【読み物版】[生活の中の食品安全 -お弁当も、食中毒に気をつけよう!-その2] ◆Q&A◆平成29年4月14日配信

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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】
[生活の中の食品安全 −お弁当も、食中毒に気を付けよう!− その2(Q&A)]
平成29年4月14日配信
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今号のe-マガジン【読み物版】は、お弁当を作る際の食中毒予防についてQ&Aをお送りします。お花見シーズンも真っ盛り。食中毒に気を付けて美味しいお弁当を食べましょう。

Q1  食品安全の視点から、お弁当を作る際に気を付けるべきポイントを教えてください。
Q2  知人から、生野菜や果物などは、ご飯やおかずを入れたお弁当とは別の容器に入れて子どもにもたせた方が安全だと聞きました。そうなのでしょうか?
Q3  家族は梅干しがきらいなのですが、お弁当に安全のために梅干しを入れた方がよいと聞きました。わざわざ、梅干しを入れる必要があるでしょうか。
Q4  お弁当に凍ったまま入れられる冷凍食品があり、昼頃ちょうど食べごろになっていて便利です。家でもおかずを冷凍庫で凍らせて、弁当に入れればよいのではないでしょうか。


Q1  食品安全の視点から、お弁当を作る際に気を付けるポイントを教えてください。
A1 作ってから食べるまでの時間が長いお弁当は、特に、清潔に調理することが大切です。食中毒予防の3原則、微生物を「付けない」・「増やさない」・「やっつける」ことに十分注意することが大切です。
お弁当を作る際には、次の四つの点に気をつけましょう。
■(1) 調理前は、何でも洗う!
調理前に手をよく洗うのは基本中の基本。時計やアクセサリーは外して、手の甲、手のひらどちらもしっかり洗いましょう。手や指に傷がある場合は、黄色ブドウ球菌など食中毒菌の食中毒を起こす可能性があります。手をしっかりと洗うとともに、傷の度合いによっては、調理用の手袋の利用などもおすすめします。お弁当箱もきれいに洗って、しっかり乾かしておきましょう。
また、野菜や果実は流水で良く洗いましょう。
そして、調理前はもちろん、生の魚や肉などを触ったあと、弁当箱につめる前なども、こまめに手を洗いましょう。
■(2) 調理では加熱が大事!
おかずの定番はハンバーグやから揚げ、卵焼き。また、冷凍食品もお弁当には大活躍。しっかり中心部まで加熱することがポイントです。中心温度75℃・1分以上を目安に十分に加熱すれば、ほとんどの食中毒菌は死滅します(注)。調理用温度計を用いて確認することをおすすめします。
■(3) つめるときにも、ひと工夫! 
 水分が多いと細菌が増えやすくなります。ご飯にせよ、おかずにせよ、お弁当の中身は、「よく冷ましてから」、ふたをしましょう。
■(4) 食べるまでは涼しく保管!
 温かいところに置いておくと、細菌が増えてしまいます。なるべく涼しいところに保管して、早目に食べるようにしましょう。夏場は保冷剤などを活用するのも温度を低温に保つためには有効です。

(注)食中毒菌等が死滅する温度と加熱時間の目安
・リステリア:65℃・数分
・腸管出血性大腸炎、カンピロバクター、サルモネラ属菌:各75℃・1分(以上)
・ノロウイルス:85〜90℃・90秒(以上)

Q2  知人から、生野菜、果物などは、ご飯やおかずを入れたお弁当とは別の容器に入れて子どもにもたせた方が安全だと聞きました。そうなのでしょうか?
A2 彩りの良い生野菜や果物はお弁当を華やかにしますが、しっかりと洗っても、加熱しないかぎり食中毒菌が残っている危険性があるので、気温が高くなる夏場は特に注意しましょう。できればお弁当のおかずに入れるのは避けたほうが安心です。生のレタスを仕切りの替わりに入れると、他のおかずの塩分によって、レタスから水分が出る可能性もあります。野菜を入れたい時は、茹で野菜など加熱してあるものがおすすめです。果物は水分も多いので、デザートとして持っていくときには、別の容器に入れましょう。

