食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05810670149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、トロパンアルカロイド類に関するFAO/WHO合同専門家会議の結果を評価した科学的報告書を公表
資料日付 2022年4月1日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  欧州食品安全機関(EFSA)は4月1日、トロパンアルカロイド類(TAs)に関するFAO/WHO合同専門家会議の結果を評価した科学的報告書を公表した(3月9日承認、PDF版17ページ、DOI:https://doi.org/10.2903/j.efsa.2022.7229)。概要は以下のとおり。
 規則(EC) No 178/2002第31条(1)に則り、欧州委員会はEFSAに対し、以下を含むTAsに関するFAO/WHO合同専門家会議(FAO/WHO)の結論に関する声明を要請した。
  1. EFSAのフードチェーンにおける汚染物質に関するパネル(CONTAMパネル)及びFAO/WHOによるリスク評価の結論における差異を評価する
  2. 本評価に基づき、食品及び飼料中のTAsに関する科学的意見の更新が適切であるか否かを結論する
 TAsは、数種の植物において発生する二次代謝産物である。EFSA及びFAO/WHOの評価で検討された主たるTAsは、(-)-ヒヨスチアミン及び(-)-スコポラミンであり、両物質はムスカリン性アセチルコリン受容体の競合的拮抗薬として作用することにより、薬理学的及び毒物学的作用を発揮する。
 EFSA、FAO/WHO共に、TAsの効果を評価するための重要な研究として、ヒト・ボランティアにおける研究(Perhari?ら(2013))を考慮した。CONTAMパネルとFAO/WHOにより実施された(-)-ヒヨスチアミン及び(-)-スコポラミンの毒物学的・薬理学的作用におけるハザードの特性決定の比較から、Perhari?ら(2013)によって実施されたヒトの臨床研究から得られた結果に対する解釈に主たる相違があることが明確となった。
 2013年、CONTAMパネルは、食品及び飼料中含有されるTAsに関連するヒトの健康及び動物平成の健康へのリスクに関する科学的意見書を公表している。(-)-ヒヨスチアミン及び(-)-スコポラミンの薬理作用は投与後短時間で発生することから、当該両物質に対する急性参照用量(ARfD)を確立することが適切であると結論した。ヒト・ボランティアにおける研究から得られた心拍数低下を踏まえ、(-)-ヒヨスチアミンと(-)-スコポラミンが同等の効力を有すると仮定し、その総計に対して0.016 μg/ kg体重のグループ急性参照用量を確立している。
 CONTAMパネルは最終的に、0.48 μg/kg体重及び1.56 μg/kg体重で観察された心拍数低下をハザード特性決定に関連する影響と見なし、その影響は健康な成人には有害とはならないが、より感受性の高い個人には有害である可能性があると判断した。影響が二相性であるため、定量的用量反応分析は行われず、0.16 μg/kg体重の最低用量が無毒性量(NOAEL)として選択されている。CONTAMパネルは、急性参照用量の確立に充分と判断したPerhari?らの研究(2013)からの情報を考慮しているが、研究が小規模であることと関連する不確実性、及び、心拍数低下の逆境に関する不確実性は認識している。個人間変動に対する不確実係数10の適用は、第一には研究が小規模である点考慮に入れた結果、第二には対象集団の最も感受性の高い一部に対してのみ特定された重要な効果との関連性を考慮に入れた結果である。
 2020年、FAO/WHOは、2019年に食品援助サプライチェーンで発生した汚染アウトブレイク2ケースに応じて、食品中に含有されるTAsと関連するリスクを評価した。FAO/WHOは、Perhari?ら(2013)によって観察されたほぼ全ての臨床効果についてPOD(Point of Departure)を確立し、既出の心拍数低下(無作用量(NOEL): 0.46 μg/kg体重)及び唾液分泌量低下(最小影響量(LOEL): 1.54 μg/kg体重)が、(-)-ヒヨスチアミンと(-)-スコポラミンの最も敏感な生物学的作用であると結論した。FAO/WHOはPODとして唾液分泌量低下に対する1.54 μg/kg体重の最小影響量を選択し、「臨床的に重要となる急性最小影響用量」であると結論した。FAO/WHOは、心拍数低下及び唾液分泌量低下の両影響は非有害であると見なしたが、心拍数への影響ではなく唾液分泌への影響に基づく「臨床的に有意な急性最小影響用量」を最終的に選択した点に関する理論的根拠は報告書に詳述されていない。さらに、唾液分泌量減少に対する無作用量ではなく最小影響量がPODとして選択された理由も完全には明確とされていない。
 当該専門家会議は、評価対象集団のTA毒性に対する特異的感受性に不確実性が認められるため、Perhari?(2013)らにより試験された集団から得られた結果を根拠とする健康影響に基づく指標値(HBGV)の決定は不可能であると判断した。リスクの判定において、ヒトの薬理効果及び急性食事性ばく露に基づき、ばく露マージン(MOE)アプローチが適用された。臨床的に有意である急性最小影響用量1.54 μg/kg体重と比較し、推定ばく量に対してMOEが算出され、MOEが30以上であれば対象集団への懸念は低いと判断された。30以上として確立された「許容可能なMOE」は、個人間変動に対する係数5、及び、評価の対象となる特定集団の「栄養失調及び潜在的併存疾患」を踏まえた感度に対する追加係数6の双方を考慮している。FAO/WHOの文書からは、係数5のみが一般集団を評価するのに十分であると見なされたのか、あるいは、一般集団内の高感受性集団の存在に対応する追加係数も考慮されたのかは不明である。
 総じて、適用された異なるアプローチ(ARfD vs. MOEアプローチ)、及び、評価された異なる対象範囲(一般集団 vs. TAばく露由来の重篤な症状を発症し易い高感受性標的集団)を考慮すると、CONTAMパネルとFAO/WHOの評価で生じた差異を定量的に比較することは容易ではない。
 既存の不確実性、中でも、急性リファレンス・ポイント(RP)の導出に使用されたヒト・ボランティアによる研究が小規模である点に関連する不確実性を考慮すると、CONTAMパネルによって確立された急性参照用量は、高感受性の亜集団を含め、一般集団に対して保護的であると見なされ、修正することなく現状維持とすべきである。不確実性を低下させるために、さらには、急性参照用量の改訂を検討するためには、ヒトにおけるTAsの用量反応関係に資する、より堅牢なデータセットが必要となる。
 結論として、FAO/WHOの評価との比較を踏まえ、食品中に含有されるTAsと関連するヒトの健康リスクに関するCONTAMパネルの評価は、更新の必要はないと考えられる。
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) 欧州食品安全機関(EFSA)
URL https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7229
(※注)食品安全関係情報データベースに関する注意事項
本データベースには、食品安全委員会が収集した食品安全に関する国際機関、国内外の政府機関等の情報を掲載しています。
掲載情報は、国際機関、国内外の政府機関等のホームページ上に公表された情報から収集したものですが、関係する全ての機関の情報を確認しているものではありません。また、情報内容について食品安全委員会が確認若しくは推薦しているものではありません。
掲載情報のタイトル及び概要(記事)は、食品安全委員会が和訳・要約したものであり、その和訳・要約内容について情報公開機関に対する確認は行っておりませんので、その文責は食品安全委員会にあります。
情報公表機関からの公表文書については、個別項目の欄に記載されているURLからご確認下さい。ただし、記載されているURLは情報収集時のものであり、その後変更されている可能性がありますので、ご了承下さい。