食品安全関係情報詳細
資料管理ID | syu05650460470 |
タイトル | 欧州疾病予防管理センター(ECDC)、欧州連合/欧州経済領域及び英国における、2013年以降のOXA-244(カルバペネマーゼ)産生大腸菌の増加に係る迅速リスク評価書を更新(第1回目) |
資料日付 | 2021年7月20日 |
分類1 | - |
分類2 | - |
概要(記事) | 欧州疾病予防管理センター(ECDC)は7月20日、欧州連合/欧州経済領域及び英国における、2013年以降のOXA-244(カルバペネマーゼ)産生大腸菌の増加に係る迅速リスク評価書の第1回目の更新を行った。概要は以下のとおり。 欧州連合/欧州経済地域(EU/EEA)においてOXA-244産生大腸菌の医療関連感染の最初のエビデンスが確認され、また、主要なクラスターの症例が倍増し、新たに3か国で検出されたことを受けて、同トピックに関する前回のリスク評価が更新された。これらの結果から、EU/EEAにおけるOXA-244産生大腸菌のさらなる拡大のリスクが高いことが確認された。 ノルウェーによる、OXA-244産生大腸菌による12症例が関連する医療関連集団感染に関する、ECDCの薬剤耐性及び医療関連感染に関する疫学情報システム(EPIS AMR-HAI)での緊急問い合わせ(Urgent Inquiry)を受けて、EU/EEA各国の公衆衛生に関するナショナルリファレンスラボは、欧州レベルでの情報更新のため、前回の迅速リスク評価(2020年2月18日)以降に収集した全ゲノムシークエンス解析(WGS)データをECDCへ提出するよう要請された。分析には、13か国からECDCに提出されたWGSデータ及びパブリックドメインに由来する補完データが含まれた。大腸菌ST38の458株のうち、370株がOXA-244カルバペネマーゼをコードするblaOXA-244遺伝子を保有していた。いくつかのクラスターが同定され、その中には225株の近縁のOXA-244産生大腸菌ST38分離株から成る1つの大規模なクラスター(クラスターA)が含まれていた。このうち、210株はEU/EEA加盟11か国及び英国で検出され、15株はその他の国に由来するものであった。 EU/EEA及び英国におけるOXA-244産生大腸菌の感染源や感染経路は現在のところ不明であり、適切な管理措置を実施するために、さらなる調査が必要である。症例が国の中で地理的に広範囲に分散しており、場所や時間的に関連していないことは、コミュニティ内での伝播が主な拡大様式であることを示している。 クラスターAの分離株の遺伝的多様性が低いことは、最近出現したクローンであるといった、いくつかの説明が可能であるが、OXA-244産生大腸菌が持ち込まれた場所や地域、汚染源が共通していることを示している可能性もある。渡航に関する情報はわずかな症例でしか得られなかったため、結論の妥当性には限界がある。しかし、これらの少ない渡航データは、OXA-244産生大腸菌ST38の潜在的な由来地域として、北アフリカ及び中東を示しており、OXA-48様カルバペネマーゼの既知の分布や、過去に環境中でOXA-244産生大腸菌ST38が検出されたことと一致している。しかし、12の異なるEU/EEA諸国及び英国で症例が広範囲かつ急激に増加したことを、渡航だけで十分に説明できるかどうかは不明である。また、上述の地域に由来する可能性のある原因製品が、関係する欧州諸国に流通している可能性や、EU/EEA及び英国内のコミュニティで伝播が発生している可能性も考えられる。 食品(動物由来又は非動物由来)、環境との接触又は動物との直接接触による伝播は、仮説としてはあり得る。しかし、EU/EEAではこれまでのところ、食品又は動物に由来するOXA-244産生大腸菌分離株は確認されていない。したがって、OXA-48様カルバペネマーゼが蔓延している地域からの輸入食品や動物製品、あるいは国内の感染源に由来する食品が寄与因子となっている可能性は否定できず、また確定もできない。しかし、潜在的な公衆衛生への影響を考えると、OXA-244産生大腸菌に汚染された食品や動物製品が広い地域に流通している可能性は調査される必要がある。したがって、OXA-244産生大腸菌に汚染された環境、作物、動物、及び食品が当該集団感染に寄与している可能性を明らかにするために更なる調査を検討する必要がある。 市中感染の原因となる細菌種(大腸菌)において、検出が困難なカルバペネマーゼ(OXA-244)の症例数の増加が観察されていることは懸念事項である。OXA-244産生大腸菌感染症の治療にカルバペネム系抗菌性物質が使用された場合の臨床的影響に関するデータは見当たらない。しかし、他のOXA-48様カルバペネマーゼは、in vitroでの感受性にもかかわらず、治療の失敗に関連している。EU/EEAの複数国で急速かつ同時に増加していることから、EU/EEAにおけるOXA-244産生大腸菌のさらなる拡大のリスクは高い。最近ノルウェーで発生した医療関連集団感染は、OXA-244産生大腸菌ST38が医療環境で拡大する可能性があることを示している。OXA-244カルバペネマーゼが付与するカルバペネム耐性レベルが比較的低いことに関連した、検査による検出の難しさが、相当な過小検出(under-detection)をもたらしていると思われる。このため、微生物学的手法やサーベイランスを改善しなければ、OXA-244産生大腸菌は知らないうちに拡大し続ける可能性がある。 臨床微生物検査機関における、OXA-244産生大腸菌に対する認識、検体採取頻度及び検出能力が向上し、適切な感染予防及び管理措置が適時に実施されれば、医療環境での伝播に関するリスクを低減することができる。このようなリスクの低減を達成するための選択肢としては、臨床微生物検査機関への全国的な警鐘、OXA-244産生大腸菌の検出改善のための検査機関ガイダンス、さらなる分析のために疑わしい分離株をすべてナショナルリファレンスラボに提出することなどが挙げられる。これに加えて、渡航歴や病歴、栄養習慣、動物との接触などの関連するリスク因子や症例に関する疫学データを収集することが必要である。 当該評価書(16ページ)は以下のURLから入手可能。 https://www.ecdc.europa.eu/sites/default/files/documents/OXA-244-producing-E-coli-in-EU-EEA-since-2013-first-update.pdf |
地域 | 欧州 |
国・地方 | EU |
情報源(公的機関) | 欧州疾病予防管理センター(ECDC) |
情報源(報道) | 欧州疾病予防管理センター(ECDC) |
URL | https://www.ecdc.europa.eu/en/publications-data/rapid-risk-assessment-increase-oxa-244-producing-escherichia-coli-eu-eea |