Q3  家族は梅干しがきらいなのですが、お弁当に安全のために梅干しを入れた方がよいと聞きました。わざわざ、梅干しを入れる必要があるでしょうか。
A3 本来、梅干しは年1回収穫される梅を翌年の収穫期まで保存するために、梅の重量の2割程度の食塩で漬け込んだ梅漬けを干し上げた、塩分の高い保存食品です。
東京都の実験によれば、梅干には確かに食中毒菌への抗菌性が認められますが、効果があるのは梅干に触れているところだけで、日の丸弁当のように、梅干を一粒乗せたくらいでは効果は薄く、思っているほどの効果は期待できません。
また近年では、消費者の健康志向が高まり、減塩処理をした梅干し(調味梅干し)が多くなりました。
調味梅干しは減塩している分だけ、殺菌・抗菌の効果は減弱しますので注意が必要です。

【参考】
・東京都衛生局生活環境部食品保健課:わさび、からし、梅干の抗菌作用の実験
 http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/rensai/files/jikken08.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)

Q4  お弁当に凍ったまま入れられる冷凍食品があり、昼頃ちょうど食べごろになっていて便利です。
家でもおかずを冷凍庫で凍らせて、弁当に入れればよいのではないでしょうか。
A4 最近では、お弁当用の冷凍食品も売られています。凍ったままのおかずをそのままお弁当箱につめて自然解凍させることで、昼頃にはちょうど食べごろになるというもので、調理時間の短縮や、保冷剤代わりにもなることから販売量も増えているようです。これは自然解凍調理食品として、大変厳しい衛生管理、温度管理のもとで製造されたものです。
 しかし、自家製の冷凍おかずを保冷剤代わりに冷凍したまま入れることはおすすめできません。なぜなら、日本の家庭用冷蔵庫の冷凍室の温度は、JIS規格により-18℃以下と決められています。従って、市販の冷凍食品などすでに凍っているものを保存するのには適しているのですが、食品を凍結する場合には、この温度では緩慢凍結になってしまうからです。食品の細胞を壊さずに冷凍するためには、冷凍食品を工場で製造する場合のように-30℃以下の非常に低い温度で急速凍結しなければなりません。緩慢凍結では食品中の水分が凍るとき、氷の結晶が大きくなって食品の細胞を壊してしまうので、解凍したときに、もとの品質にはもどらず、水分が出やすくなります。この水分も菌が繁殖す
る原因になるので、自家製のおかずを冷凍した場合は、一度電子レンジなどでしっかり加熱したものを冷ましてからお弁当にいれましょう。

【参照】
・日本冷凍食品協会:一般家庭向け弁当用自然解凍調理冷凍食品等の製造・販売に係わる取扱要領
(平成19年5月25日)
http://www.reishokukyo.or.jp/wp-content/uploads/pdf/room-temp-thaw.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)
・日本冷凍食品協会:ホームフリージング
 http://www.reishokukyo.or.jp/frozen-foods/home-freezing/別ウインドウで開きます(外部サイト)

≪参考≫
・食品安全委員会;キッズボックス総集編「食中毒について知りたい」お弁当も、食中毒に気をつけよう!(34ページ)
https://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/tokusyuu/kidsbox_6.pdf
・食品安全委員会;e-マガジン【読み物版】 [生活の中の食品安全 ?食中毒予防の三原則について?
 (食品安全委員会委員 熊谷 進) ]
 その1 https://www.fsc.go.jp/e-mailmagazine/mailmagazine_h2808_r1.html
 その2 https://www.fsc.go.jp/e-mailmagazine/mailmagazine_h2808_r2.html
・農林水産省;さらば食中毒!お弁当づくりの知恵
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/lunchbox.html別ウインドウで開きます(外部サイト)
・弁当及びそうざいの衛生規範について(昭和54年6月29日環食第11号:最終改正平成7年10月
12日衛食第188号:厚生省環境衛生局食品衛生課長通知)
www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/jourei/2013/files/2bukai/sankou4.pdf別ウインドウで開きます(外部サイト)

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