
 様々な動物実験に用いられるげっ歯類(ラット等)に給与する飼料には、マメ科植物由来のタンパク成分として、ポリフェノール類(植物エストロゲン)が豊富に含まれている。ポリフェノール類は何らかの機序でラット等の生殖や児動物の発達に影響を及ぼす可能性があるが、その詳細は解明されていない。
 本研究では,ポリフェノール類を含まない合成飼料(AIN-93G)を自家調製してラットおよびマウスに給与し,それらの動物がポリフェノール類を豊富に含む通常飼料(MF)を給与した動物と同等の繁殖能力を維持できるか検討した。また、マウスの実験においては,種々の繁殖指標に観察されたAIN-93G飼料給与群とMF飼料給与群との差がポリフェノール類含有の有無によるものか否かを検討するため, AIN-93G飼料に300ppmの濃度で大豆イソフラボンを添加した飼料を給与する群を設けて,同様の繁殖指標を観察した。
 一連の実験では、ラットおよびマウスのいずれにおいてもAIN-93G給与群の動物がほぼ正常に繁殖することが観察され,これらの動物を用いた生殖・発生毒性試験がポリフェノール類を除去した条件下で実施可能であることが実証された。一方,AIN-93G飼料に大豆イソフラボンを添加した群の動物に観察された雌離乳児の子宮重量の増加や性成熟の早期化あるいは雄離乳児の性成熟の遅延や性成熟後の精嚢および前立腺重量の低下といった変化は,市販のMF飼料を給与した群の動物に観察された変化とほぼ完全に一致した。これらの結果から,ポリフェノール類を豊富に含む通常の市販飼料にはそれらに起因するエストロゲン活性があり,通常の動物実験では,これまで無処置と信じられていた対照群の動物にも,飼料に含まれるポリフェノール類がエストロゲン受容体を介して動物の表現型が変化する程度に影響を及ぼしていることが強く示唆される。

(注)この報告書は、食品安全委員会の委託研究事業の成果について取りまとめたものです。
   本報告書で述べられている見解及び結論は研究者個人のものであり、食品安全委員会としての見解を示すものではありません。
事業名 食品健康影響評価技術研究
実施機関 食品安全委員会
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