食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05870040314
タイトル ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、プラスチック粒子が健康へ影響を与える可能性を調査した論文の学術誌掲載を公表
資料日付 2022年7月11日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は7月11日、プラスチック粒子が健康へ影響を与える可能性を調査した論文を学術誌Microplastics and Nanoplasticsに掲載したことを公表した。概要は以下のとおり。
 プラスチック粒子は、高分子材料の風化や崩壊、自動車のタイヤや衣服の摩耗等、多様な発生源から環境に侵入する。その結果として、多種類のマイクロプラスチック粒子を吸引したり、飲食物と共に摂取したりする可能性がある。現在の知見では、ヒトの健康に対するマイクロプラスチックのリスクは、比較的低いと考えられている。その大きさは1マイクロメートルから5ミリメートルの範囲にあり、ヒトの細胞に相当量が吸収されて体内に分布するには大き過ぎる。また、消化性は低く、大部分が排泄される。
 しかしながら、さらに小さい粒子、サブマイクロプラスチック及びナノプラスチックでは状況が異なる。これらの粒子の大きさは、1ナノメートルから1000ナノメートルの範囲にある。これらの粒子が人体に侵入可能か否か、そして、どれ程の量が侵入可能であるかに関し、確かな知見は得られていない。
 研究プロジェクト責任者・Holger Siegのチームは、サブマイクロプラスチック粒子とナノプラスチック粒子、及び、両粒子がヒトの小腸と肝臓の細胞に与える影響を対象に研究を実施した。両粒子は極めて小さく研究は困難であり、両粒子が人体組織に及ぼす影響に関して信頼たる洞察を得ることは容易ではなかった。そのためBfRのチームは、多様な顕微鏡分析法や試験手方法を用いている。細胞群は、プラスチック製の食器やカトラリー、あるいは、食品包装に使用される多種類のプラスチックにばく露された。
 粒子が小さいほど、吸収され易いことが判明した。また、粒子の種類も重要な役割を担っていた。小腸の細胞群は、腸内容物と生体間に存在する天然のバリアとして、高い抵抗力を発揮することが判明した。マイクロプラスチックは、極少量しか細胞中に「染み込まない」。一方、サブミクロンの範囲にあるさらに小さい粒子は、腸及び肝臓の細胞内において、より多量に確認されるという測定結果が得られた。サブミクロン・サイズの粒子は、細胞膜に直接付着するか、あるいは、エンドサイトーシスとして知られる過程で形成される細胞膜からなる小胞状構造内に捕捉されていた。
 このような人工的包含物が、細胞の正常な代謝を阻害するか否かは、未解明である。また、プラスチック粒子は、潜在的有害物質を自身に結合させ、「トロイの木馬」として当該有害物質を細胞内に導入する可能性もある。炎症への影響を初めとして、サブマイクロプラスチックやナノプラスチックがもたらす潜在的影響が議論されている。それらの程度の解明は、今後の研究課題である。
 Holger Siegは、「我々は、現実を高度に単純化したに過ぎないモデルシステムを用いて研究室にて実験を実施しているが、本研究成果は、最小のプラスチック粒子の挙動に関する現在の知識におけるギャップを埋める一助となり得る」と当該研究を要約し、「しかしながら、得られた結果がヒトにも当てはまるか否かは、明言できる段階にはない。実験室で得られた成果はフォローアップ実験で検証される必要がある」と加えた。
 当該研究論文は以下にて入手可能。
Beyond microplastics - investigation on health impacts of submicron and nanoplastic particles after oral uptake in vitro
Maxi B. Paul et al.
Microplastics and Nanoplastics vol. 2
, Article No. 16 (2022)
https://microplastics.springeropen.com/articles/10.1186/s43591-022-00036-0
地域 欧州
国・地方 ドイツ
情報源(公的機関) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
情報源(報道) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
URL https://www.bfr.bund.de/en/press_information/2022/27/how_do_cells_react_to_micro__and_nanoplastics_-302326.html
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