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資料管理ID syu03580460475
タイトル フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)、がんの増殖リスクに影響を及ぼす乳及び乳製品の成長因子に関する報告書を発表
資料日付 2012年5月7日
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概要(記事)  フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は5月4日、がんの増殖リスクに影響を及ぼす乳及び乳製品の成長因子に関する報告書を発表した。
 成長因子はヒトや多くの動物が自然に生成する分子である。これらの分子は生体内で様々な生理的役割、特に細胞増殖、細胞分化、細胞代謝に役割を果たしている。生体内のこれらの分子の役割に従って、成長要因を幾つかの系統に識別できる。インスリン様成長因子(Insulin-like growth factors:IGF)、特にIGF-1は科学者の間で最も研究されている。
 成長因子は、生物の組織や体液(血液、乳など)の全てに存在する。細胞増殖機序における成長因子の役割を考慮した、多数の科学的研究がこれらの物質、特にIGF-1が、がんの増殖過程で果たす何らかの役割を担っているかについて研究している。
 2009年9月、消費者団体の「フランスの家族≪ Familles de France ≫」は、乳及び乳製品の成長因子に関するがんリスクを評価するようANSESに諮問した。ANSESは調査研究結果を発表した。
[ANSESの調査研究] 
 ANSESが実施した科学論文データ分析は、IGF-1の血中濃度と特定のよく見られるがん(前立腺がん、乳がん、結腸直腸がん)の罹患率とに相関性があることを示した。したがって、乳や乳製品のIGF-1がヒトの血中IGF-1濃度への寄与度を明らかにできるかが問題である。
 ANSESは、乳と乳製品に含まれる成長因子含有量の特徴付け及び成長因子が血液中に存在するかについて研究した。
 乳から製品を製造する過程で、生乳は多くの工業技術的加工を施され、その作用で成長因子含有量は減少する(現在入手できうるデータからは、高温処理後にはIGF-1は検出されず、フランスで販売される乳のほとんどはこのケースである)。他方、成長因子は生体に消化吸収される各段階で分解し、時間経過とともに徐々に減少する。したがって、IGF-1が血流に入ったとしても、その量は、体内で生合成されて循環しているIGF-1の量に比べて少ない。
 これに基づくと、乳由来のIGF-1のがん増殖リスクへの寄与度は、それが存在しても、低いと考えられる。
 また、たん白質摂取量やエネルギー摂取量など他の食品摂取要因が生体内で合成されるIGF-1の変化に関与することがANSESの研究から明らかで、これについて研究を継続する必要がある。
 最後に、栄養の面からのがん予防について、ANSESは、ANSESが推奨する、特にアルコールの摂取を減らし、バランスの取れた多様な食事と、運動を心掛けるよう指摘する。
 ANSESの意見書と報告書(210ページ)は以下のURLから入手可能。
http://www.anses.fr/Documents/NUT2009sa0261Ra.pdf
地域 欧州
国・地方 フランス
情報源(公的機関) フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
情報源(報道) フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
URL http://www.anses.fr/PMGC00TB01.htm