食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05680760160
タイトル 英国食品基準庁(FSA)、消費期限が過ぎた食品の摂取に関する調査報告書を公表
資料日付 2021年8月31日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  英国食品基準庁(FSA)は8月31日、消費期限が過ぎた食品の摂取に関する調査報告書を公表した。概要は以下のとおり。
 COVID-19関連の消費者意識調査及び食品に関する消費者意識調査「Food and You 2」から、一部の消費者は消費期限(use-by date:UBD)切れの食品を摂取していることが示された。FSAは、UBDが過ぎた後も食品を摂取する動機や、UBD遵守の障害に関して更に探りたいと考えた。
 当該報告書は、迅速なエビデンスレビュー及び一次定性的研究(イングランド、ウェールズ及び北アイルランドから参加した30人を対象とする)から得られた結果を詳述する。一次調査研究では、深層面接(2回)及び日記アプリが活用された(期間:2021年3月22日~4月4日)。
・報告書のエグゼクティブサマリーの要約
 英国の成人のかなりの割合が、UBDを考慮しているにもかかわらずUBD切れの食品を摂取している。FSAの最近の調査からは、成人の76%が、UBDを過ぎている食品を故意に摂取していたことが示された。一方で、64%は、食品の加熱調理又は調理の前には常にUBDを確認すると回答した。UBDを調べたにもかかわらず期限切れの食品を摂取しようとする理由は何か?本調査から、UBDを過ぎた食品を摂取する行動の背景として、消費者の態度及び行動に関し、包括的な結果が浮き彫りとなった。
 1.消費者は、UBDは正しく定義できるものの、実践ではUBDと賞味期限(best-before date:BBD)を混同することが多かった。
 より広範な文献調査からは、BBDとUBDを正確に区別できなかった消費者は61%に達することが示された。同様に、最新の調査からは、イングランド、ウェールズ及び北アイルランドの成人の50%が、UBDの正しい定義(UBDは、食品を摂取しても安全な期限。その日を過ぎると安全ではない)を説明できなかった。
 2.UBDは、規則と言うよりもガイドとして扱われており、常に他の要素との組み合わせにおいて判断されていた。
 調理に先立ち、UBDは、食品が安全かどうかの判断において初めに考えるものとして捉えられることが多かった。食品がUBDを過ぎている場合に、それを摂取しても安全かは官能的判断(匂い、視覚的手掛かり、食感及び風味)に頼ることが多かった。官能的判断は、製品が消費期限後数日が経過した場合でも、往々にしてUBDよりも優先された。
 参加者からは、UBDが正確な締切であることに対して懐疑的な面が見られた。UBDより前に食品が腐敗したこと、或いは期限切れ食品を摂取しても病気にならなかったという個人的な経験が、懐疑心を強め、安全な指標としてのUBDへの消費者の信頼を弱めた。
 3.消費期限切れの食品を摂取することのリスクを低く見積もることは、過去の経験や現在の習慣に起因していた。
 被験者は、期限切れ食品を調理する時の慣れ親しんできた習慣を説明した。即ち、より高温でより長時間加熱調理する;かびが生じた又は変色した部分は取り除く;期限切れ食品を、より大がかりな食事の一部分として使用し、それ自体のみでは摂取しない。また、期限切れ食品における食品安全問題を排除するために熱を使うとする人の割合は8.4%であった(Van Boxstael et al.)。
 4.価値観や生い立ちが、食品を廃棄することを躊躇する意識を形成し、その結果、多くがUBDを過ぎた食品を摂取するに至った。
 幼少時の体験は、UBDに対する参加者の態度に長く影響を与えており、多くが、幼小時代の食費や、家族が食品を廃棄することを躊躇していたことを挙げた。高齢の参加者も、自分の幼少期には食品にUBDというものがなかったと回想し、日付よりも官能的判断に頼るよう促されていた。
 動物福祉を巡る価値観、グローバルフードシステムにおける不平等、食品廃棄物を避けたい欲求も、期限切れ食品を捨てるのではなく摂取するという考えに影響していた。より広範な文献調査からは、地球規模での持続可能性及び食品廃棄物に関心を持つ消費者において、UBDを過ぎた食品を摂取する傾向がより強く見られた。
 5.費用の負担(affordability)が消費期限の食品を摂取することに繋がるとのエビデンスには乏しかったものの、値引き品又はまとめ買い用商品の購入や、浪費を回避したい欲求は、主要な動機であった。
 時間的制約、店舗までのアクセス及び食費が、値引き商品又はまとめ買い用商品を購入して節約しようとの考えに影響していた。つまり、食品を期限前に摂取する時間的余裕がない、或いはUBD前に摂取するには特定の商品が多すぎることを意味する。
 食事の計画を立ててから買い物に行くのとは対照的に、このような自然発生的な購入(spontaneous purchase)は往々にしてUBD切れ食品摂取の増加に繋がる。節約のために購入した商品は、期限内に完全には消費されない可能性が高いことが示唆されている(Wilson et al.)。
 では、どうすればより多くの人たちにUBDを遵守してもらえるのか?知見及び認知度を向上させるために、以下が挙げられている。
・消費者は、既にUBDとBBDの違いを大まかに定義できていることから、その違いに関して情報提供を行うことが遵守率の向上に繋がるとは考えにくい。
・その代わりに、UBDがどのように決められるのかを説明し、特定の製品が関連するリスクに関して情報提供を行えば、UBDが設定されている製品及びその理由に対する認知度向上の一助となり、全般的な信頼を高めることに繋がる。
・日付表示の一貫性を向上させ、より大きなフォントサイズで表示を行えば、UBDの存在に気づく機会が増える。より広範な文献調査からは、簡潔な日付表示が注目されており、文言における一貫性を向上させれば、UBD切れ食品の摂取及び食品安全上のリスクを低減する一助となることが示唆されている。混乱を減らす方法として、類似する食品のUBDを統一して分類する手法を推奨する複数の研究がある。
・製品購入後のUBDに関する評価をより頻繁に行い、その結果を食品安全上のルーチンに組み込むよう働きかける。それにより、どの食品が入手可能かに関する意識を個人レベルで高め、UBDをより広範な食品安全上の慣行と結びつけることが可能となる。
 「UBD切れ食品の摂取に関する定量的研究」(158ページ)は以下のURLから入手可能。
https://www.food.gov.uk/sites/default/files/media/document/fsa_qualitative_research_into_the_consummption_of_food_with_expired_use_by_dates.pdf
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国食品基準庁(FSA)
情報源(報道) 英国食品基準庁(FSA)
URL https://www.food.gov.uk/research/research-projects/qualitative-research-into-the-consumption-of-food-with-expired-use-by-dates
(※注)食品安全関係情報データベースに関する注意事項
本データベースには、食品安全委員会が収集した食品安全に関する国際機関、国内外の政府機関等の情報を掲載しています。
掲載情報は、国際機関、国内外の政府機関等のホームページ上に公表された情報から収集したものですが、関係する全ての機関の情報を確認しているものではありません。また、情報内容について食品安全委員会が確認若しくは推薦しているものではありません。
掲載情報のタイトル及び概要(記事)は、食品安全委員会が和訳・要約したものであり、その和訳・要約内容について情報公開機関に対する確認は行っておりませんので、その文責は食品安全委員会にあります。
情報公表機関からの公表文書については、個別項目の欄に記載されているURLからご確認下さい。ただし、記載されているURLは情報収集時のものであり、その後変更されている可能性がありますので、ご了承下さい。