【読み物版】食品用器具及び容器包装に関する食品健康影響評価指針 その1 2020年3月31日配信

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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】
[食品用器具及び容器包装に関する食品健康影響評価指針 その1]
2020年3月31日 配信
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今号のe-マガジン【読み物版】は、「食品用器具及び容器包装に関する食品健康影響評価指針」についてです。
2018年に食品衛生法が改正され、食品用器具及び容器包装の原材料として用いられる物質について、国際整合性の観点などからポジティブリスト制度が導入されます。まずは合成樹脂を対象として「安全性が評価された物質のみ使用可能とする」ことになりました。これらの状況から、食品安全委員会はポジティブリスト制度の施行後に新しく使用される物質を対象に、評価の考え方や方法、評価に必要な資料の範囲を定めた「食品用器具及び容器包装に関する食品健康影響評価指針」(2019年5月28日)を策定しました。申請者に対する準備データの周知や公平で透明性の高い調査審議が円滑に行われることが期待されます。

※食品用器具及び容器包装に関する食品健康影響評価指針(2019年5月)も併せてご覧ください。
http://www.fsc.go.jp/hyouka/index.data/kiguyouki_syokuhinkenkoueikyouhyoukashishin_20190528.pdf[PDF形式]PDFファイルを別ウインドウで開きます

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1.食品用器具及び容器包装とは
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食品用器具及び容器包装は、食品衛生法第4条に規定されています。
器具は「飲食器、割ぽう具その他の食品又は添加物の採取、製造、加工、調理、貯蔵、運搬、陳列、授受又は摂取の用に供され、かつ、食品又は添加物に直接接触する機械、器具その他のもの」です。具体的な例を以下に列記します。
・飲食器…皿、カップ、器、はし、フォークなど
・割ぽう具…鍋、フライパン、お玉、フライ返しなど
・ラップは「その他」に含まれます。

容器包装は「食品又は添加物を入れ、又は包んでいるもので、食品又は添加物を授受する場合そのまま引き渡すもの」です。具体的な例を以下に列記します。
・ペットボトル、弁当箱、レトルトパウチ、缶詰など

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2.器具・容器包装のリスク評価体制の整備
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ネガティブリスト制度は、「原則使用を認めた上で、規格基準が定められた物質の使用は制限する」というものです。これまで日本では、ネガティブリスト制度によって、食品用器具及び容器包装(以下「器具・容器包装」)に使用される原材料等が規制されてきました。
しかし、国際整合性の観点などから2018年に食品衛生法が改正され、器具・容器包装の原材料として用いられる物質については、ポジティブリスト制度が導入されました。ポジティブリスト制度は、「原則使用を禁止した上で、安全性が評価された物質のみ使用可能とする」というものです。まず、合成樹脂を対象に導入されます(2020年6月)。
これらの状況から、今後、継続的にリスク評価の要請を受けることが見込まれるため、食品安全委員会は評価の公平性・透明性を一層高めることなどを目的に、「食品用器具及び容器包装に関する食品健康影響評価指針」を策定しました。評価指針には、評価の考え方や方法、評価に必要な資料の範囲について書かれています。評価指針はポジティブリスト制度の施行後に、制度の対象となる合成樹脂の原材料として新しく使用される物質を対象としています。

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3.評価指針の特徴
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器具・容器包装に使用される合成樹脂には、原材料の他、材質中に意図せずに含まれる物質(不純物、副生成物、又は分解物)が含まれており、器具・容器包装と食品が触れることで、食品に移ってしまう(移行)ものがあります。しかし、これらの物質はもともと器具・容器包装から食品へ移行することが意図されているものではありません。多くの場合、その移行量はとても少なく、結果としてヒトが食べてしまう量(ばく露量)も非常に少ないと考えられます。
そこで、器具・容器包装の評価では、全ての物質に対して一律に全ての試験(遺伝毒性や亜慢性毒性などの毒性試験、体内動態試験)の結果を求めてはいません。既にポジティブリスト制度を導入している欧米も採用しているように、食品へより多く移行するものには、より多くの試験結果を求めるという考え方で評価をすることにしました。
具体的には、食品へ移行する程度を、食事中濃度(ヒトが一日当たりに食べる食事中の濃度の推定値)によって4つの区分(区分Iから区分IV)に分け、それぞれの区分で必須となる試験の種類を定めています。食品への移行の程度は区分Iから区分IVになるにつれて大きくなるので、それに応じて評価に必要な試験の種類も増えることになります。
評価の手順は、国際的なリスク評価の考え方との整合性も考慮して定めています。具体的には以下の4つの手順を評価指針に示しています。
(1)移行の評価:評価対象の物質がどの程度食品へ移行するかを調べるために、溶出試験を行い、その結果から算出した食事中濃度に基づき、対象物質の食事中濃度区分(区分I〜IV)を判断します。
(2)毒性の評価:食事中濃度区分に応じて必要となる試験の結果などに基づき、対象物質の毒性を評価します。
(3)ばく露量の評価:対象物質のばく露量(食品を食べることで摂取する量)を推計します。
(4)リスクの判定:毒性及びばく露量の評価の結果に基づき、対象物質を食べたことによるヒトへのリスクを判定します。 

次号では、評価指針の各手順の内容を紹介します。

食品安全委員会は、食品健康影響評価や指針を読む際の助けとなるように、「食品の安全性に関する用語」を整理し、用語集としてまとめていますので、ぜひご活用ください。
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