食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu04940640105
タイトル 世界保健機関(WHO)、「アルゼンチンのトランス脂肪酸規制及び心臓の健康状態の監視」と題する記事を公表
資料日付 2018年5月14日
分類1 その他
分類2 --未選択--
概要(記事)  世界保健機関(WHO)は5月14日、「アルゼンチンのトランス脂肪酸(trans fats)(※1)規制及び心臓の健康状態の監視」と題する記事を公表した。概要は以下のとおり。
 工業的に生成(副生)されたトランス脂肪酸(industrially-produced trans fats)(※2)の使用から、心臓の健康を改善することへのアルゼンチンの旅は1990年に始まった。研究者らは、原因と解決策を模索しながら、同国の高率の心臓病に注意を向けた。
 心血管疾患におけるトランス脂肪酸の関与が世界的に認識されるにつれて、保健当局は自らが態度を明確にすべきだと認識していた。農業及び医療省、企業及び消費者部門、並びに学術界の間に協力体制が形成された。政府が強制措置の採用を最終的に決定したことで、工業的に生成(副生)されたトランス脂肪酸を含む食品を2014年までに実質的に排除することができた。
 心血管疾患はアルゼンチンの主な死亡原因であり、トランス脂肪酸(※1)排除は一般集団に及ぼす影響が最も大きいと考えられている。
 WHOアメリカ地域事務局、全米保健機構(PAHO)、地域栄養相談所のFabio Gomes博士は、「トランス脂肪酸(※1)の排除は、地域全体の優先事項である。」と述べた。
 「トランス脂肪酸の消費量を総エネルギーのわずか2%~4%削減することで、ラテンアメリカとカリブ海での心臓発作を30
,000~225
,000件、防ぐことができると推定される。」
 この取り組みは成果を上げた。WHO Bulletinに掲載された2015年の研究では、アルゼンチンで工業的に生成(副生)されたトランス脂肪酸を排除することによって、年間301~1
,517人の心臓死が回避されたと推定されている(1)。この研究では、工業的に生成(副生)されたトランス脂肪酸を置き換えることで、年間1
,700万ドルから8
,700万ドルの医療費が節減されることも明らかになった。
 いくつかの要因がアルゼンチンに有利に働いた。オレイン酸を多く含むヒマワリ油の生産量が増加したことで可能となった、植物ベースの代替油脂の安定供給等である。
 1990年に、ラ・プラタ国立大学、ブエノスアイレス科学調査委員会及びブエノスアイレス保健省は、冠動脈疾患による死亡の高発生率について研究を開始した。企業は、エステル交換植物油(融点を上昇させるために混合された飽和及び不飽和植物油)、乳脂肪画分及びヒマワリ油からなる半固体油脂、改変したヒマワリ油由来の融点の異なるステアリン等の工業的トランス脂肪酸代替油脂の調査及び使用を開始した。
 トランス脂肪酸の表示は2006年に義務化されていたが、食品中での制限は2008年まで任意であり、一部の企業は既に他の油脂に代替していた。
 2008年、PAHOが後援するTrans Fat Free Americas Declaration (アメリカ大陸トランス脂肪酸禁止宣言)は、工業的に生成(副生)されたトランス脂肪酸を油脂やマーガリンの総脂質の2%未満、他の食品の総脂肪の5%未満に制限することを要求した。この宣言は、南北アメリカ大陸全土で標準化された食品中のトランス脂肪酸含量の表示義務を推奨し、可能であれば不飽和脂肪酸との置換を推奨した。
 直後にトランス脂肪酸(※1)の排除のためのアルゼンチン委員会が結成された。 保健省は、消費者団体、学術界及び食品産業の他、下記の組織を結集した。
•国立栄養研究所(保健省の一部)、
•国立産業技術研究所(経済産業省)
•アグリビジネス省、及び
•アルゼンチン油脂協会
 3省庁間のサブグループが創設され、アルゼンチンの食品規則(CAA)の2010年の改正、及び工業的に生成(副生)されたトランス脂肪酸の置換方法についての中小企業向け新ガイドを導いた。CAAの改正により、産業界がトランス脂肪酸の制限についての規則を遵守する期限が定められた。マーガリン及び植物油中の工業的に生成(副生)されたトランス脂肪酸量を2%までに制限するための対応には2年、他の製品中におけるトランス脂肪酸量を5%までに制限するための対応には約5年の遵守期限が設けられた。2014年までに規則は、ほぼ完全に実行された。
 この変更は容易で費用がかからなかったため、取り組みはほぼ反対されることはなかった。2014年までに、大部分の企業が遵守した。調査により、食品の73%が2014年までに遵守し、2015年までには遵守が全体の93%に高まった。
 Fabio Gomes博士は、トランス脂肪酸(※1)を排除するというアルゼンチンの取り組みについて「革新的かつ先駆的」と述べ、食料システムからの実質的なトランス脂肪酸(※1)排除への強制的なアプローチを制定する上で、政府が主導権を握っていることに言及した。また、このモデルは他の国々に刺激を与えていると加えた。
(1)Rubinstein
, Adolfo
, et al. "Eliminating artificial trans fatty acids in Argentina: estimated effects on the burden of coronary heart disease and costs." Bulletin of the World Health Organization 93 (2015): 614-622.
(訳注) 「trans fat」「trans fats」は「トランス脂肪酸含有脂質」と考えられるが、WHOではtrans fatとtrans fatty acidを同義としている(REPLACE trans fat FAQsより)ことから、翻訳においては「トランス脂肪酸」としている。
 REPLACE trans fat FAQsは以下のURLから入手可能。
http://www.who.int/docs/default-source/documents/replace-transfats/replace-trans-fat-faqs.pdf?Status=Temp&sfvrsn=956d171f_6

(※1)原文のとおり。ただし、ここでは工業的に生成(副生)されたトランス脂肪酸を指すものと考えられる。
(※2)原文のとおり。ただし、ここでは天然由来のトランス脂肪酸以外のトランス脂肪酸(部分水素添加等により生成(副生)されたトランス脂肪酸)を指すものと考えられる。
地域 その他
国・地方 その他
情報源(公的機関) 世界保健機関(WHO)
情報源(報道) -
URL http://www.who.int/news-room/feature-stories/detail/argentina-regulating-trans-fats-and-monitoring-heart-health
(※注)食品安全関係情報データベースに関する注意事項
本データベースには、食品安全委員会が収集した食品安全に関する国際機関、国内外の政府機関等の情報を掲載しています。
掲載情報は、国際機関、国内外の政府機関等のホームページ上に公表された情報から収集したものですが、関係する全ての機関の情報を確認しているものではありません。また、情報内容について食品安全委員会が確認若しくは推薦しているものではありません。
掲載情報のタイトル及び概要(記事)は、食品安全委員会が和訳・要約したものであり、その和訳・要約内容について情報公開機関に対する確認は行っておりませんので、その文責は食品安全委員会にあります。
情報公表機関からの公表文書については、個別項目の欄に記載されているURLからご確認下さい。ただし、記載されているURLは情報収集時のものであり、その後変更されている可能性がありますので、ご了承下さい。