【読み物版】[あなどるなかれ食中毒〜腸管出血性大腸菌やカンピロバクターを中心に〜 その2] 平成28年4月28日配信

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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[あなどるなかれ食中毒〜腸管出血性大腸菌やカンピ
ロバクターを中心に〜 その2] 平成28年4月28日配信
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前回(4月27日配信)のe-マガジン【読み物版】では、「あなどるなかれ食中毒〜腸管出血性大腸菌やカンピロバクターを中心に〜」(平成27年10月実施)の情報をお届けしました。
今号では、Q&Aをお送りします。

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あなどるなかれ食中毒〜腸管出血性大腸菌やカンピロバクターを中心に〜 Q&A
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Q1  細菌が原因の食中毒は、汚染のおそれのある食品を加熱等して、細菌を死滅させれば、防ぐことができるのでしょうか。
Q2  最近、カンピロバクターという細菌が原因の食中毒が多いと聞きました。家庭において、有効な対策はありますか。また、腸管出血性大腸菌の対策はいかがでしょうか。
Q3  最近、牛レバーの生食が禁止されたと聞きました。それ以外の牛肉は大丈夫なのでしょうか。

 

Q1  細菌が原因の食中毒は、汚染のおそれのある食品を加熱等して、細菌を死滅させれば、防ぐことができるのでしょうか。
A1  生きている細菌そのものが消化管内で作用して健康障害を生じさせる「感染型食中毒」は、加熱などで殺菌すれば安全です。腸管出血性大腸菌やカンピロバクター、サルモネラ属菌、腸炎ビブリオなどによる食中毒がこれに当たります。
一方、細菌によってつくりだされた毒素が作用して健康障害を引き起こす「毒素型食中毒」は、細菌自体を摂取しなくても、その毒素を摂取すれば健康障害が起こります。毒素型の代表的な3種類の菌が、黄色(おうしょく)ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌です。ボツリヌス菌のつくる毒素は、非常に強いものの、100℃の煮沸、調理で毒素は分解します。かたや、ブドウ球菌、セレウス菌の毒素は耐熱性の毒素で100℃の加熱調理では分解しません。例えば、夏場などで黄色ブドウ球菌の増殖したおにぎりを、表面だけ焼いて、焼おにぎりにしても毒素が残っている場合がありますので要注意です。

 

Q2  最近、カンピロバクターという細菌が原因の食中毒が多いと聞きました。家庭において、有効な対策はありますか。また、腸管出血性大腸菌の対策はいかがでしょうか。
A2  カンピロバクターなどによる食中毒を防ぐためには、加熱調理により食品中の細菌を死滅させることに加え、二次汚染を防止することが大切です。具体的には、次のようなポイントに気を付けることが必要です。

  【鶏肉】 カンピロバクター食中毒の原因食品で多いとされる鶏肉は、しっかりと加熱します(65℃以上、数分間)。生や、半生で食べることは、できるだけ避けましょう。また、他の食品と調理器具や容器を分けて処理や保存を行うなど二次汚染防止に十分気を付けます。
  【牛肉】 牛の体内で腸管出血性大腸菌などの病原微生物がいるのは、胃や腸の消化管で、筋肉の中は無菌です。このため、牛肉については、表面だけ焼いて中心部は生の状態(レア)を食べることができます。
しかし、ハンバーグなどの一度挽肉にしたもの、あるいはサイコロステーキなどで小さな肉を結着させたもの(成形肉)は、全体に菌が付着している可能性があることから、しっかり中心部まで加熱する必要があります。75℃で1分間以上の加熱をすれば、腸管出血性大腸菌などの病原微生物は死滅します。外側が焼けているように見えても、中が生焼けになっていることがありますので、ハンバーグや成形肉は、中心部までしっかり火を通すことが大切です。
なお、牛のレバーは、腸管出血性大腸菌が内部に存在する可能性があることから、2012(平成24)年7月からは、食品衛生法に基づいて生食用としての販売・提供することが禁止されています。
  【豚肉】 豚肉については、E型肝炎ウイルス(HEV)等危害要因が存在するリスクが高いと推定されるため、食べる際は、中心部まで十分加熱しましょう。
なお、2015(平成27)年6月12日からは、E型肝炎ウイルス(HEV)に感染するリスク等により、食品衛生法に基づき、豚の生肉や内臓を生食用として販売・提供することが禁止されています。
  【ジビエ】 鹿肉や猪肉などのジビエ(野生鳥獣の食肉)は、主にHEVの感染のリスク等に注意し、十分な加熱が必要です。
  【保存、調理時の注意】
・調理器具や容器は、熱湯でよく消毒し、よく乾燥させて使用します。
・保存時あるいは調理時に、食肉と他の食材(野菜、果物など)とを接触させない。
・バーベキューなどの焼き肉の場合は、交差汚染に注意が必要です。食肉に細菌が付着している場合、トングなどによって他の食品を汚染してしまいます。トングや取り箸などは、肉を焼くときに使うものと、焼き上がってから使うものとに分けることが必要です。

 

Q3  最近、牛レバーの生食が禁止されたと聞きました。それ以外の牛肉は大丈夫なのでしょうか。
A3  2012(平成24)年7月に、腸管出血性大腸菌が見つかったこと等により、牛レバーを生食用として販売・提供することが食品衛生法により禁止されています。一方で、牛の体内で病原微生物がいるのは、胃や腸の消化管であり、筋肉の中は無菌ですから、牛肉については、表面だけ焼いて中心部は生の状態(レア)を食べることができます。ただし、一度挽肉にしたもの、あるいは小さな肉を結着させたもの(成形肉)は、しっかり加熱する必要があります。
 
≪参考≫
・食品安全委員会;「食品を科学する—リスクアナリシス(分析)連続講座」 あなどるなかれ食中毒〜腸管出血大腸菌やカンピロバクターを中心に〜
https://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20151008ik1
・食品安全委員会;「食中毒予防のポイント」カンピロバクターによる食中毒にご注意ください
https://www.fsc.go.jp/sonota/e1_campylo_chudoku_20160205.html
・厚生労働省;腸管出血大腸菌Q&A
http://www1.mhlw.go.jp/o-157/o157q_a/ 別ウインドウで開きます(外部サイト)

 

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