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食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[鳥インフルエンザ その2] (2013.12.24)


食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[鳥インフルエンザ その2] (2013.12.24)

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内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】[鳥インフルエンザ その2] 平成25年12月24日配信 
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前回(12月13日配信)のe-マガジン【読み物版】では、鳥インフルエンザについてお届けしました。
今号では、鳥インフルエンザに関するQ&A及び熊谷委員長の随想をお送りします。

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1.鳥インフルエンザに関するQ&A
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Q1 今年、中国や台湾で患者が出ている鳥インフルエンザ(H7N9及びH6N1)は、これまで知られてい
るヒトへの病原性が高いとされる鳥インフルエンザ(H5N1)とは何が違うのですか?

A1 インフルエンザウイルスは、主要な感染生物種(宿主)や構造(抗原性)の違いでタイプ分けされ
ます。家きんに強い病原性を持ち、新型インフルエンザに変化する可能性があるとして従来から警戒
されてきたH5N1亜型の他に、中国では家きんに対する病原性がさほど高くないH7N9亜型、台湾では
家きんに対して高病原性の株と低病原性の株があるH6N1亜型について、今年初めてヒトへの感染が
確認されました。

※インフルエンザウイルスは、ウイルスの表面に存在する糖たん白質のヘマグルチニン(HA)及びノイ
ラミニダーゼ(NA)の種類の組み合わせにより、それぞれ、H1からH16、N1からN9亜型に分けられま
す。
このうち、家きんに対して強い病原性をもつものを高病原性鳥インフルエンザと定めています。
農林水産省消費・安全局「我が国における鳥インフルエンザの分類」
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/pdf/ai_class.pdf

(注) 家きんとは、鶏、うずら、きじ、だちょう、ほろほろ鳥、七面鳥、あひる、がちょう、かも目
の鳥類をいいます。

※鳥インフルエンザウイルスとは、鳥類が感染するA型インフルエンザウイルスのことです。

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Q2 鳥インフルエンザウイルスは鶏などの肉や卵を通じてヒトに感染しますか?

A2 インフルエンザは呼吸器感染症です。通常、食品から感染することはありません 。
また、鳥インフルエンザは文字通り鳥の間でうつる感染症で、通常、ヒトは感染しません。

海外では、感染した鳥に濃厚接触をした場合に、ヒトが鳥インフルエンザウイルスに感染した事例が
報告されています。

さらに、日本では、鶏などの肉や卵は安全のための衛生的措置が講じられており、現状においては、
鶏などの肉や卵を食べることにより鳥インフルエンザウイルスがヒトに感染する可能性は、ないと考
えています。

インフルエンザウイルスは通常の加熱調理温度(食肉の全ての部分で70℃に達する、ぐつぐつ煮る、
ピンク色の部分がない)で活力がなくなります。
食中毒予防の観点から、鶏肉を食べる場合は、生で食べることは控え中心部までよく加熱する等十分
注意してください 。
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Q3「全ての部分が70℃に達するよう十分に加熱処理すること」とはどういうことですか?

A3 肉の表面だけでなく、中心(内部)の温度が70℃になるように加熱調理することです。
さらに、インフルエンザウイルスだけでなく、カンピロバクターやサルモネラによる食中毒を防止す
るためには、肉の中心の温度が75℃で1分間加熱することが必要です。

なお、加熱による食肉の色の変化は60℃くらいで始まり、75℃で完全に変わります。食肉の中心ま
で色が変わるのが目安になります。

ただし、食中毒の原因微生物の一つであるノロウイルスは熱に強いので、活性を失わせるには85℃
~90℃を90秒保つ必要があります 。

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2.「受け継がれてきた食べ物」(食品安全委員会委員長 熊谷 進)
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世界各地でそれぞれの地域に根ざした食文化が発展したが、わが国においてもその地域的特性を反映
した食習慣が受け継がれ、特徴的な食文化の発展につながった。大陸から伝わったものも古来より数
多く食されてきたが、昆布、寒天、ところてん、海苔、ナマコ(はらわたも)、ホヤなどの海産物、ご
ぼう、ふき、うどなどの野菜に加え、鰹節(かつおぶし)や糸引き納豆、米麹を利用した発酵食品など
の加工食品は、わが国において古来より食されてきた独自性の強い食材や食品とされている。

食べ物の安全性に関しても、健康への悪影響を避けるための様々な方法が、近代科学が誕生する前に
既に使われていたことは注目に値する。このような方法を用いて作られた食品として、アジやイワシ
などの魚介類の干物、煮干やするめなどの乾燥海産物、切干し大根や干しイモなどの野菜を乾燥させ
た食品、また、タラコやイクラ等魚卵の塩漬け、野菜の漬物、塩サケ等の魚の塩漬け、梅干しなどの
食塩で処理した食品、羊羹(ようかん)や饅頭(まんじゅう)などの和菓子のように砂糖を多量加えた食
品が挙げられる。これらは、科学的に言えば、食品の水分活性を低くする(微生物が利用できる水分
量を少なくする)ことによって、微生物の増殖が抑えられている食材・食品である。しめサバやすし
飯などの酢を利用した食品においては、pHが低いために、また酢酸の作用によって、微生物の増殖
が抑えられる。

なれずし、味噌、鰹節(かつおぶし)、酒盗(しゅとう)、くさや、納豆などの発酵食品においては、乳
酸菌等の有用な菌が、食塩や乾燥とも相俟って、腐敗菌や病原菌の増殖を抑制する。いずれの食品も、
19世紀に入ってから微生物という生き物の実態が理解され、微生物の増殖とpHや水分活性との関係
がわかってくるよりもずっと前から食されていた。

近代科学が登場する前に、先人たちは幾世代にもわたる試行錯誤を経て、おびただしい数の候補対象
の中からすぐれた食材を絞り込み、調理加工に工夫を加え、安全な食べ方を見出してきたといえる。
科学技術が発達し、その恩恵に浴している現在、われわれが享受している食べ物が、ずっと以前から
の長きにわたる経験の積み重ねの上に成り立っていることは興味深い。

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【お知らせ】
食品安全行政に皆さんの声を!「食品安全モニター募集中」
食品安全モニターの皆さんには、広く食品の安全に関して意見を頂くとともに、アンケート調査等に
ご協力をお願いします。
応募は平成26年2月3日(木)17:00までです。
http://www.fsc.go.jp/monitor/2512/26monitor-boshu.html


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