食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05320350149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、遺伝子工学における進歩: EFSA公開協議2020と題する論説を公表
資料日付 2020年2月14日
分類1 新食品等
分類2 GMO
概要(記事)  欧州食品安全機関(EFSA)は2月14日、遺伝子工学における進歩: EFSA公開協議2020と題する論説を公表した(1月31日採択、PDF版2ページ、doi: 10.2903/j.efsa.2020.e18021)。概要は以下のとおり。
 EFSAの中核となる任務の一つは、食品及び飼料生産に関連する規制製品/ストレス要因に由来する、ヒトの健康及び動物衛生、及び/又は、環境に対するリスク評価である。規制製品/ストレス要因には遺伝子組換え生物(GMOs)が含まれる。EFSAは、当該任務を以下の手法にて遂行している。
 (i)認可決定の責任を担う欧州委員会(EC)及び加盟国に対し、GMO市販登録申請の安全性評価に関する科学的助言を提供する
 (ii)申請者に対し、構造化されたリスク評価に向け必須となるデータ及び情報等を含む申請書の取りまとめ及び提示方法に関するガイダンスを発行する。
 EFSAは現在、生物工学分野においてECから要請された3つの任務に対処している。それらは将来、EUにおけるGMO登録に対し重要な意味を持つ可能性があり、2020年内の完了を予定している。
 第一は、2020年2月に公開協議が予定されている遺伝子ドライブに関する任務である。遺伝子ドライブは、有性生殖生物において、単純なメンデル遺伝様式で期待される頻度よりも高い頻度で形質の伝達を可能とする遺伝的要素から構成される。遺伝子ドライブの改変技術は、科学者と市民に熱狂と懸念を誘起した。改変遺伝子ドライブは、農業的ペストや侵入種の制御、絶滅危惧種の保護、疾病媒介生物の抑制に利用可能である一方、意図しない効果をもたらし、不可逆的に生態系を変容させる可能性があるという懸念が存在する。近い未来、GMOのEU市場投入申請(公共利用を含む)が、改変遺伝子ドライブ特性を付与されたGMOの意図的環境放出を含む可能性があるため、ECは、遺伝子ドライブ改変生物の分子特性決定(MC)及び環境リスク評価(ERA)に対するEFSAの既存のガイドライン類の妥当性を詳細に評価する必要性があると認識した。2019年5月、EFSAはワークショップを主催し、遺伝子ドライブ評価に対する問題定式化方法論(problem formulation methodology)の適用に関し、ステークホルダーとの公開対話を促進した。得られた結果は、GMOパネルの科学的意見書草案作成時に参考とされる。
 第二の任務は、工学と生物学の境界面における学際的分野である合成生物学(synthetic biology、SynBio)と関連する。この分野では工学ベースの手法を用いて、欧州では認可を要するであろう食品及び飼料への適用の可能性を包含する、新たな生物学的システムを構築する。それらの適用の中には、遺伝子組換え(GM)植物或いはGM微生物の意図的環境放出が含まれる可能性がある。この分野は急速に進化している領域であるため、ECはSynBioにより作出されたGM植物及びGM微生物のMC及びERAに対するEFSAの既存のガイドラインの妥当性を評価するよう、EFSAに要請した。本任務は、今後10年以内にEU市場に到達する可能性のあるSynBio製品を標的とし、ケーススタディアプローチにて対処されている。本レビューは2020年内に実施される公開協議の対象であり、GM植物及びGM微生物は個別に対処される。
 第三の任務は、タイプ1及びタイプ2の部位特異的ヌクレアーゼ(SDN‐1 and SDN‐2)及びオリゴヌクレオチド指向突然変異導入技術(ODM)を用いて作出された植物のバイオセーフティに関連するEFSAのガイドライン類を評価することである。上記の新ゲノム編集ツールは、植物ゲノムへの変異導入に利用され得る、多様な分子生物学的手法の重要な要素であり、特異的ヌクレアーゼ・タイプ3(SDN‐3)は、ゲノム中の標的部位への新たなDNA断片の挿入を確実にする。2012年、EFSAはSDN-3に関する科学的意見書を公表した(EFSA GMOパネル、2012)。2018年に下された欧州連合司法裁判所(CJEU)の裁定において、2001年のGMO指令は、その採択以降に出現した突然変異誘発技術により作出される新たな生物を対象とする旨明確にされた。EFSAは、SDN‐1、SDN‐2、ODM由来植物に対する、SDN-3由来植物の安全性に関する既存の科学的意見書の有効性を評価する任務を与えられている。本意見書に関する公開協議は2020年4月に開始、最終結果は2020年10月までにGMOパネル会合にて採択の予定である。
 遺伝子ドライブ、SynBio、ゲノム編集に関するEFSAの科学的提言は、生物の多様性に関する条約及びバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の下におけるEUのスタンスを通知するものである。これら最先端遺伝子工学技術の潜在的適用に関する広範な社会的議論を鑑み、EFSAは可能な限り多くのステークホルダーや関連団体との協議を目指しており、意見を心待ちにしている。
 EFSAの公開協議に関する最新情報は下記サイトを参照のこと
https://www.efsa.europa.eu/en/calls/consultations
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) -
URL https://efsa.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.2903/j.efsa.2020.e18021