食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu03590020482
タイトル 香港食物環境衛生署食物安全センター、「第1回トータルダイエットスタディ報告書(第3報):ポリ臭化ジフェニルエーテル類(PBDEs)」を公表
資料日付 2012年4月25日
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概要(記事)  香港食物環境衛生署食物安全センターは4月25日、「第1回トータルダイエットスタディ報告書(第3報):ポリ臭化ジフェニルエーテル類(PBDEs)」を公表した。概要は以下のとおり。
1. PBDEsは工業化学物質で、難燃剤として様々な製品に用いられる。Penta-BDE、Octa-BDE、Deca-BDEの3種類はPBDEsの主な商用製品である。これら物質は長期にわたり環境中に残留し、生物の体内で蓄積するほか、毒性となる可能性がある。2009年、「ストックホルム条約」において、新たに9種類の残留性有機汚染物質が規制リストに追加されたが、このうち2種類は商用Penta-BDE及び商用Octa-BDEである。
2. ヒトの主要暴露源は室内空気とハウスダスト、食品(母乳を含む)である。PBDEsは脂溶性のため動物や人体の脂肪組織に蓄積される。一部の魚・肉・乳・油脂等、脂肪を多く含む食品は一般的にPBDEsの含有量が多い。
3. 動物実験によると、PBDEsは主に肝臓と神経発達に影響を及ぼす。多くの研究により、PBDEsには遺伝毒性がないことが示されている。国際がん研究機関(IARC)は1999年、Deca-BDEをGroup3(ヒトに対する発がん性が分類できない)に追加したが、Penta-BDE及びOcta-BDEの発がん性については評価が行われていない。
4. FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、国際的に一般集団が食事から摂取するPBDEsの量を0.004μg/kg体重(4ng/kg体重)と推定している。JECFAは、暴露マージン(MOE)は高いため、食事からのPBDEs摂取量では健康に問題が生じる可能性は小さいとの見解を示している。
5. 欧州食品安全機関(EFSA)は2011年、BDE-47、BDE-99、BDE-153、BDE-209の4種類のPBDEs同族体について、PBDEsが神経発達に及ぼす影響を毒性評価の重要なエンドポイントとし、ベンチマーク用量(BMD)及び神経発達への影響を10%増加させるベンチマーク用量の95%信頼下限値(BMDL10)を設定した。EFSAはBMDL10に基づき、実験動物の生体負荷量を測定・計算し、さらにPBDEs同族体の人体吸収率及び排出半減期を求め、これらから「習慣的ヒト摂取量」を算出した。この数値と一般市民の推定食事由来摂取量の比からMOEを得た。EFSAはMOEが2.5より大きければ、健康に問題は生じないと表明している。(訳注)
6. 本研究では2010年6月から11月までの期間、71種類の食品426検体を2回に分けて採取した。食品1種類につき3検体を購入して1つの混合試料とし、計142の混合試料について分析を行った。本研究ではPBDEsの同族体24種を選定し、検査した。これらの同族体は食品及び環境中に遍在し、分析方法も確立されている。
 PBDEs含有量が最も多かったのは「卵・卵類製品」(平均含有量は1
,693.7pg/g)で、次いで「油脂類」(平均含有量は1
,031.6pg/g)、「菓子類」(平均含有量は525.7pg/g)、「魚類・海産物及びその製品」(平均含有量は350.4pg/g)の順に多かった。「卵・卵類製品」中のPBDEs含有量が特に多かった主な理由は、塩漬け卵の値があらゆる食品の中で最も高かったことにある(平均含有量は4
,562.2pg/g(含有量の範囲は722.5~8
,401.9pg/g))。
7. 市民が食事から摂取するPBDEsの量は平均で1.34ng/kg体重/日、高摂取群(訳注:95パーセンタイル値)で2.90ng/kg体重/日だった。PBDEsの主要な摂取源は「魚類・海産物及びその製品」で総摂取量の27.3%を占めた。次いで、「肉類・家きん・ジビエ及びその製品」(20.7%)、「穀物及び穀物製品」(15.9%)、「油脂類」(15.9%)となっている。
8. JECFAが示した閾値と上記の食事由来摂取量の比から求められたMOEは平均摂取群で75
,000、高摂取群で3
,400だった。MOEの値が高いことから、香港の成人が食事から摂取するPBDEsの量は健康への影響が小さいものであることが示された。
 また、EFSAの方法に基づき、平均摂取群と高摂取群において同族体別にMOEを算出すると、平均摂取群ではBDE-47が780、BDE-99が60、BDE-153が240、BDE-209が3
,200
,000、高摂取群ではBDE-47が260、BDE-99が30、BDE-153が120、BDE-209が1
,600
,000だった。すべてのMOEが2.5より遥かに高く、市民は心配する必要がないことが示された。
9. 結論及び助言
 市民が食事から摂取するPBDEsの量は平均で1.34ng/kg体重/日、高摂取群で2.90ng/kg体重/日と推定される。本研究ではJECFA及びEFSAの方法に基づき、それぞれMOEを算出したが、得られた値は相当大きく、市民が食事から摂取するPBDEsの量では健康に問題が生じる可能性は小さいことが示された。しかしながら、Penta-BDE及びOcta-BDEは残留性有機汚染物質であり体内に蓄積されやすいため、慎重を期すためにPBDEsの食事由来摂取量を減らすべきである。PBDEsは脂溶性であるため、市民は食事のバランスを保ち、脂肪の摂取量を減らすべきである。
 報告書の英語版は以下のURLから入手可能(PDFファイル42ページ)。
http://www.cfs.gov.hk/sc_chi/programme/programme_firm/files/Report_PBDE_rev_4.pdf
 報告書をまとめた資料は以下のURLから入手可能。
1. 中国語版(PDFファイル28ページ)
http://www.cfs.gov.hk/sc_chi/programme/programme_firm/files/Report_PBDE_rev_4.pdf
2. 英語版(PDFファイル28ページ)
http://www.cfs.gov.hk/english/programme/programme_firm/files/Presentation_PBDEs_e.pdf
 報告書に関するプレスリリースは以下のURLから入手可能。
http://www.cfs.gov.hk/sc_chi/press/2012_04_25_1_c.html
(訳注)
 習慣的ヒト摂取量(Dr
,h:the chronic human dietary intake)を用いたMOEの算出方法について、「食品中のポリ臭化ジフェニルエーテルに関する科学的意見書」(2011年8月4日公表、274ページ)の中で以下のように記述されている。
  MOE=習慣的ヒト摂取量(Dr
,h)/ヒトの推定摂取量
 当該意見書は以下のURLから入手可能。
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/doc/2156.pdf
地域 アジア
国・地方 香港
情報源(公的機関) 香港食物環境衛生署食物安全センター
情報源(報道) 香港食物環境衛生署食物安全センター
URL http://www.cfs.gov.hk/sc_chi/programme/programme_firm/files/Report_PBDEs_c.pdf