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食品安全委員会e-マガジン【読み物版】 [トランス脂肪酸 その1] (2014.12.12)


食品安全委員会e-マガジン【読み物版】 [トランス脂肪酸 その1] (2014.12.12)

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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[トランス脂肪酸 その1]
平成26年12月12日配信 
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今月のe-マガジン【読み物版】は、トランス脂肪酸についてお送りします。
食品安全委員会は2012年3月に「食品に含まれるトランス脂肪酸」の食品健康影響評価を行ってい ます。
そこで、今号では、ときどき話題となるトランス脂肪酸についてご紹介します。
また、次号では、トランス脂肪酸に関するQ&Aを予定しています。

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1.トランス脂肪酸とは
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■トランス脂肪酸
食品の三大栄養素は、炭水化物、たんぱく質、脂肪です。このうち脂肪は、通常、脂肪酸とグリセリンがエステル結合したものです。
この脂肪酸は大きく分けて、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類があります。
トランス脂肪酸はこの不飽和脂肪酸の一種です。

■トランス脂肪酸はどうやってできるのか
トランス脂肪酸は、大きく分けて、工業的に加工した植物油に由来するもの(加工段階で生成するもの)、牛などの反芻(はんすう)動物に由来するもの(天然に生成するもの)があります。
植物の種子などから生産される油は液体ですが、これらを固体にしたり、高温で脱臭する工程で、多くの種類のトランス脂肪酸が生成します。
いくつかの食品では、すでに事業者の取り組みによりトランス脂肪酸の量が大幅に減少しています。
また、牛などの反芻(はんすう)動物の胃でも生成されて、乳製品や肉にも一部含まれていますが、これらのトランス脂肪酸と後述する冠動脈疾患の関係は低いと考えられています。

■飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
炭素の二重結合をもつものを不飽和脂肪酸、二重結合をもたないものを飽和脂肪酸といいます。
不飽和脂肪酸のなかには、孤立したトランス型の二重結合をもつものがあり、これをトランス脂肪酸と呼んでいます。
なお、共役二重結合をもつ脂肪酸は、トランス脂肪酸には含めて考えられていません。

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2.ヒトの健康に与える影響
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トランス脂肪酸を多く摂取すると、いわゆる悪玉コレステロール(LDL)を増加させ、善玉コレステロール(HDL)を減少させるとされ、冠動脈疾患(虚血性心疾患)のリスクを高めると言われています。
なお、牛乳や乳製品など牛などの反芻(はんすう)動物に由来するバクセン酸などはリスクは低いと考えられています。

■海外における研究結果
諸外国における研究結果によれば、トランス脂肪酸の過剰な摂取は、冠動脈疾患を増加させるだけでなく、肥満やアレルギー疾患との関連や、妊産婦・胎児への影響についても、関連が報告されています。(日本人のトランス脂肪酸の摂取量においては、冠動脈疾患等のリスクと関連があるかは明らかではありません。)
世界保健機構(WHO)は、トランス脂肪酸の摂取量について、総エネルギー比で1%未満という勧告(目標)基準を示しています。

■日本人への影響
日本人が摂取しているトランス脂肪酸は、平均0.7g/日で、これは一日の消費エネルギー比の0.3%でした。摂取量の多い上位から5%の人であっても、消費エネルギー比1%を下回っています。
このように、日本人のトランス脂肪酸の摂取量はWHOの勧告(目標)基準を下回っており、健康への影響は小さいと考えられます。

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3.まとめ
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日本人の通常の食生活では、トランス脂肪酸の健康への影響は小さいと考えられますが、一方で脂質に偏った食事をしている人は、トランス脂肪酸を多く摂っている場合もありますので、留意する必要があります。
脂質自体は重要な栄養素でもありますが、近年は、食生活の変化により脂質の摂取過剰が懸念されており、必要以上に心配せず、トランス脂肪酸だけでなく脂質全体の摂取量に十分配慮し、バランスの良い食事を心がけることが重要です。

(参考)
食品に含まれるトランス脂肪酸の食品健康影響評価の状況について
http://www.fsc.go.jp/sonota/trans_fat/trans_fat.html

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