食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05670380305
タイトル 欧州連合(EU)、毛皮用動物以外の非反すう動物の家畜への動物由来たん白質の給与禁止に関する欧州議会及び理事会規則(EC) No 999/2001附属書IVの改正を官報で公表
資料日付 2021年8月18日
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概要(記事)  欧州連合(EU)は8月18日、毛皮用動物以外の非反すう動物の家畜への動物由来たん白質の給与禁止に関する欧州議会及び理事会規則(EC) No 999/2001附属書IVを改正する欧州委員会規則(EU) 2021/1372を官報(PDF版21ページ)で公表した。
 規則(EC) No 999/2001は伝達性海綿状脳症(TSE)の予防、管理及び根絶に関する規則を定めている。当該規則は動物(live animals)及び動物由来製品の生産及び販売、並びに特定の場合にはそれらの輸出に適用される。
 規則(EC) No 999/2001第7条第1項は、反すう動物への動物由来たん白質の給与を禁止している。同規則第7条第2項は、附属書IV第I章に規定されているとおりその禁止を反すう動物以外の動物に拡張しており、第II章~第V章は特定の条件下で第I章において規定されている禁止の特定適用除外事項を設定し、詳細を定めている。
 欧州委員会から欧州議会及び理事会への2010年~2015年のTSEに関する戦略文書「TSE ロードマップ2」(※注)の通知は、TSEの予防、管理及び根絶対策を牛海綿状脳症(BSE)の疫学的状況の進展に合わせるためのEUの法律の可能性のある改正の概要について述べている。同文書は又、TSE規則のいかなる見直しも科学的助言により推進されるべきであることを強調する。「TSEロードマップ 2」は連合規則に定める非反すう動物に関する現行の飼料規制(フィードバン(feed ban))規定の改正に言及している。
 欧州食品安全機関(EFSA)の「生物学的ハザードに関する科学パネル」(BIOHAZ)が2007年1月及び11月に各々公表した2つの科学的意見書の内容に基づき、「TSEロードマップ 2」は、TSEは自然条件下で非反すう動物の家畜に発生したことがないことを確認している。
 EFSAは2018年6月、動物性加工たん白質がもたらすBSEリスクの定量的リスク評価(QRA)の改訂に関する科学的意見書を採択した。そのQRAでは、合計のBSE感染性は2011年に推定されたものよりも4倍低く(※訳注1/4の低さ)、毎年の新たなBSE患畜の発生は1件に満たないと推定された。
 EFSAは2020年9月、非反すう動物の家畜の飼料に反すう動物のコラーゲン及びゼラチンを使用することによりもたらされる可能性のあるBSEリスクに関する科学的意見書を採択した。EFSAは、同意見書で特定した3つのリスク経路のいずれかを経由して牛の集団中でBSEの新たな患畜が発生しない確率は99%より大きい(ほとんど確実である(almost certain))と結論付けた。
 同時に、反すう動物のコラーゲン及び/又はゼラチンを含む食品残渣(former foodstuffs)は、現行の飼料規制規則の下では家畜の飼料に使用できないため、毎年約10万トン(推定値)がEUで廃棄されている。
 したがって、反すう動物由来のコラーゲン及びゼラチンの非反すう動物の家畜への給与の禁止は廃止されるべきである。
 欧州議会及び理事会規則(EC) No 1069/2009第11条は、毛皮用動物以外の特定種の陸生動物に同種の動物の体又は体の一部から加工した動物性たん白質を給与することを禁止している(種内リサイクル)。
 「TSEロードマップ2」ではまた、種内リサイクルが回避される限り、非反すう動物から非反すう動物へのBSEの伝播リスクは無視できることを認めている。その結果、既存の種内リサイクル禁止を遵守した上で、非反すう動物の飼料への非反すう動物由来の加工動物性たん白質の使用解禁を検討できると結論づけている。
 2010年11月、欧州理事会は「TSEロードマップ2」に関する結論を採択した。これらの結論では、非反すう動物の動物性加工たん白質を他の非反すう動物の飼料として使用することを再導入する可能性がある場合には、異なる種に由来する動物性加工たん白質を区別するための効果的で有効性が確認された分析技術が利用可能であること、また、動物及び公衆衛生に関するそのような再導入のリスク分析が行われていることを前提条件とすべきであると考察している。
 飼料中の動物性たん白質に関するEUのリファレンスラボラトリー(EURL-AP)は、2012年に、飼料中に存在する可能性のある反すう動物由来の物質を検出できるDNAベースの新しい診断法(PCR法)の有効性を確認した。この方法が検証されたことにより、2013年に、欧州委員会規則(EU)No 56/2013に定められた水産養殖動物用飼料への非反すう動物の動物性加工たん白質の使用が再承認された。
 その後、飼料中の豚又は家きん由来原料の存在を検出できるPCR法も、それぞれ2015年と2018年にEURL-APにより検証された。したがって、これらの方法により、豚(porcine animals)及び家きんにおける種内リサイクルの禁止が正しく実施されているかを管理することが可能である。
 2018年11月に公表された「EUにおける植物性たん白質の開発に関する欧州委員会から理事会及び欧州議会への報告書」では、たん白質の供給に関する連合の第三国への依存度を低減する必要性が強調されている。栄養学的観点では、動物性加工たん白質はアミノ酸やリン等の消化性の高い栄養素を高濃度に含有し、ビタミン類も多く含有するため、優れた飼料原料である。非反すう動物の飼料中に非反すう動物由来の動物性加工たん白質を再承認することで、このような第三国のたん白質への依存を減らすことができる。
 家きん用飼料における豚由来の動物性加工たん白質の使用、及び豚の飼料における家きん由来の動物性加工たん白質の使用は、再承認されるべきである。あらゆるリスクを回避し、禁止されている反すう動物由来たん白質との交差汚染や種内リサイクルがないことの検証に貢献するために、これらの動物性たん白質の収集、輸送及び加工時に厳格な要件を適用し、定期的なサンプリングと分析を行うべきである。
 欧州委員会規則(EU) 2017/893は、昆虫由来の動物性加工たん白質と、そのような動物性加工たん白質を含有する配合飼料を、水産養殖動物の給餌に使用することを承認した。家きんは昆虫食動物、豚は雑食動物であり、この飼料原料には懸念がない。したがって、昆虫由来の動物性加工たん白質は、水産養殖動物への給餌に必要な条件と同条件で、家きんや豚への給餌が認められるべきである。
 したがって、欧州議会及び理事会規則(EC) No 999/2001附属書IVは改正されるべきである。
 以上の経過及び観点から、欧州委員会規則(EU) 2021/1372を採択する。
第1条 欧州議会及び理事会規則(EC) No 999/2001附属書IVを本規則附属書に従って改正する。
(※注): https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:52010DC0384
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州連合(EU)
情報源(報道) 欧州連合(EU)
URL https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=OJ:L:2021:295:FULL&from=EN