食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu04150410508
タイトル スペインバスク州食品安全機関(ELIKA)、海洋性生物毒に関するニュースレターを公表(1/2)
資料日付 2014年10月28日
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分類2 -
概要(記事)  スペインバスク州食品安全機関(ELIKA)は10月28日、海洋性生物毒に関するニュースレターを公表した。
1. 海洋性生物毒の生成
 海洋性生物毒は、微細渦鞭毛藻類が産生する毒性物質である。渦鞭毛藻類の増殖は水温、光、塩分、栄養素及びその他の環境条件により水を赤又は茶色に変化させる(赤潮)ことがある。しかしながら、渦鞭毛藻類の成長を誘発する要因は正確には分かっていない。水温が4℃未満では渦鞭毛藻類は海底堆積物の上位層に埋まった嚢胞として生残するため、水温は5℃~8℃でなければならないということが唯一知られている。また、岩礁がハリケーンなどで変化した際も有毒渦鞭毛藻類の増加が見られる。
2. 関連する食品
 最も関連性の高い貝類は二枚貝、ムラサキイガイ、稀にホタテガイ及び牡蠣である。
3. 加工による影響
 すべての毒素は非たん白質性で、加熱調理、燻製、乾燥及び塩漬けなどの食品加工に非常に耐性が高い。また、魚介類の肉の外見から生物毒があるかどうかを知ることは不可能である。
4. 毒性
(1) 記憶喪失性貝毒(ASP):シュードニッチア属の珪藻が産生する毒素で、グルタミン酸のアゴニストとして作用するドウモイ酸によって引き起こされる。ASPは消化器障害(悪心・嘔吐)、めまい、また記憶の混乱及び喪失などの中枢神経系障害を引き起こす。
(2) 下痢性貝毒(DSP):ディノフィシス属及びAurocentrum属の渦鞭毛藻類の産生する毒素による。オカダ酸、ディノフィシストキシン、ペクテノトキシン、イエッソトキシンなど、少なくとも7種類の毒素が同定されている。症状は喫食後0.5~数時間で現れ、消化器系障害(下痢、嘔吐、腹痛)を引き起こす。
(3) 麻痺性貝毒(PSP):アレサンドリウム属、ギムノディニウム属、ゴニオラクス属、ピロディニウム属などの渦鞭毛藻類が産生する毒素群(サキシトキシン及びその類縁体)による。症状は喫食後0.5~2時間で現れ、神経系障害(うずき、かゆみ、唇や指先の痺れ、運動失調、眠気や言語障害など)、重症例では呼吸麻痺が発生する。
(4) 神経性貝毒(NSP):渦鞭毛藻類プチコディスクスブレビスが産生するブレベトキシンによる。NSPはPSPに似た症状(麻痺を除く)を引き起こす。他の毒素と異なり、ブレベトキシンは魚類に対して毒性が高く、これらの渦鞭毛藻類の赤潮は魚の大量死と関連がある。
(5) シガテラ中毒(CFP):底生渦鞭毛藻類ガンビエールディスカス属が産生するシガトキシンによる。ガンビエールディスカス属は珊瑚礁近辺に生息し微細藻類に強く付着する。毒素は有毒藻類を食べる魚類、また草食性魚類を捕食する大型の肉食魚類中に蓄積する。一部の魚類は体内から毒素を排出する。喫食後数時間で症状が現れ、胃腸障害及び神経障害(嘔吐、下痢、うずき、運動失調、衰弱)、重度の場合には循環器系障害を引き起こす。
(6) アザスピロ酸中毒(AZP):AZA1、AZA2、AZA3など約20種類で構成されるアザスピロ酸と呼ばれる毒素群による。AZPは悪心・嘔吐、重度の下痢及び胃痛などDSPと同様の症状を引き起こす。
(7) パリトキシン(PITX)類:パリトア属の六放サンゴ亜綱類及びオストレオプシス属の底生渦鞭毛藻類による。魚介類の喫食によるPITX類中毒の症状は明確に定義されていないが、筋肉痛及び衰弱、また発熱、悪心・嘔吐を伴うことがある。
(8) テトロドトキシン:他の海洋性生物毒と異なり、藻類に産生されるのではなく、細菌によって産生される。テトロドトキシンは、フグなどの特定の膨れる魚の主に肝臓、卵巣、及び皮膚に存在し、フグ科で最も毒性が高い。有毒の魚の筋肉組織は通常毒素を含有しない。また、ハゼ、ホラガイ、特定の巻貝、タコ、蟹などの他の魚介類からも検出されている。フグ毒は喫食10~45分後に神経系症状が現れ、顔及び四肢のうずき、麻痺、呼吸器障害、重篤な場合は心血管障害を引き起こす。
地域 欧州
国・地方 スペイン
情報源(公的機関) スペインバスク州食品安全機関(ELIKA)
情報源(報道) スペインバスク州食品安全機関(ELIKA)
URL http://www.elika.net/datos/articulos/Archivo1631/berezi43Biotoxinas%20Marinas.pdf