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【読み物版】[食品の加工貯蔵中の化学変化と安全性 その2] (2014.11.28)


食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[食品の加工貯蔵中の化学変化と安全性 その2] (2014.11.28)

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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[食品の加工貯蔵中の化学変化と安全性 その2]
平成26年11月28日配信 
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前回(11月14日配信)のe-マガジン【読み物版】では、食品の加工貯蔵中の化学変化であるメイラード反応などに関する情報をお届けしました。
今号では、食品の貯蔵、加工・調理と化学変化などに関するQ&Aと、食品安全委員会 村田委員の随想をお送りします。

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1.食品の貯蔵、加工・調理と化学変化などに関するQ&A
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Q1 食品に使用されている人工的な化学物質の安全性は大丈夫なのですか。
A1 化学物質には人工的なものもあれば天然のものも数多くあります。
天然だから安全、人工的だから危険というわけではありません。
天然の化学物質の中には、フグが持っているテトロドトキシンという猛毒、毒性の高いカビ毒のアフラトキシンやオクラトキシンなど、有毒なものは数多くあります。
新たな人工的な化学物質を食品に使用する場合には、動物実験等の結果に基づいて安全性が科学的に評価され、それに基づいて使用法などの規制が行われています。
むしろ天然のものよりも安全性が確認されているといっていいかもしれません。

Q2 食品の貯蔵や加工・調理中の化学変化にはどのようなものがありますか。
A2 食品の貯蔵や加工・調理では、成分の流出(ビタミンやミネラルなど)、性質変化(炊飯でのデンプンの糊化、豆腐製造でのタンパク質の変性など)、異なる成分が反応して新しい成分となる化学反応(メイラード反応など)や酸化などがあります。
また、大豆に含まれているトリプシンインヒビターやレクチンなどの有害化学物質は、加熱によって低減されます。

Q3 食品の貯蔵や加工・調理中の成分変化は良いことなのですか。
A3 多くのデンプンは、加熱調理してデンプンが糊化することで、食べられるようになります。
液体の油は酸化しやすく扱いにくいのですが、これを硬化加工すると酸化しにくくなり保存性が高まります。
また、メイラード反応では、焦げ色や香気という風味が加わり嗜好性が高まります。
一方で、油が酸化すれば不快な臭いを発したり、味が劣化します。微生物による腐敗もあります。
成分変化にもいろいろあります。

食品の貯蔵、加工・調理にあたっては、これらの変化による得失も考慮して、保存期間を考えたり、 調理法を工夫する必要があります。

※食品を科学する-リスクアナリシス(分析)連続講座
誰もが食べている化学物質~食品の加工貯蔵中の化学変化と安全性~
http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20140731ik1

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2.「化学物質という言葉の不思議」(食品安全委員会委員 村田委員)
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「我々は化学物質からできています」というと怪訝な顔をされることが多い。
化学物質という言い方は、物質の化学的側面を強調した言い方で、化学式で表わされるというイメージである。ヒトを含め生物は多種多様な化学物質からできている。
生物がつくる化学物質(天然物)であろうと人間が合成した化学物質(合成化合物)であろうと、化学物質であることに変わりはない。
安全性はそれぞれに調べる必要がある。
天然とか自然というと聞こえはいいが、致死性の自然毒(化学物質)もある。
我々は、多くの生物がヒトを含め他の生物に影響を及ぼす化学物質を作っているという認識をあまり持たない。例えば多くの野生植物は自らの身を守るために、ヒトや動物に毒性を示す化合物を多数作っている。
我々は生物学的なヒトが食べられるもの以上の様々な植物性食品を食べているがそれを可能にしているのは、比較的そのような物質を少量しか含まないものを選抜・育種してきたり、加工調理を行なうことで毒性を示す物質の濃度を下げたり、毒性をなくしたりしているからであり、また個々の食品の摂取量を多くしなかったりしているためである。
これらは動物が行わない極めて人間的な行為・操作である。人間が意図的に作り利用する化学物質(食品添加物や農薬など)は、科学的な評価を受けた上でコントロールして使用する取り決めになっている。
一方、我々は食品にもともと含まれている化学物質一つ一つの安全性をすべて知っているわけでないし、それらの量を自由にコントロールできるわけでもない。通常の食べ方で食べていれば問題はないという経験に基づいて食べている。人間は経験や知識を体系化できる存在であり、食の安全も過去の経験と現代の科学により支えられている。
経験と科学の両者を含んでいるのが食品の科学の面白いところでもあり、また、むずかしいところでもある。
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