食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu04980880184
タイトル ノルウェー食品及び環境に関する科学委員会(VKM)、イノシシの頭数増加とヒトの健康及び環境への影響に関する報告書を公表
資料日付 2018年6月25日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  ノルウェー食品及び環境に関する科学委員会(VKM)は6月25日、イノシシの頭数増加とヒトの健康及び環境への影響に関する報告書を公表した(2018年6月21日付け、英語、118ページ)。当該報告書は、イノシシの増加がノルウェーにおける生物多様性、食品安全及び動物の健康にどう影響するかについて示唆している。
1.概要
・ノルウェーでは、イノシシは外来種と定義されており、ノルウェー生物多様性情報センターによれば、生態環境上のリスクは高いと考えられる。一方、スウェーデンでは、イノシシは在来種と考えられいる。スウェーデンでは、イノシシは1970年代以降急激に増えており、その影響で国境沿いを中心にノルウェーでも増加している(現時点で約1
,000頭)。特にOstfold県で多い。
 ノルウェーにイノシシが定着したのを受け、更なる拡大及びイノシシが関連する環境上及び健康上のリスクについて科学的評価を行うことへの必要性が高まった。
 ノルウェー環境省及びノルウェー食品安全庁(NFSA)は、評価の実施をVKMに委託した。
・VKMは、ノルウェー及びスウェーデンからの専門家から成る作業部会を立ち上げ、関連文献に関して評価を行い、イノシシの分布及び気候に関する入手可能な国外のデータを用いて、モデリングを行った。
 食品安全及び動物の健康に関する評価では、イノシシがノルウェーに相当数で定着するとの仮定に基づき、インパクトを考慮した。当該評価では、動物及びヒトの健康に関する全ての関連ハザードが考慮された。
 その結果、ノルウェーの現状は、1980年代初頭のスウェーデンの状況に類似していることが示された。即ち、一つの地域に一つの少数集団が密生している。イノシシ集団の増加及び拡大を規制する思い切った措置を採らない限り、イノシシは今後、3年毎に倍増すると考えられる。その結果、イノシシは低地全域から海岸線にかけて増加し続け、Trondelagにまで至ると考えられる。
 VKMの推定では、気候要因だけに基づけば、現在の気候条件下での全頭数は22万頭と考えられる。これは、現時点でのスウェーデンにおける頭数と同程度である。しかし、地勢及び生息地を考慮した、より現実的な最大環境収容力は、7万平方キロメートル超当たり約4万頭である。
2.「食品安全及び動物の健康に関する示唆」より抜粋
・E型肝炎ウイルス(HEV)
 ノルウェーにおいては、HEVに関する情報はほとんどない。しかし、2017年の研究(Lange et al.
, 2017)では、豚及びヒトにおける保菌率は高いことが示された(豚で90%、ヒトで約13%)。このことは、欧州の他の多くの国同様、HEVはヒト及び動物集団の双方において広がっていることを示唆すると考えられる。HEVは、スウェーデン(Widen et al.
, 2011)及びフィンランド(Kantala et al.
, 2015)の豚に関しても記述がある。フェノスカンジア(訳注:スカンジナビア半島、フィンランドを中心とする地理的分類)におけるイノシシのHEVに関する情報は乏しい。
・トキソプラズマ・ゴンディ
 ノルウェーでは、ヒトにおけるトキソプラズマの血清抗体陽性率は、他の多くの国々と比べて低い。最も新しいところでは、異なる2つの国の妊婦約2
,000人に関する横断的な研究が行われた。その結果、血清抗体陽性率は10%以下であった(Findal et al.
, 2015)。このことは、ノルウェーの集団へのトキソプラズマばく露はあるものの、妊婦などのより高リスク集団が脆弱であると考えられる。
・サルモネラ属菌
 サルモネラ属菌は、欧州ではイノシシ及び豚に、スウェーデンではイノシシに存在するが、ノルウェーでは豚又は他の動物種中に存在するのは稀である。
3.「ばく露評価」より抜粋
・食品
 カンピロバクター、サルモネラ属菌などの病原体は、イノシシ肉などの食品を介して、又はイノシシの糞により汚染された食品を介して拡散する場合がある。
 イノシシ肉の加熱調理が不十分である場合、種々の人獣共通感染症の病原体(トキソプラズマ・ゴンディ及びトリヒナ(旋毛虫)など)がヒトに感染する可能性がある。
 ノルウェー以外の、他の疾病のある地域から輸入されるイノシシ肉は重要な脅威となる。特に個人輸入は、ノルウェーのヒト及び家畜にとって深刻な結果をもたらす場合がある(ヒトに対してはHEVなど、家畜に対してはアフリカ豚コレラウイルス(ASFVなど)。
 食品の摂取も考えられるが、特定のリスクは食品廃棄物を介した病原体の拡散が関連すると考えられる。特に懸念と考えられるのはASF/豚コレラ(CSF)及び口蹄疫(FMD)で、これらの疾病はイノシシ肉の運搬が原因で爆発的に拡大したと考えられている。
 自家消費用の肉に関しては食肉検査は義務ではない。データはないが、感染が疑われる場合でも、イノシシのと体又は検体がノルウェー国立獣医学研究所(NVI)に提出されるケースは稀であると推定される。
 当該報告書は以下のURLから入手可能。
https://vkm.no/download/18.79baaa1816416e22d031b9c8/1529565597726/Wild%20boar%20population%20growth%20and%20expansion%20%E2%80%93%20implications%20for%20biodiversity
,%20food%20safety
,%20and%20animal%20health%20in%20Norway.pdf
地域 欧州
国・地方 ノルウェー
情報源(公的機関) その他
情報源(報道) ノルウェー食品及び環境に関する科学委員会(VKM)
URL https://www.mattilsynet.no/dyr_og_dyrehold/dyrehelse/smitte_mellom_dyr_og_mennesker/villsvinpopulasjonen_i_norge__konsekvenser_for_helse_og_miljo.31325
(※注)食品安全関係情報データベースに関する注意事項
本データベースには、食品安全委員会が収集した食品安全に関する国際機関、国内外の政府機関等の情報を掲載しています。
掲載情報は、国際機関、国内外の政府機関等のホームページ上に公表された情報から収集したものですが、関係する全ての機関の情報を確認しているものではありません。また、情報内容について食品安全委員会が確認若しくは推薦しているものではありません。
掲載情報のタイトル及び概要(記事)は、食品安全委員会が和訳・要約したものであり、その和訳・要約内容について情報公開機関に対する確認は行っておりませんので、その文責は食品安全委員会にあります。
情報公表機関からの公表文書については、個別項目の欄に記載されているURLからご確認下さい。ただし、記載されているURLは情報収集時のものであり、その後変更されている可能性がありますので、ご了承下さい。