【読み物版】生活の中の食品安全 -食品の安全性は量の問題- その1 2019年6月28日配信

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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】
[生活の中の食品安全 −食品の安全性は量の問題− その1]
2019年6月28日 配信
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今月のe-マガジン【読み物版】は、「食品の安全性は量の問題」です。

【読み物版】4月号と5月号では、食品の安全性についての考え方をお伝えしました。今号と次号では、その基本となっている、“食品が安全かどうかは、食品の中に含まれる危害要因(ハザード)の「毒性の強さ」だけでなく、それを「摂取する量(ばく露量)」にもよる”という考え方をご紹介します。
 
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1.食品に含まれるもの
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食品は、私たちが生きるための栄養源やエネルギー源として不可欠なものです。食品にはどのような成分が含まれているのでしょうか?

ここでは成分の起源をもとに分けてみました。
・もともと食品に含まれる物質(炭水化物、タンパク質、ミネラル、ソラニン、トマチンなど)
・水や土等の環境に由来して食品を汚染する物質(カドミウム、細菌、カビ(カビ毒)、ふぐ毒など)
・加工過程で新たに生成する物質(アクリルアミドなど)
・食品の製造等のために意図的に使われた物質(食品添加物)
・食品の生産の過程で意図的に使われ、食品に残留した物質(残留農薬、残留動物用医薬品など)
このほかに、食品には、現時点の科学では明らかになっていない未知の物質が含まれているかもしれません。

これらの物質は全て化学物質です。細菌、カビなどは細胞からできていますが、細胞を作っている炭水化物、タンパク質、核酸等の様々な物質も化学物質です。すなわち、食品はすべて化学物質からできています。

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2.食品の安全性は量の問題
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食べた人にとってその食品が安全かどうかは、食品の中に含まれる化学物質の量によって異なります。毒性の強い化学物質の場合は、少量食べただけで健康に悪影響を及ぼす可能性があります。また、毒性の弱い化学物質でも、大量に食べると健康に悪影響を及ぼすかもしれません。食品の安全性は、食品に含まれる化学物質の「毒性の強さ」と、人がそれを「摂取した量(体内に吸収された量)」によるのです。

人の体に必要な栄養素であっても、多量に食べると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。食塩を考えてみましょう。食塩は、栄養素の一つであるナトリウム(ミネラルの一種)の摂取源です。ナトリウムは細胞の維持に重要な役割を果たし、胆汁、腸液などの材料になるなど、人の身体機能を保つために不可欠なものです。通常の食事をしていれば基本的に不足することはないのですが、逆に、食塩の取り過ぎはナトリウムの過剰摂取につながるおそれがあり、その結果、高血圧、がん及び脳卒中などの生活習慣病を発症する可能性が高くなることが示唆されています。

<参考>厚生労働省の国民・健康栄養調査によると、平成29年度の日本人の1日あたりの食塩摂取量の平均は、成人男性で10.8グラム、成人女性で9.1グラムでした。これは「日本人の食事摂取基準(2015年)」の目標量である「1日あたり成人男性8.0グラム未満、成人女性7.0グラム未満」を超えています。

このように、食品の安全性は、食品に含まれる化学物質の毒性の強さとその摂取量の問題なのです。私たちは、つい食品の中に含まれる特定の化学物質の有無に気を取られがちですが、その量を考えることがリスクの大きさを考える上では重要になります。そこで大切になるのが、特定の化学物質を必要以上に摂りすぎないための配慮です。同じものばかりを食べるような偏った食生活は、特定の化学物質の過剰摂取による健康への悪影響を招きかねません。
普段から、さまざまな食品を組み合わせたバランスのとれた食事を心掛け、ぜひ安全で健やかな食生活を送ってください。

<参考>
・「科学の目でみる食品安全」p.3〜5
http://www.fsc.go.jp/kids-box/index.data/2017.4.14kagakunome.pdf[PDF]別ウインドウで開きます
・「みんなのための食品安全勉強会」(2018年3月9日開催)資料1
http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20180309ik1別ウインドウで開きます
・「e-マガジン【読み物版】」2018年7月号
http://www.fsc.go.jp/e-mailmagazine/mailmagazine_h3007_r2.html
・「用語集」リスクアナリシス(リスク分析)の考え方
http://www.fsc.go.jp/yougoshu/kensaku_analysis.html
・日本人の食事摂取基準(2015年版)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html外部サイトが開きます
・平成29年「国民健康・栄養調査」の結果
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177189_00001.html外部サイトが開きます
●次号(2019年7月26日配信予定)では、Q&Aをお届けします。

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