食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu03091380451
タイトル 米国会計検査院(GAO)、FDAはGRAS(Generally Recognized as Safe)食品添加物の管理制度を改善すべきと指摘
資料日付 2010年3月3日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
概要(記事)  米国食品医薬品庁(FDA)は、一般に安全とみなされている(GRAS:Generally Recognized as Safe)香辛料や保存料等の食品添加物を審査する義務を負ってはいない。現状ではFDAの認可を得ることなく、企業は無断で物質をGRASであると決めてもよいことになっている。ところが、以前はGRASとされていた物質が後日禁止されるような事例がこれまで幾つかあったことから、GRAS物質の安全性に疑義が生じている。加工ナノ材料を含んだ物質はその一例である。米国会計検査院(GAO)は以下について精査するよう要請を受けた。
1. 新規のGRAS判定に対するFDAの監督は、かかる物質の安全性を担保する上でどの程度寄与しているか
2. FDAは現行GRAS物質の安全性をどの程度継続的に担保しているか
3. GRAS物質中の加工ナノ材料の規制に対するFDAの取組は、食料供給の安全性を担保する上でどの程度寄与しているか
【結果】
1. 新規のGRAS判定に対するFDAの監督は、かかる物質の安全性を担保する上でどの程度寄与しているか
 FDAの監督処置は、新規のGRAS判定について一切安全性の担保に寄与していない。FDAが審査しているのは、任意届出計画に応じて企業が提出したGRAS判定のみである。届出義務がないために企業が提出していないそれ以外のGRAS判定については、FDAは総じて関知していない。
 またFDAは、かかる届出を受けていない物質のGRAS判定について、安全性の担保に寄与する方策を講じていない。GRAS判定の記録要領を示した企業向けガイダンスの発行も、GRAS判定を適正に行わせるための監視も行ったことがない。任意届出計画の体制・基準について定めた1997年規則案が最終規則化されておらず、これでは計画の信頼性をおとしめかねない。
2. FDAは現行GRAS物質の安全性をどの程度継続的に担保しているか
 体系的に担保しているとは言えない。FDAの規則では、ある物質のGRAS状態は新たな知見が発表された際に見直しを行うことになっているが、FDAは1980年代から体系的な見直しを一度も行ったことがない。担当者は、科学文献に掲載される新事実に遅れずに追随しており、注目を要する情報の場合、案件ごとに速やかにGRAS物質の安全性の見直しを行っていると言う。しかし、食塩や硬化植物油中のトランス脂肪など、個人や消費者団体が2004年~2008年に11件の市民請願を通じて提起した危惧に対して、FDAはほとんど答え応じていない。それどころか、危惧の正当性を認めたのは11件中わずか1件であった。企業がそれぞれのGRAS物質に関する科学情報をどの程度最新の状態に保っているのか、というよりもそれを行っているかどうかさえFDAは関知していない。
3. GRAS物質中の加工ナノ材料の規制に対するFDAの取組は、食料供給の安全性を担保する上でどの程度寄与しているか
 ナノテクノロジーの規制に対するFDAの取組では、FDAが関知しないうちに加工ナノ材料がGRAS物質として食料供給に入り込むのを許すことになる。加工ナノ材料は、用途により食品安全の担保に寄与するものもあるが、食品における安全性をどう判定するのかという点はまだ明らかになっていない。かかる不確定要素を調査した結果FDAは、加工ナノ材料を含有する製品を規制するために付加的な認可は不要と決定を下した。そればかりか、食品への加工ナノ材料使用を検討中の企業は、かかる物質がGRASかどうかについてFDAに相談するように、義務づけるのではなく奨励しているにすぎない。GRASの届出は任意であって、GRAS物質中のナノ材料を明らかにする義務が企業にない以上、ナノ材料がGRAS物質の一部として米国の食品供給に入り込む全体像を把握するすべがFDAにはない。FDAの取組とは対照的に、カナダやEUでは加工ナノ材料を含有するすべての食品添加物は、販売に先だって規制当局への届出が義務づけられている。
 なお、GAO報告書の全文は以下の次のURLから入力可能。
http://www.gao.gov/new.items/d10246.pdf
地域 北米
国・地方 米国
情報源(公的機関) 米国会計検査院(GAO)
情報源(報道) -
URL http://www.gao.gov/products/GAO-10-246