食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu04690420314
タイトル ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、ルピナス(lupin:ハウチワマメ)の種子中のアルカロイド類に関するリスク評価書を公表
資料日付 2017年3月27日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は3月27日、ルピナス(lupin:ハウチワマメ)の種子中のアルカロイド類に関するリスク評価書を公表した(2017年3月27日付け意見書 No.003/2017、ドイツ語、36ページ)。概要は以下のとおり。
1.概要
・ルピナス粉は長年に亘り使用されており、その用途は、菓子・パスタの製造、乳及び大豆の代替、栄養補助食品、ソースの他に、小麦粉用添加物などである。欧州の一部地域及び北アフリカでは、ルピナスはおやつ(snack)として摂取されている。
 ルピナスの種子は、苦みと関連するキノリチジンアルカロイド類という有害物質を含む場合がある。キノリチジンアルカロイド類は、中毒症状をもたらし、神経系、循環器系及び消化器系に影響を与える。
・ルピナスの種子中のキノリチジンアルカロイド類含有量は、地植物学的要因により異なる。
 苦いルピナス(苦ルピナス)の種子はキノリチジンアルカロイド類を多く含む。この種類の種子は、予め適切な処理(苦み抜き)を経た場合でなければ摂取には適さない。アルカロイド類の含有量が少ない種子は甘いルピナス(甘ルピナス)に由来する。この種類のルピナスは選択育種により作出された。甘ルピナスは、脱苦味処理を行わなくても摂取に適している。消費者にとって、供されるルピナスの種子が苦ルピナス/甘ルピナスのどちらに由来するかの区別は難しい。過去には、苦ルピナスの種子が原因の中毒患者が報告されている。
・BfRは、ルピナスの種子を含む食品の製造者に対して、更なる加熱調理による脱苦味処理が不要な種子を、細かく砕かない丸ごとの状態で販売するよう呼びかけている。即ち、アルカロイド類の含有量が小さい甘ルピナスに由来する種子か、苦ルピナスに由来する種子で、製造者による脱苦味処理が十分に行われているものかのいずれかが考えられる。製造者は、ルピナスの種子に由来するルピナス粉を消費者に提供する場合は、アルカロイド類の含有量が小さいルピナスの種子に由来するものであることを担保する又は脱苦味処理を十分に行うべきである。
・BfRは、専門知識を持たない消費者に対しては、苦ルピナスの種子で、業者による脱苦味処理が施されていないものは摂取しないよう助言する。また、推奨する脱苦味処理を自分で行ったとしても、健康にとって有害なアルカロイド類の含有量を必ずしも十分に低減できるとは限らない。
 ルピナスの種子又はその製品の苦味は、ルピナス属植物の望ましくないアルカロイド類が存在している目安と考えられる。ルピナスの種子を浸して柔らかくした水は苦みがあり、いかなる場合でも、摂取したり、食品の下準備に使用してはならない。
2.評価書より抜粋
2-1.結論
・1回の食事におけるルピナスの種子及びその製品を介した又は一日当たりのキノリチジンアルカロイド類摂取量は、スパルテイン(訳注;4環性キノリチジンアルカロイド)の上限値である0.2mg/kg体重を十分に下回るべきである。安全マージンは、データの不確実性や、特に子ども、妊婦など、高感受性集団を考慮すべきである。安全マージンが1では不十分である。
・ルピナスの種子が原因の中毒患者に関する報告書を分析した結果、ルピナスの種子を成分とする量産食品の摂取との関連性は見られなかった。しかし、ルピナスの種子を消費者自らが調理し摂取した食品が関連する中毒が報告されている。脱苦味処理が不十分であったことが原因である。
・異なるアルカロイド類の定量法は殆どなく、妥当と考えられる研究で試された手法は一つもない。これらの理由から、BfRは現在、ドイツで入手可能な食品であるルピナスの種子及びそれに由来する食品のアルカロイド類に関する分析データを持ち合わせていない。しかし、苦ルピナスの種子は流通しており、脱苦味処理が不十分な場合に急性中毒に繋がる可能性があると想定すべきである。
2-2.提言
・種々の植物学的出自に由来するルピナスの種子が食品として供される場合は、化学的・毒性学的な見地に立った包括的な判定が必要であると考える。
 キノリチジンアルカロイド類の抗コリン作用に関し、ヒトへの影響がない用量についての現在の知見は不十分である。特に、ルパニン、ルピニン及びスパルテインについて経口投与した後の子宮伸縮作用に関しての現行の用量反応関係に対する研究が必要であると考える。
 また、野生のルピナスに圧倒的に多く存在するアンモデンドリン及びマルチフロリンなど、一部のルピナスのアルカロイド類及びその誘導体に関する研究も必要である。これらは発達毒性を有する可能性があることから、野生のルピナスの種子は食用として望ましくない。
・食品として供される種々の植物学的出自に由来するルピナスの判定に関しては、食品部門で使用される品種のアルカロイド類(アナギリン、アンモデンドリン及びマルチフロリンなど)のプロファイリングを入念に行う必要がある。これらは、動物実験において発達毒性の可能性があると考えられる。
 上記目的のためには、アルカロイド類に関する評価を行うための適切な分析手法の開発(社内妥当性評価)及び適切な認証標準物質が入手可能となることが必要であると考えられる。
・ばく露評価では、量産されるルピナスの種子製品中のアルカロイド類に関するデータを考慮すべきである。ばく露評価に関しては、欧州連合(EU)加盟国の種々の食習慣を反映させることが可能な、EUレベルで用いられる評価方法の導入を推奨する。
地域 欧州
国・地方 ドイツ
情報源(公的機関) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
情報源(報道) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
URL http://www.bfr.bund.de/cm/343/risikobewertung-des-alkaloidvorkommens-in-lupinensamen.pdf
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